2015年04月

2015年04月28日

教科書「で」教えるのか、教科書「を」教えるのか

タイトルの二つの違いは、目的語の違いです。

つまり、

・教科書(日本語)教える。

・教科書教える。


という違いです。

前者の「」は、手段・方法を表すものなので、教科書はあくまで手段であり、教える対象は「日本語」です。

一方、後者は教える対象そのものが教科書です。

したがって、もし教科書の内容の中に学習者のニーズやレベルなどフィットしない場合があった場合、前者では教師が学習者に合うように工夫したりできますが、後者の場合はあくまで教科書通り、もっと言うと教科書の作成者の意図通りに進めなければならない、ということになります。

ところが、このことを完全に勘違いしてる人が少なからずいます。

その勘違いっていうのは、「言ってる本人は、『教科書教えている』と思ってるけど、実際にやってることは『教科書教えている』」っていうパターンが多いです。


私は何度か教材の説明会に行ったことがあります。

説明会にはもちろんその教材の作成者がいらっしゃってるのですが、ほとんどの場合「私(達)はこういう意図で作ったので、その通りに使ってください」とおっしゃいます。

これ自体は、当然といえば当然のことですよね~

「作成意図は無視して使ってください」なんていう教材作成者は普通いません。

問題はその言葉を思考停止状態で真に受けてる、日本語学校のカリキュラム作成者である専任講師です。

その講師は、

自分が言っていること(教科書で教えるのが大切だ)と、やっていること(実際は教科書の内容や使い方などを100%作成意図通りに使っている)が正反対である

ってことに全く気づいてないんですよね・・・

こんな人ホンマにいてはんの?と思うかもしれませんが、マジで存在します。

ぶっちゃけ、論理的思考力が欠如してる先生であると言わざるを得ません。

私が学生だったら、こういう先生には教わりたくないなぁ~って思ってしまいます(笑)

全ての学習者にフィットする教科書があればそれは理想的ですが、そんな教科書は存在しないと考えていい。

例えば、ある教科書で「就職活動のパンフレットで興味のあるページを読みましょう」というのがあるのですが、これって就職を希望している学生対象だったら問題ないのですが、進学を希望してる学生対象だと、この活動は適さないということになります。

進学を希望する学生にとっては、就職なんてまだまだ先の話で、それ以前に志望大学に合格することが第一義になるからです。

特に、進学の試験が目前に迫っているタイミングだった場合、学生が「こんなことやってる場合じゃない!」となる可能性もあります。


だから逆に、教科書教えようと思うと、必然的にその学習者に合わせて教え方や内容をイジる必要が出てくるのが自然です。

そこで教師がどう工夫するかが、日本語教師の醍醐味とも言えると個人的には思います。


それに今まで何回も書いてきているように、クラスのほぼ全員が大学の学部志望だった時代ならいざしらず、学習者のニーズもバックグラウンドも多様化している現在において「教科書教える」っていう硬直化された方法で授業を展開していくと、「教科書」と「学生」がどんどん乖離する方向に進んでいってしまいます。


だから、上記の勘違いをしてる先生は、早く自分が勘違いをしてることに気づいてそれを認めるべきだと思います。


でも、まぁこういう先生って、思考停止してるわりに一度「こう!」と思うとそれ以外の要素は排除して、その思い込みをより強固なものにしていくっていう行動パターンが多いので、あまり改善は望めないかもしれませんが・・・


ところで、私は今教材を作成しています。

そのことはまた、別のエントリで詳しく書こうと思っていますが、基本的にその教材は、使う先生の好きなように使ってもらえたらと思ってます。

こんなこと考えてる教材作成者は珍しいかもしれませんが、学習者に合わせて教師が使いやすいように使っていけば、両者の満足度も高まるだろうから、それが一番いいことかなぁ~って何となく思ってます♪


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akky_san at 15:38|PermalinkComments(0)教材 | 教科書

2015年04月27日

小論文の「理由を推測する」っていう練習で見た、学生の発想

日本留学試験(EJU)の記述問題 ↓

日本留学試験日本語「記述」問題について JASSO

の対策の授業をしてます。


以前書いたエントリでは、読解・聴解・聴読解に関してはあまり授業の時間をとる必要は本当にあるの?って問題提起しました。

でも、この「記述問題」は、何回も練習しないと書けるようにはならないし、留学試験以外の分野で問われる「論理的思考」を鍛える取っかかりになるので、今はその練習をしてます。

