2015年03月
2015年03月28日
定期オブザーブで他の先生の授業を見せていただいて
例えば、ただ報告するだけだったり、既に結論ありきの会議などです。
でも、そんな中で唯一「役得」と思える業務が、「オブザーブ」です。
このオブザーブっていうのは、自分の担当してるレベルの非常勤の先生の授業を見学するっていうものです。
一応建前としては、その先生の授業の時の学生の様子を見るってことにはなってますが、多分実質的にはその先生の授業を見るってとこに主眼が置かれてる気がします。
なので、今まで色んな先生の授業を見せてもらいました。
毎回かなり色んな気づきがあります。
教務室では豪快な様子なのに授業ではピリピリしてる先生もいはったり、普段セカセカしてるけど教室ではかなりゆっくり教えてはったり。
また、オブザーブを行う専任の対応も様々で、私は「もし私だったら・・・」っていう視点でフィードバックをさせてもらうのですが、先生によってはかなり上から目線でダメ出しされる専任講師もいてはります。
私はあんまり偉そうに言うのが苦手なんで、「こんなアプローチもありますよ。」とか「そういう説明よりこういう説明の仕方をしたほうが、私の経験では学生の理解がすんなりいきましたよ。」とかの提案をさせてもらうことが多いです。
最近はこちらが提案することが多くなってきましたが、以前はベテランの先生が多かったので、勉強になるってことがめっちゃ多かったです。
こないだ片付けをしてたら、当時のオブザーブのメモを書いたノートが出てきたので、そのことについて書いてみます。
まず、私が前にいた学校に採用されたばっかりの時に研修の一環として授業見学をさせてもらった時のことです。
その先生は、上級のクラスをご担当の非常勤のベテランの先生です。
めっちゃすごかったです
日本語教師はこうあるべきって再認識しました。
本当に丁寧な説明だけど、説明過多でない絶妙なバランスで学生の理解も負担が少なそうでした。
その先生は、東京出身だっので、今では廃れてきてる「ガ行鼻音」で話されてました。
語彙と文型と読解の授業だったのですが、例えば「『左右』はサユウと読みますよね?じゃー『右左』は?」っていう質問を投げかけてはりました。
何気ないというか、経験が少ない教師はどーでもいいって思ってしまうようなことですが、これって結構ポイントです。
なぜかっていうと、「右左」の読みを学生に問うとほぼ100%「ゆうさ」とか「うさ」って答えるからです(笑)
学生の間違えるところをきちんと把握してるからこそ、できる問いです。
あと、文型に関しては「なんか/なんて」の説明でしたが(私は苦手な文型)、6種類に分類して教えてはりました。
細かく分類することによって、学習者の理解も負担が少ないですし、「なんか」と「なんて」の違いも非常に明瞭になるような説明をなさってました。
さらに、最近の日本人の「なんか」の使い方やイントネーションにも触れていて「さすが」と思いました。
この先生は、私が次にお世話になる学校にいらっしゃる先生です。
次に見せていただいたのは、このエントリに出てくるA先生の授業です。
大先輩の先生方とランチに行ってきた!
私が見せていただいたのは、中級の文型の授業でした。
ホンマすごかったです
何がすごかったって、説明は必要最小限でありながら、学生がその文型を使ってドンドン発話してたことです。
ただ、必要最小限っていっても、学生の発話のバリエーションを広げるために丁寧な説明をなさってました。
例えば、「~と同様」っていう文型です。
この文型は、概念があまり難しくないので、ともするとサラッと流してしまいそうになる文型です。
でも、A先生は色んな使い方を提示されてました。
1 Aと同様(に)Bも
2 Aは~。同様にBも
3 Aは~。Bも同様である。
っていう感じで。
今、ここまで提示されてる先生ってどれくらいいらっしゃるんだろう?
