2015年11月

2015年11月30日

私が昭和歌謡を読解&総合の授業に使うとこうなる 山口百恵「秋桜」

この歌は、結婚前夜(つまり今生の別れの直前)の母娘を描いた、非常に叙情的なうたなんですが、百恵さん、当時17歳です。

なんなんですか?この説得力。

「秋桜」の読み方は「コスモス」です。

この花ですね。


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私は、日本語教師デビューしたときのクラスで、この歌を取り上げて、読解&総合の授業で使いました。

当時はまだ山口百恵さんを知ってる学生も多かったので、使いやすかったって事情もありました。


実際の歌唱はこちらです。






で、歌詞をまた一部ディクテーションで聴解としても使いました。

以下、(  )の部分を空欄にしました。




            コスモス     山口百恵


(薄紅)のコスモスが秋の日の 何気ない日溜まりに揺れている
このごろ(涙もろく)なった母が 庭先で一つ(咳)をする

縁側でアルバムを(開いては) 私の幼い日の思い出を
何度も同じ話繰り返す
 (独り言)みたいに小さな声で


こんな小春日和の 穏やかな日は あなたの優しさが(しみてくる)
明日(嫁ぐ)私に 苦労はしても (笑い話)に時が変えるよ
心配いらないと
 (笑った)


あれこれと思い出を(たどったら) いつの日も一人ではなかったと
(今更ながら)わがままな私に 唇(噛んで)います

明日への(荷造り)に手を借りて しばらくは(楽しげに)いたけれど
突然涙こぼし元気でと 何度も何度も繰り返す


ありがとうの言葉を (噛みしめ)ながら 生きてみます(私なりに)
こんな小春日和の 穏やかな日は もう少しあなたの
こどもで(いさせて)ください



感動的な場面ですよね~

私の友達は、秋桜を聞いたときに「初めて歌を聞いて泣いた」って言ってました。

この歌は現在のたくさんの歌手の方にもカバーされるくらいの名曲ですよね。


で、気づきましたでしょうか?

タイトルと歌詞の中の「コスモス」っていう部分に。

これは確か本来「秋桜」と書かれる部分です。

なぜ敢えてカタカナで書いたかというと、秋桜の画像を見せて、

「これを漢字二文字にしてみて下さい」

っていうクイズを出し、そこから読解に入るためです。

そのクイズのヒントを出そうと思って、

「この歌は何月頃の場面だと思う?」

って聞くと、

「3月」

って答えます。

その根拠は「小春日和」という言葉です。

字面から春の直前って思うみたいです。

でも、小春日和っていうのは11月頃の暖かい天気のいい日和のことです。

ちょうど今日みたいな日のことです。


で、この時の季節は「秋」っていうことを理解させて、

「日本人が一番好きな花は?」

って質問したりして

「秋桜」っていう漢字を導き出させました(ホンマはそんなにスムーズじゃない・・・)。


そして、青字の部分の母の行動はどうしてなのかを考えさせました。

これは、当時の結婚って、女性が一度嫁いだら嫁ぎ先の家族になるので、基本的には実家には二度と帰ってこないため、この別れが今生の別れになってしまうからです。

ただ、このあたりは総合の時間にゆっくりやるため、読解の解説中にはそういうもんだったっていう程度の説明にとどめました。


で、読解として難しいのが黄色の部分。

特に「時が変える」の目的語は何か?っていう部分。

時が何を笑い話に変えるのか?

正解は「苦労」なんですけど、この理解はホンマムズいです。

つまり、苦労しても時間が経てばその苦労は笑い話に変わるから、心配いらないっていう内容なんですよね。


それから、の部分も彼らにはピンとこない部分です。

で、これも当時の結婚っていうのはどういうものだったかってことが絡んでくるので、総合に回しました。


の部分はマジ泣けます。

ただ、ここも理解はちょいムズい。

まず、あなたって誰なのかは確認が必要です。

これは比較的すぐ分かりますけど。


で、あなたが分かれば「あなたの子供でいさせて下さい」って言ったのが誰なのかも分かります。

ただ「させる」っていう使役が入るので、ヴォイスが苦手な学生には丁寧な説明が必要になります。

そして、主人公の、明日嫁ぐ女性はどうしてこう思っているのか?を考えさせました。

ここも、母の心情が分かっていれば、その娘の心情も分かるはずです。


それから文法もN2以上のものが出てきます。

上から


・~ては

・~ながら

・~げ

・~なりに


です。


まーよくできるクラスだったので、このあたりはすんなりできてました。


☆☆☆☆☆☆☆


で、読解のほうは資料が残ってたので、ここにも詳しく書けたんですが、総合のほうは特に何も残ってないので、あんまハッキリは覚えてません


なので、うろ覚えなんですが、確か「当時の結婚観」と「現在の結婚観」を対比させて、グループワークで「理想の結婚の形態とはどういうものか?」をディスカッションで話し合わせたと思います。