記述問題にはいくつかのパターンがあります。

例えば、

A ~という意見があるが、その意見が出てきた理由を考え、あなたの意見を述べなさい

B ~のメリットとデメリットを述べ、あなたの意見を述べなさい

などです。


2に関しては、ある程度知見が必要になり、彼らにはそれがまだ欠けているため、1から練習することにしました。

で、今日はその練習段階の彼らの回答の中で、?と思うものやなるほど!と思うもの、なんやねんそれ!って思うものなどを書いてみようと思います。


まずは簡単なところから始め、徐々に社会的な問題に移っていきました。

問題は、「次の文の理由を思いつく限り多く考え、書きなさい」です。


1 田中さん(夫でも妻でもOK)は離婚しました。

浮気、愛がなくなった、DVなどの答が出てましたが、面白かったのは、男子は「妻が」パチンコにはまった、女子は「夫が」浮気したって書いてる学生が多かったことです(笑)

で、

・印鑑を間違って押した。

とか

・家長の責任が重すぎて、やめることにした。(韓国・男)

っていう、お国柄が反映された回答も出てきました。


2 鈴木さんは会社を辞めました。

リストラ、待遇や仕事内容への不満、起業、海外移住、出産などの答が多かったです。

・社内恋愛してた人と別れたから

あるかもね~

で、ちょっと勘違いしてるっぽい学生の回答。

彼女と別れた→悲しむ→やる気がない→営業成績が下がる→仕事を最後まで遂行できない→上司からの信頼がなくなる

って書いてはりました。

なんかもう、大風が吹けば桶屋が儲かるみたいなってます。

こっちとしては、仕事を辞めた直接の理由を考えてほしかっただけで、その過程とかまでは必要なかったんですけどね・・・

だからこれは、「理由」っていうよりは「遠因」ですよね~


3 中野さんはスポーツクラブに通い始めました。

ここでは、ダイエット、健康維持、そのクラブに好きな人がいる、などの答がありました。

その中で、「あ、それあるかも!」って思ったのが、

・他人と話したいから

っていうのがありました。

私が行っていたスポーツクラブは、時間帯にもよりますが、比較的年配の方が多く、黙々と取り組んでるっていうよりもお友達とお喋りしながら体を動かしてはりました。

で、さっきの2の回答書いた人。

健康になりたい→スポーツクラブで知り合いが増える→お互いに興味を持つ国際交流

このの部分、飛躍しすぎでワケ分かりません。

さすがにちょっと分からなすぎて本人に聞いてみたところ、「スポーツクラブにも留学生はいると思うから」とのこと。

うん、まぁ、確かにね。

でも、それやったらスポーツクラブじゃなくてもエエよね?

つか、国際交流したくてスポーツクラブ行く人いてますかね?


4 2015年は訪日外国人の数が過去最高になりました。

円安、ビザの手続きの簡略化などが多かったです。

でも同時に、こういう答も多かったです。

・観光地が多い

・文化が豊か(着物、温泉、剣道、茶道・・・)

・治安がいい

などです。

このあたりが非論理的なんですよね。


これは、「外国人が日本に来る理由」であって、「2015年に人数が過去最高になった」理由ではないということになかなか気づかないんです。


で、今回私が一番「おおっ」って思ったのが、これ。


5 「大企業で働くより、自営業のほうがいい」という意見があります。

・リスクが少ないから


マーケット感覚がよく分かってらっしゃる学生です!


この問題を始めるときに、「一番たくさん答を考えた人が勝ち!はい、じゃースタート!」ってやったら、結構真剣に取り組んでました。

当初は「小論文」って言っただけでいやな顔されてましたけど、段々慣れてきたってところでしょうかね~


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2015年04月24日

「教え方の手引」に潜む危険性

以前も少し、日本語教育の手引や文法書に関することについて書きました。

今回、色んな事情があり、今行っている学校以外の学校の採用試験を受けることになりました。

学校といっても一般的な日本語学校ではなく、6週間タームだったりするので、今進めていることとの同時進行が
やりやすいっていう事情もあり、受けることにしました。

使用教材は「みんなの日本語」。

実技試験は、19課の「~たことがある」の導入~QA。

で、実技試験要項の内容が、(私にとっては)めっちゃ細かい内容で度肝を抜かれました。

例えば、


・文型導入、確認、板書、説明、練習問題の全てについて詳細な教案を作成・印刷する

・文型導入は3例、練習、QAは10問ずつ準備

・板書は仮名のみで、分かち書き

・教案はタイ3人、インド3人、ベトナム2人、インドネシア2人を想定して準備する


などなど。

で、ちょっと気になったのが、要項の中に「タ形は導入済みと想定してください」っていう箇所があったこと。

みんなの日本語って、この「~たことがある」で「タ形」を入れるんじゃないの?