この先生は、学生がちゃんと文を作れたら積極的に褒めるのと同時に、日本語教師なら理解できてしまう学生の誤用に関しては、あえて分からないふりをして、正しい発話に導いてらっしゃいました。
また、学生への問いかけがめっちゃ自然で何気ないもののように思えるのですが、実はかなり緻密に計算されたもので、学生がその文型を使わざるをえないような問いかけでした。
私はこの先生の授業を見せてもらってからは、学生への問いをメインで考えるようになりました。
こういう先生方の授業を見せてもらえたことは、私の日本語教師としての財産になってます
今の若い先生方も、ご自分が尊敬できる先生の授業を見せてもらえれば、かなり成長できると思います。
私は、前の学校にいた時には、信頼できる先生とお互いに授業を見せ合ったりしてて、それが今に繋がってると思います。
その時のことや、自分が授業を見られる立場だったときのことはまた書きたいと思います。
ほな、さいなら!
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2015年03月26日
2つの学校の、決して埋められない差
以前、こんなエントリを書きました。
オンライン日本語学校 補完計画
来月あたりから、この計画に本格的に取り掛かろうと思ってます。
が、とってもお世話になった先生に、「うちの学校来て手伝ってくれへん?」と頼まれたので、色々迷った末に週二日だけお世話になることにしました。
なので、オンラインのほうと両輪でやろうかと。
その決定をした理由は2つ
一つ目は、以前その先生にはとてもお世話になったから。
その先生とは、私がいた学校で大学進学コース(日本語学科とは別コースで、基本は1年で卒業。)でお世話になり、その先生が学校を辞めて別の学校(私が行こうとしている学校)に行ってからも色々とお世話になってました。
もう一つは、自分が成長できそうな職場だから。
この校には、私が尊敬してる先生方がいらっしゃいます。その先生方も、前の学校で一緒だった先生方です。
以前書いたこのエントリ
大先輩の先生方とランチに行ってきた
のB先生もその一人です。
このエントリでも書いたように、前の学校では私が成長できる素地はありませんでした。
でも、この学校に来ればまだまだ成長できそうな気がします。
実際に、B先生に私がその学校に行く旨を伝えると、「何曜日来るん?この曜日は私休みだから、避けてね。また文法の話ししたいから」って返ってきました。
で、さっきまで、その学校のミーティングに行ってました。
まずは、昨年度の学生の進学状況の報告でした。
私がいた学校と決定的に違うのは、「国公立大学に進学した学生の人数がかなり多かったこと」です。
今、手元に資料が無いので正確なデータは分からないのですが、旧帝大をはじめとして、そうそうたるネームバリューのある大学名が並んでました。
前の学校の私のクラスの、かなりできる学生、EJU 日本留学試験の日本語(満点400点 平均点220点くらい)の点数340点強でも合格できなかった大学の名前もありました。
さらに特筆すべきは、ベトナムの学生のほぼ全員が国公立大学に進学してるってこと
ベトナムは非漢字圏ということもあり、日本語力はなかなか思うように伸びないことが多いと思われます。
あと、なかなか良い辞書もないようですし。
私の前の学校にもベトナムの学生がいましたが、合格のボーダーがかなり低く設定されているにもかかわらず、定期試験に合格できない学生が多く、私が担当した上級レベルに到達できた人は、去年は皆無でした・・・
つまり、一方の学校では1年で国公立大学に合格させ(それまでに他の日本語学校に在籍していた学生ですが)、もう一方は1年半とか2年とかかけても、上級レベルへの到達さえままならない、という状況です。
確かに、この学校に来る前にどこかの日本語学校に在籍していた学生たちなので、その分有利と思われるかもしれませんが、この学校に入学した段階では、EJUの日本語の点数は200点程度だったそうです。
この差は何なんでしょう?
教科書?教師の教授力?学生のモチベーション?進学指導?あるいはその全部?
まだ答えは出せませんが、教師の教授力は大きく影響しているのかもしれません。
さきほど、私が成長できそうな環境って書いたこととも関連するのですが、このミーティングが終わって、皆でランチを食べに行った時のことです。
以前、私がB先生とある教材、JLPT N2レベルの教科書について話したことがあり、ご飯を食べ終わって、「先生、私この教科書買ったけど、使いにくそうやなぁ」っておっしゃってました。
ちょっと説明すると、その教科書はcan-do statementといって、従来の「文型積み上げ」と呼ばれる、文型を順番に導入していくやり方とは異なり、「~ができるようになりました」、っていうようにタスク達成のために文型が存在し、その中で文型を教えていくというやり方に基づいています。
~の中には、自己紹介、買い物、スピーチ、友達との会話、記事を読む、のような項目が入ります。
つまり、そのタスクを達成するためには、この文型が必要であるという体裁で作られています。
で、その先生は、「友達との会話っていうても、進学したら日本人の友達もできるやろうけど、日本語学校の中の友達は基本同国人になるから、日本語使わんやろ。それにこのテキストって結構無理矢理感があって、そのトピックに文型を無理矢理入れ込んでるカンジがする。たとえば、こういうトピックの記事なら、実際のそういう記事に出てくる文型を片っ端から抽出して作られなアカンのに、そうしてへんっていうのがバレバレ。」っておっしゃってました。
ホンマその通り
教科書っていうのは、そういうふうに作られるべきだよなぁって再認識できました!