これは結構盛り上がった記憶はあるんですが、どんな意見が出てきたかまではちょっと・・・


ただ、私はこの総合の授業のテーマをジェンダーにはしたくなかったので、「家族のあり方」っていう切り口で扱いました。

あんま覚えてないんですが、女子は概ねこういう結婚観は嫌がってました。

もっと実家に気軽に帰りたいみたいな(笑)


一方男子のほうは、こういうのがイイってカンジでした。

一人ボソッと「何かを手に入れたいなら何かを手放す必要があると思う」ってミョーに深いことを呟いてました。


ただ、これはどっちがいいとか悪いとか、どっちが正しいとか間違ってるとかっていう二項対立にはしたくなくて、どう感じるかっていう視点で考えてもらいたかったんです。


私がこのエントリで書きたかったのは、こういう昭和歌謡とか、J-POPでもいいんですけど、歌を題材にして、読解 → 総合(小論文)っていう流れの授業が可能だってこと。

紋切り型っていうか、新聞記事やグラフだけが題材ではなく、柔軟性をもって色々なネタを授業で使えるんですよね。



あ、因みに私が一番好きな山口百恵さんの歌は「謝肉祭」です



ほな、さいなら!


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akky_san at 19:21|PermalinkComments(0)授業内容 | 読解

2015年11月29日

N2文型の運用練習でお悩みの先生にオススメ! レベルアップトレーニングN2文法

昨日のエントリで私が思い出せなかった教材をご紹介します。

第11回 日本語教師 勉強会 今回は中級文型の模擬授業をやってもらいました


それが、このレベルアップトレーニングN2文法(2012年 アルク ISBN978-4-7574-2210-0)です。





これ、オススメです

どうオススメかというと、これはかなりN2文型の会話教材として重宝するからです。


まず、構成を紹介していきます。


まずは、文型自体を覚えているかどうかを確認するための「力試しテスト」から始まります。


こんなん ↓ です。


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ちょっと見にくいですかね・・・

2ページあって、その4分の3が四択で、残りが並び替えです。

いわゆる日本語能力試験(JLPT)と同じような問題。


次はポイント整理なんですけど、これは教師が分かってればOK。


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次に、「書き換えよう」と「自分を表現しよう」です。


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「書き換えよう」は問題として?な部分もあるので、割愛してもOK。

例えば、ユニット5の「書き換えよう」で、

「ルールは当然守らなければならない」っていう部分を、

「ルールは当然守るべきだ

にするのを正解としてます。

ん~でも私は学生に「~なければならない」と「~べきだ」を同じであると認識してほしくないなって思うんですよね。


で、「自分を表現しよう」から本格的な運用練習に入っていきます。

ここから面白くなってきます。

これは例えば


・友達の中で「すごいなあ」と思う人について教えてください<Aだけあって、B>


っていうような問題です。

「自分を表現しよう」ってことなので、学生によって答がバラバラになります。

色んなやり方があると思うんですが、私はこの部分をペアワークで練習させて、面白い答えを取り上げて、そのペアに皆の前で会話させたりしました。

ただ、ここから先生方の意見が分かれるんですが、それは「答えを書かせるか書かせないか」です。

純粋に会話練習としてこの教材を使う先生は書かせない方がいいって言うし、会話練習ではあるけれども、書かせるところから始めたほうがいいっていう先生もいらっしゃいます。

まあそのあたりは、学生の様子を見ながら柔軟にやっていけばイイんじゃないですかね?


次にロールプレイがあり、最後に「練習しよう」です。


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ロールプレイは会話が進められていて、一部下線になってます。

その下線の横にどの文型を使えばイイかのヒントが書いてあって、その文型を入れて会話を考えてから練習する問題です。

で、最終的に「練習しよう」になります。

これはこんなカンジの問題です。

・<AどころかBさえ>

①A:Bさんはお酒強いですか。日本酒、飲めますか。
→B:


私が授業の口頭練習するときの、最終的な段階の練習とほぼ同じです。



全体としては、ちょっと無理くりやろ!みたいな問題もあることはあるんですが、比較的使いやすい教材です。

例えば、「練習しよう」の部分で「~つつ」が取り上げられてるんですが、この文型自体あんまり会話で使われないと思うんですが・・・

私の友達はよー使ってますけど、かなり個人差がありそう。

あと、「のみならず」もこの部分で取り上げられてます。

普通は、口頭では「だけでなく」を使うことが多いと思います。


ただ、経験が浅い先生で、どういう運用練習をさせればいいのかなかなか分からない方や、経験がある程度ある先生で、ちょっとネタ切れだったりする場合に、とても参考になる教材です。


そういうことで困ってる先生は、是非見てみて下さい


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因みにこのN1文法もあります。




楽天ブックス

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akky_san at 15:58|PermalinkComments(0)教材 

2015年11月27日

N2復習に作った、かなりムズいけど学生が楽しみにしてるテストのメリット6つ

最近、学生が楽しみにしてくれてる復習テストがあります。

私は前からこのタイプのテストを作ってるんですが、今文法の授業を担当してるクラスでは、先々週くらいからやり始めました。


どんな問題かっていうと、こんな問題。


1 大雨・値段・せい・上がる・続く・野菜。


これだけだったら何のことか分かんないですよね?