エエんやろか?って思いましたけど、そういう指示ならそうするだけですけどね・・・


なので、生まれて初めて作ったってくらい詳細な教案を作成しました。

マジ疲れました・・・


で、そーいえば手引ってあったよな、って思い出したんで、学校にあった手引を見て、目が点になりました。

それがこれ ↓ 。

P_20150424_172218


あ、思ったより不鮮明で、後ろちょっと切れちゃってますね・・・

すみません!


これさー、アカンやつやん

いきなり「行ったことがあります」って言うてもーてるやん
導入なってへんやん

などと、心の中でめっちゃ突っ込んでしまいました・・・

これ、学生理解できんの?

このエントリのタイトルは「潜む」って言葉使いましたけど、全然潜んでなかったですね。


で、不安になったんで、ネットで公開されてる「みんなの日本語」の教案を見てみたところ、結構このパターン多かったです。

こわっ

これ、経験浅い先生真に受けてまうおそれが大いにあるんちゃいます?

っていうか、今はこれがスタンダード?

んなことないですよね~

「私は1990年の8月にアメリカへ行きました。私はアメリカへ行ったことがあります。」って言われても・・・

やっぱ導入の時って、その文型を最初のタイミングで出したらアカンでしょ。

なんかこれって、導入の際に未習語彙を入れてもいいかとか、媒介語を使ってもいいかとか、どのシラバスでいくかとか以前の問題のような気がします。


いやぁ、久々に衝撃を受けました。


因みに、私はこの「~たことがある」っていう文法には2つのアプローチがあると思ってます。

1つ目は、(多分)王道の導入で、この文法の発話意図から入っていくやり方。ただ、これは実際にクラス授業を担当していて、学生と関係性が構築されてないと使いにくいかもしれません。

2つ目は、発話意図から入っていくというよりも、この文法はこういうものだっていう説明に近いですかね~
このアプローチはそこまでの関係が無くても一応使えるやり方かと思いますが。

なので、私は2つ目のアプローチをする予定です。


で、改めて感じたのは、「みんなの日本語」がどうかというよりも、教師がその学生に合った導入方法を考えられる幅を持った教科書のほうが、そうじゃない教科書よりも私は好きだってことです。


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akky_san at 18:31|PermalinkComments(0)日本語教師 | スキル

2015年04月22日

私がJ-POPを読解として使うとこうなる その1 松任谷由実「destiny」

松任谷由美「DESTINY」です。




これ、ご本人の歌唱がかなり劣化してるっていうか、声が全然出てないので、できればCDなどの他の音源を聴いていただいたほうが・・・

ユーミンはどっちかっていうと、もうちょっと上の世代の人がドンピシャです。

リアルタイムで初めて触れたのは、確か中1か中2のころの「リフレインが叫んでいる」でした・・・(遠い目)

調べてみたら、この歌1979年発表だそうです。

36年前こんなに古かったんや

この年に24歳だった人は、今年還暦ですね。


で、歌詞はこちら。


ホコリだらけの車に 指で書いた True love my true love 本当に愛していたんだと
あなたは気にもとめずに 走り出した True love my true love 誰かが待ってたから
冷たくされていつかは 見返すつもりだった それからどんな人にも 心を許せず
今日分かった また会う日が 生きがいの悲しいdestiny
緑のクウペが停まる 雲を映し Sure love my true love 昔より遊んでるみたい
みがいた窓を下ろして 口笛吹く Sure love my true love 傷あとも知らないで
冷たくされていつかは 見返すつもりだった それからどこへ行くにも 着飾ってたのに
どうしてなの?今日に限って 安いサンダルを履いてた 今日分かった 虚しいこと 結ばれぬ悲しいdestiny