ホンマこの先生の、教科書の分析って鋭いなと思いました。
分析力があれば教授力も高いとは限りませんが、こういう分析ができるのとできないのとでは、これも大きな差なります。(この先生は半端なく教授力も高いです!)
ほんの2時間程度いただけですが、前の学校と今度の学校では、こんなに差を感じてしまった私です。
さぁ、また1年頑張るぞ
ほな、さいなら!
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2015年03月22日
日本語教育業界の、とある衝撃的なデータ
高齢化が問題視されてから、随分経ちますが、日本語教育業界にもその影が忍び寄ってきてます。
そのことを表す、一つのデータが、
日本語教育能力検定試験の全科目受験者 年代別比 推移 です。
日本語教育能力検定試験っていうのは、日本語教師になるための検定試験です。
そこから一部を抜粋したのが、 ↓ です。
【1994年】
50歳以上 587人
20代 3566人
総数6132人
で、
50歳以上 約9%
20代 約58%
になってます。
そして、20年後の2014年になると
【2014年】
50歳以上 1290人
20代 1353人
総数4363人
で、
50歳以上 約30%
20代 約31%
になってます。
他の年代も変化してるんですけど、私が注目したのは、この20代と50歳以上の割合の変化です。
それから、これはあくまでも「日本語教育能力検定試験の受験者数」なので、この中で何人が合格したのか、また、何人が日本語教師として働いているのかは、このデータからだけでは分かりません。
私がびっくりしたのは、「20代の受験者数が思ったより少ない」ってこと。
「思ったより」って書いたように、これは完全に私の主観です。
なぜかというと、私がいた学校では、10年前と比べると、教師の平均年齢が明らかに下がっているからです。
だから、「最近、若い先生方が増えてきたなぁ」って感じてました。
それともう一つは、「受験者数減ってるんや」ってこと。
1769人減ってるんですよね~
20代の受験者数が2213人減ってるってことを考えると、やっぱり20代の受験者数が減ってることが全体の数に影響してそうです。
その理由は何なんでしょう?
私の勝手な推測は、次の2点です。
1 日本語教師には魅力が無いと若い人が気づき始めた
2 若い人にとって、他の業界の魅力が増した、あるいは他の業界に就職しやすくなった
ってことです。
1に関しては、給料などの待遇面が問題になってきてるのではないかと思います。
以前のエントリでも書きましたが、専門職のはずなのに非常に給料は安いです。
非常勤はコマ数の時給計算で、時給が高いところでも2000円スタート。
さらに授業の準備や授業後の宿題チェックなども含めると、さらに時給は下がることになります。
専任も、一応月給で(多分)20万くらいスタートですが、時給計算するとかなり低くなります。
私は最近学校を辞めたので、いろいろな学校の情報がどこからともなく入ってくるのですが、関西に関して言うと、人手不足になっていて、かなり募集が増えているようです。
が、だからといって、給料が上がるわけではありません。
だから、売り手市場にはなっていません。
これって、介護業界に似てる状態だと思います。人は足りないけど、待遇は改善していないっていう点で。
それから、私が日本語教師の資格をとった時代には、「この資格をとって、海外で働こう!」って謳い文句が多かったです。
でも実際は、日本語教育能力検定試験に合格しただけでプロの日本語教師として海外で働くのは、非常に難しいです。
で、今の時代は、ネットなどで情報が伝わりやすくなった結果、若い人にも現実が見えやすくなってきたってことでしょうか。
2に関しては、特に根拠は無いのでよく分かりません(笑)
あと、年配の方の受験者が増えてるって傾向もあります。
なんとなく、定年後に生き甲斐を求めて、あるいは社会貢献したいから日本語教師になりたいっていう年配の方が増えてるのかな、って気がします。
ところで、数日前にまた日本語教師の方たちと飲んだのですが、そのメンバーの年齢はアラフィフでした。
だからなのか、「老眼あるある談義」で盛り上がってはりました・・・
切ない。
私は裸眼で両目とも視力1.5なので、全くついていけませんでした(笑)
この傾向が続いていくと、「先生はみんなおじいちゃんとおばあちゃん」っていうことも出てくるのかもしれませんね~。
ほな、さいなら!