うまいっつーか、巧みですね!さすがユーミン

で、私が歌を授業で使うときは聴解も兼ねてるので、歌詞の一部を(  )抜きにして、ディクテーションさせます。

こんなカンジ ↓ 。


ホコリ(    )の車に 指で書いた True love my true love 本当に(    )いたんだと

あなたは気にもとめずに 走り出した True love my true love (    )待ってたから

冷たくされていつかは (①     )つもりだった それからどんな人にも 心を(     )

今日分かった (    )会う日が 生きがいの悲しいdestiny

緑のクウペが停まる (   )を映し Sure love my true love 昔より(     )みたい

みがいた窓を下ろして 口笛吹く Sure love my true love (     )も知らないで

冷たくされていつかは (①    )つもりだった それからどこへ行くにも (       )のに

どうしてなの?今日に限って (    )サンダルを履いてた 今日分かった 虚しいこと (      )悲しいdestiny


①に関しては同じ言葉が入るっていうことを、事前に伝えておきます。

(   )抜きをするのは、どこでもいいと思うんですけど、私が選ぶのは、


1 そのレベルの語彙

2 学生が聞き取りにくい語彙、

3 (   )抜きをすることによって、歌詞のストーリーがバレなくなる部分


です。


例えば1だと、だらけ、傷あと、着飾ってた。

2は、また(学生は「また」と「まだ」の聞き取りがなかなかできません。

3は、誰かが、許せず、安い、結ばれぬてなカンジです。

3に関しては、聞きながら学生にビックリして欲しいってだけです。

あとは、曲のスピードを考慮して、(   )の間隔を決めます。

(    )の間隔があまり近すぎると、学生がスピードについていけなくなってしまいます。

基本的に、2回聞かせて答え合わせをして、確認のために最後に1回聞かせてから読解に入ります。

じゃー歌詞をもう一度。


ホコリだらけの車に 指で書いた True love my true love 本当に愛していたんだと

あなたは気にもとめずに 走り出した True love my true love 誰かが待ってたから

冷たくされていつかは 見返すつもりだった それからどんな人にも 心を許せず

今日分かった また会う日が 生きがいの悲しいdestiny

緑のクウペが停まる 雲を映し Sure love my true love
昔より遊んでるみたい

みがいた窓を下ろして 口笛吹く Sure love my true love 傷あとも知らないで

冷たくされていつかは 見返すつもりだった それからどこへ行くにも 着飾ってたのに

どうしてなの?今日に限って 安いサンダルを履いてた 今日分かっ 虚しいこと 結ばれぬ悲しいdestiny



最初に、分からない言葉がないか確認します。

例えば「見返す」の意味は押さえておきます。

この言葉は意味が複数あり(例 自分の答案用紙を見返す など)、どの意味なのか特定します。

この言葉の意味を勘違いしてまうと、全体の意味が分からなくなります。


その後、全体の文章の読解に入ります。

1番と2番の間に時間の経過があり、相手の男性の変化が表されてます。

で、青字の部分で、それを対比してます。つまり、昔は車の掃除などはしてなかったけど、今は綺麗にしてるっていう変化。

その変化を見て女性は「昔より遊んでるみたい」と思ったんでしょうね。

そして、赤字の見返すつもりだった

この部分で、結局見返せなかったってことが暗示されてます。

「するつもりだった」とか「するはずだった」って言うと、結局しなかった、ということになりますが、ここは学生にはちょっと難しい部分ではあります。


それからって、いつから?

1番と2番の今日分かったのは、同じ内容?

そして何が分かった?

さらに言うと、2つの今日は同じ日?

それぞれの「今日」はいつ?(具体的な日付ではなく、何があった日?)

そして、一番のポイントが、今日に限ってですね。

この文型って、この歌のためにあるんじゃないかっていうくらい、ド真ん中の使用例になってると思います。

虚しいっていうのは、どんな感情?とか、結ばれぬ、のは何と何?などなど、他にも色々と学生に対する問いが出てきます。

こう見てくると、かなり緻密に計算されて歌詞が作られてるのが分かります。

いやぁ、読解しがいがある歌詞です!