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2015年03月20日
二つの違い、答えられますか? 具体例 語彙編
以前、こんなエントリを書きました。
二つの違い、答えられますか?
ここでは、あまり二つの違いの例は挙げませんでした。
なので、私が実際に学生に聞かれた例を挙げてみたいと思います。
で、今日は「語彙」についてです。
語彙って、native speakerは無意識に使い分けたりしてるけど、その使い分けに関しては語学教師でなければ説明できないことが多いと思います。
まずは初級の語彙から。
1 「ひらく」と「あける」
ドアや窓ならどっちでもいいですね~
ただ、その対象が目、心、傘、本ならどうでしょう?
「ひらく」のほうが自然ですよね?
つまり、「あける」は、開けたり閉めたりする目的で使われるものが対象になります。
それに対して、「ひらく」は開いたり閉じたりするのが目的にものにも使われるのに加えて、本来の目的はそれ以外のもの、例えば、本の目的は「読む」、傘は「さす」などのものにも使われます。
なので、その場合は「ひらく」しか使えません。
時々、他の先生の授業を見学した時に、「教科書をあけてください」って指示してるのを聞いたりしますが、私はとっても違和感を感じます。
この意味の違いに加えて、「あける」の対義語は「しめる」。「ひらく」の対義語は「閉じる」です。
さらに、「ひらく」は自動詞も他動詞も兼ねてます。
・ドアがひらく。
・ドアをひらく。
2 「しかる」と「おこる」
この違いは結構明瞭なので、ほとんどの日本語教師は即答できると思います。
「怒る」は感情の動きなので、誰かに対して怒ることもありますが、一人でプンプンしてることもあります。
それに対して、「しかる」は目下の立場の人に対して厳しく指導して良い方向に導く、という意味合いが強いです。
だから、必ず2人必要で、「優しくしかる」という言い方が可能になります。
で、ここからが教師のレベルが問われそうなのですが、中級以上の学生の場合なら、「怒る」の読み方は「おこる」ですが、品詞が名詞になった場合、つまり「怒り」になったら読み方は「いかり」になるって、私は説明を加えます。
このプラスアルファが説明できるかどうか、結構大事やと思います。
こういうパターンは他にもあります。
例えば、「狭い」と「狭まる」などです。
次に、中級の語彙。
3 「気分」と「気持ち」
これ、個人的にはめっちゃムズいと思います。
私、結論に到達するのに2年かかりました
なぜかというと、重なる部分が大きいからです。
それでも明らかにどちらかでなければならない場合は存在します。
例えば「~転換」という場合、「気分」はいけるけど、「気持ち」はだめですよね~
それから「気分を変える」のと「気持ちを変える」のとで、容易なのはどっちでしょう?
これが観点①。
それから、例えば「気分が悪い」と「気持ちが悪い」の違いです。
二日酔いなどで生理的な問題の場合は、どっちでもいいです。
ただ、例えば、流しそうめんしてて、流れてきたのがそうめんじゃなくてミミズだったら(変な例やけど)、気分と気持ちのうち、どっち使いますか?
これが観点②ですかね。
ただ、関西人の場合は「気分が悪い」という表現のほうを頻繁に使います。
「ホンマ、気分悪いわぁ」など。
4 「まなぶ」と「ならう」
これ、ホンマ学生がよー混同する言葉です
ひどい学生になると、2つが混じって「まらぶ」とか「ならぶ」などと言っちゃったりします。
これも結構単純なはずなんですけどね~
だから、学生に質問されたら、「先生が絶対必要なのはどっち?」って質問で答えます(笑)
「どっちも~!」って答えられることもありますけど(笑)
あとは、基本的に「ならう」は勉強や技能のみですよね。
それに対して、「まなぶ」はその内容の範囲が広くて、子供時代に社会性をまなぶ、失敗から学んだ、などという使い方もできます。
最後に上級の語彙。
5 「利子」と「利息」
これ、金融機関で働いてる人以外の一般の方はほとんど使い分けてないんじゃないですかね?
だから、「どっちも同じ」って答えてしまいそうになりますが、私が学生に質問された時は、実は前日の先生にも同じ質問をしてて、その先生がそう答えて、学生は不満に思ってたみたいです。
なので、翌日私に聞いてきたっていう事情がありました。
つまり、わざわざ私に聞いてきたってことは、「どっちも同じ」っていう答えは期待されてないってことです。
違いはわりと単純で、貸す側と借りる側、どっちの立場からその金利を表現するかってだけです。
つまり、貸す側は「利子」と言い、借りる側が「利息」と言うっていうことです。
立場によって、違う言葉を使うんですね。
似たような違いに、「すみ」と「かど」があります。
「利子」と「利息」は立場の違いでしたが、このケースも視点の違いを考えれば、自ずと違いは分かってくると思います。
6 「儲ける」と「稼ぐ」
宝くじに当たったり、パチンコに勝ったりした結果なのはどっちでしょう?
「儲ける」ですよね。
つまり、「儲ける」は地道に働いた結果っていうより、思いがけなくうまく利益を得たり、得したりする時に使います。
一方、「稼ぐ」は額に汗して地道に働いた結果の収入を得る時に使います。
あとは、「儲ける」は他動詞で、「儲かる」という自動詞もありますが、「稼ぐ」は他動詞だけ、という違いもあります。
個人的な見解なんですが、「儲ける」はその意味から「儲ける」のほうが先に存在して、その結果「儲ける」が生まれたのではないかと思います。
これらは、私が質問されたほんの一例です。
だから、これ以外にも「やっと」と「とうとう」、「自立」と「独立」、「重い」と「重たい」、「縮む」と「縮まる」、「触れる」と「触る」などなど枚挙にいとまがないくらいたくさん質問されました。
今なら即答できますが、教師になりたてのころはアワワアワワしてました
これから日本語教師になろうと思ってる人や、新人の教師の方は、なかなかそのポイントを掴むのは難しいと思います。
だから、実際に授業の準備をする際は、一つ一つ調べて周到に準備されるんだろうと思います。
で、慣れてくればまずその知識が頭の中に蓄積されるので、答えられるようになります。(こればっかりはいくら調べても蓄積されない教師がいるのも事実)
もっと慣れると、その知識が無くてもどのパターンにあたるのかなど、その場で考えて答えられる場合も出てくると思います。
語彙の違いは、文型の違いに比べたら単純というか、明瞭な場合が多いです。
文型の違いについては、またエントリに書きます。
ほな、さいなら!
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2015年03月19日
「日本語教師」としての働き方が今後変わっていきそうな件
で、オンラインの日本語学校を立ち上げる予定です。
要するに起業です。
この決定をする際に、背中をポンと押してくれたのが、この本。
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これを読むと、今の時代いかに容易に起業できるか、また、一つの組織にこだわる必要性がどんだけ低下しているか、ってことが非常によく分かります。
かなり平易な日本語で書かれているので、サラッと読めるし理解もしやすいです。
ちきりんさん、勝間和代さん、本田直之さん、大前研一さんなどなど、様々な著名人の方の本を読んでいて、共通していることは、「一つの組織にずっといることは、リスクが高い」ってこと。
この本の著者もそういう考えの持ち主。
この本の中には、ケーススタディみたいな感じで、世界中の起業に成功した人の体験談がふんだんに盛り込まれています。
私はこの本を読みながら、起業できるってことにワクワクしました。
まぁ一般的な日本人にとっては、起業は非常にリスクが高く感じられるものです。
実際私が「起業します」って言うと、「悪いこと言わんからやめとき!」ってめっちゃ言われました(笑)
しかし、私はそれは反対だと感じます。
特に日本語教育業界は、これから波乱の時代を迎えると考えてます。
厳密に言うと、大学進学に向けての予備教育を行っている日本語学校は近い将来、どんどん淘汰されていくだろうということです。
独自のノウハウを持って、進学実績をバンバンあげている学校は別ですけど、そうじゃない日本語学校に属しているってことのリスクが今後はかなり高まるのではないかと思うのです。