私がこういうのをやるのは、本格的な文学作品を読む前に、「行間を読む」っていうのはどういうことか、とかの基本的な読み方に触れさせておきたいからです。

学生は、評論文や論説文はある程度読んでいて、その読み方は知っていても、小説などになると途端に理解できなくなったりする人が多かったんですよね・・・

この「J-POP読解」シリーズはまた続けてみます。


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akky_san at 14:35|PermalinkComments(0)授業内容 | 読解

2015年04月20日

小論文の授業って、やり甲斐はあるけどやっぱ難しい

月曜日に、小論文の授業を担当してます。

でも、まだスタートしたばっかなんで、そこまで本格的な文章は書かせてなくて、まだウォーミングアップの段階です。

今行ってる学校のクラスは主に大学学部への進学コースで、学生は全国の日本語学校から集まって来てます。

そういう事情もあって、それぞれの学生が今までに学んだこと、また学んでいないことがバラバラで、ビックリさせられることも多いです。

こういうのって、特に作文で顕著になります。

で、今、学生に徹底させようとしているのは、内容云々よりも


1 普通体・である体を一貫して用いる

2 書き言葉・話し言葉を判別し、書き言葉だけで書く


ことです。

で、さんざん練習してから文章を書かせたら、丁寧体の文を書く人がチラホラ・・・

で、何回注意しても丁寧体を書いてしまう学生に個別対応をしていた時に、

私「文のどの部分を見たら、その文が丁寧体か普通体かが分かりますか?」

学生「分かりません。」

私「(文末じゃ)」

ん~、よくよく聞いたら、そういう指導を前の日本語学校ではされてなかったらしいです。

カワイソウニ・・・

この学生に限らず、前の学校では4択や〇×の問題ばっかりやってきたと思われる学生が多く、日本語の文を構築するのに四苦八苦してます。

ただ、このクラスはベトナムの学生が多く、経済的にあまり余裕もない学生が多いため、国公立大学を志望している学生がほとんどです。

ってことは、小論文は避けて通れないので、今のうちに基本をみっちりやっておかないといけません。

ちょっと私としてはプレッシャーを感じますが・・・


で、次に書き言葉と話し言葉の違いをやりました。

学生の書いた文章の中に使われていた「話し言葉」をピックアップして、それを「書き言葉」に直す作業をペアワークでさせました。

こんなカンジです ↓


Ⅰ 次の話し言葉を書き言葉に直してみよう!

1 色々な →

2 だんだん →

3 でも →

4 きのう →

5 びっくりした →

6 ~について →

7 いきなり →

 
このあたりは、日本語の先生にとってはベタというか、よく見るものだと思います。

でも、このクラスは国公立大学に行きたいって言ってるので、もうちょっと高度な書き言葉の語彙や文法を使って欲しいものもありました。

それがこちら ↓

8 難波で交通事故が起きたそうだ。 →

9 A国の首相とB国の大統領が会って話した →

10 事故を見た人 →

11 台風が近くに来たから、住民は避難しなければならなかった →

12 景気が減速する心配が出てきた →


これらの日本語を、皆さんだったらどのように直させますか?

さらに、このあたりの語の選択は、要約をする上でも役に立つと思います。

要約では、できるだけ無駄を省いてコンパクトに文をまとめる必要があるからです。

8に関しては、先週やったばっかりの文型だったので、すぐに正解を答えてました。

9の文って、まるで一般人がフラッと会ってる印象ですよね~

10は、「事故の証人」って言った学生がいましたけど、見ただけで証人になるとは限りません。

11は、複数箇所訂正したほうがいい部分があります。

12は、「心配」を「懸念」にしてほしかったんですが、さすがにこれは難しかったみたいです。

私が板書して、「これ読める?」って聞いたところ、学生達は「けんねん」って答えてました・・・

まぁ、そう読むやろね。

学生の一人が「そんな言葉、聞いたこともないです」って言ってきたので、「それはあなたがニュースを全然見てないってことでしょ?」って言ったら、ほかの学生は爆笑してました。

ちょっと、「キミらも笑える立場か?」とも思いましたけど・・・


そんなこんなで、今日は最終的な清書を完成させ、それなりにかなり形は整ってきたように感じました。

でも、学生の作文のスキルはバラバラなので、それをどうするかを考えて、一定のレベルまで引っ張り上げるのはなかなか大変で、そのへんに難しさを感じます。

で、来週からは、日本留学試験(EJU)の記述対策に取り掛かる予定です。

同じ小論文を担当なさってる先生が、EJUの記述をかなり詳細に分析なさってるみたいなんで、私はそれに乗っかろうかと(笑)


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