理由1
韓国などでは、日本語学校を経由せず直接自国で日本語教育を行い、直接日本の大学を受験するようになってきたこと。
具体的な大学を挙げると、早稲田大学、同志社大学、立命館大学などはこの手法を使っています。
そして、今後この流れが停滞する理由は特にないです。
理由2
高等教育の価値が下がっていること。
皆さんもご存知のように、受験生と大学の数のバランスが崩れているため、選ばなければ必ずどこかの大学には合格できるようになってきました。
つまり、大学がデフレ化してるってことですよね。
それに加えて、MOOC(ネットを通じて無料で大学の授業が受けられるシステムで単位ももらえる)ってものが出てきて、これがさらに普及すれば、わざわざ大金を払って大学に行く必要がなくなります。
逆に言うと、今まではこのようなシステムがなかったから、大学進学のために日本に留学する学生がいたっていうことになります。
もうちょっと言うと、大学進学ができるから、わざわざ日本に来て、高い授業料を払って(大体1年で70万、入学金が10万。通常は1年半か2年で修了)、物価も高いから頑張ってアルバイトもしないといけないっていう環境でも我慢できてたんだと思います。
でも、この流れが続けば、そういう学生の数は激減する可能性があります。
日本語教師と一言で言っても、その雇用形態は様々です。
大学の講師、日本語学校の講師、ボランティア、フリーランスなどなど。
私がいた日本語学校の中にも、専任講師(常勤。カリキュラムやテストの作成、テキストの選定などの業務+授業、学生指導などの業務をする講師)、非常勤講師があります。
通常、専任講師は週5日勤務、一日8~9時間程度、年収は200~300万、非常勤講師は、週2日~5日まで様々なので、年収は様々です。基本的には、授業のコマ数×時給で給料が決まります。時給は1500円くらいからスタートです。
ここで、まとめの意味でフリーランスと日本語学校を比較してみると、
フリーランス
・リターン 未知数。
・コスト 純粋に授業だけをしていればよく、その他の煩雑な業務が無いため、かなり低い。
・リスク 借り入れと仕入れが無く、資金繰りに追われなくていいので低い。もし顧客がいなければ、無収入になるだけ。
日本語学校
・リターン 上記の状況を見ても分かるように、専門職なのにかなり低い。
・コスト 授業の準備に多大な時間がかかることが多い。また、学生指導や進学指導、作文や会話テストの担当になると、その判定にかなりの時間がとられる。
・リスク 上記の流れが進めば進むほど、職を失う可能性は高くなる。また、ワンマン経営者が多く、その時の状況の変化などで急にリストラされるブラック学校もあるため、そのリスクも高い。
私の知っている先生の中には、「学校のやり方には不満があるけど、生活のためだけに、この学校にいる」という先生もいます。
私は、こういう働き方を否定はしませんが、絶対に自分はそうはなりたくないです。
それから、私がお世話になった先生方一人一人に挨拶をしていた時に気づいたことがあります。
それは、どの先生も「その学校に対して冷めてる」っていうことです。
ある先生は、「色々不満や問題もあるけど、ほかの学校もこんなもんでしょ」ってスタンスでした。
また、あるベテランの先生は「実は、自分もいつ切られるんかって危機感持ってます。なぜかっていうと、学校が若返りを図ってるから、もう私も必要とされなくなってきたような気がする。多分あと2年くらいかな。」っておっしゃってました。
ん~こういう雰囲気の学校で教わる学生って・・・
もちろん、先生方に問題があるのではなくて、先生方にそう思わせてしまう学校側に問題があるのだと思っています。
で、こういう先生というのは、もしほかにその先生方の理想に近い学校があれば、もちろんそっちの学校に行くインセンティブが働きます。
そうなると、今の学校が立ち行かなくなるというリスクも新たに出てくるように感じます。
だから、日本語学校で働いている先生は、よく考えたほうがいいと思います。
今まで大丈夫だったから、今後も大丈夫っていうのはもう通用しなくなりつつあるってことです。
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