説明しよう。

この問題は、これらの言葉を並び替えて、必要に応じて助詞を入れたり形を変えたりして、日本語として自然な文を1文作りなさいっていう問題。

これ、かなりムズいです。高度です。

なので、学生がこういう問題に慣れるまでは結構問題を解くのに時間がかかります。


なので、なぜ、どのようにこういう問題がムズいのかも含めてメリットを挙げていきます。



☆☆☆☆☆☆☆



1 学生のモチベーションが上がる

これ一番大きいです。

今日の授業で文法に入るときに、

「先生、今日もいつものテストがありますか?」

って聞かれました。

その学生の様子を見た感じでは、嫌がってるっていうより楽しみにしてくれてるっていうカンジでした。

嬉しいもんです。

普通、「今からテスト」って言おうもんなら、

「ええっ・・・」

って反応になりますから。


あと、テスト中はかなり真剣に取り組みます。

シーンってしてます。


で、答え合わせの時は、「ああっそうやったんや!」ってカンジで盛り上がります。


2 全てにおいて考える必要がある

例えば、上記の問題で、

大雨が続いたせいで              

っていう問題なら、文の前半は理解できた時点でそれについて考えることはありません。

でも、私が作った問題の場合、言葉は与えられてるけど、それについては語順、助詞、活用形など全てを考えなければならないため、学生としては考えるべきことが非常に多くなります。


言うなれば日本語を使った論理クイズのような問題でもあるので、学生は頭をフル回転させる必要が出てくるってことです。


3 文法が正しくても発話意図と合わないとダメっていう認識をさせられる

時々、

「先生、これは文法は正しいでしょ?」

みたいな発言をする学生がいます。


私はそういうときには

「その文だと~っていう意味になるけど、最初からそういう意味を想定して書いたんだったら〇にしたる」

って言います。

大体、そこまでは考えてないので、✕になるんですけど・・・


つまり、文法的には正しくても、自分が言いたいことと自分が作った文の意味が違うことがあるっていう気づきをさせられるのがかなり大きいメリットになります。


4 色んな角度で日本語の文の分析ができる

こういう問題だと、

「先生、これはダメですか?」

っていうような質問が多く出てきます。


で、この部分まではいいんだけど、後半のこの部分との整合性が無いからダメっていうことも指摘できたりします。

また、助詞が抜けてるのか、動詞の形が違うのか、語順がそもそもおかしいのかとかなどフィードバックの時に色々な確認ができるっていうのは大きいです。


5 カンニングができない

こういう問題は、テキストを見さえすればできるような問題ではないので、自分で真剣に考えざるをえなくなります。


6 日本語能力試験(JLPT)の問題を易しく感じる

日本語能力試験の問題で並び替えがあるんですが、それは助詞も入っていて活用形も適切な形になっているので、私が作る問題よりも難易度は低いです。

実際、こういうテストをやってなかったクラスでは並び替えの問題が一番難しかったっていう学生が多いのに比べて、問題をやってたクラスのは並び替えの問題が一番易しかったって言います。


☆☆☆☆☆☆☆


今日面白かったのは、

2 くらい・会う・今まで・彼女・女性・女性・美しい・いる・私・中。

っていう問題。

(正解は、私が今まで会った女性の中で、彼女くらい美しい女性はいない。です)


このテスト中に、学生の一人が

「先生、この文は告白の時の文ですか?」

って聞いてきました。


超賢い

私は、「彼女の部分が『あなた』だったら、告白の文になるね!」

ってヒントを出しました。


☆☆☆☆☆☆☆


こういう問題マジで楽しいですよ。


こちらが全く意図してないけど、文法的には正しい文も出てきたりして、スリリングでもありますし。


あと、これは初級でも有効です。

ただ、初級の場合は語順は変えないほうが効果的かも。

特に連体修飾とか。

例えば、

昨日・私・母・作る・料理・とても・おいしい。

みたいな文。

これは、「は」と「が」の区別ができるかどうかと、「作った」とか「おいしかったです」っていう時制の問題ができるかのチェックができます。

つまり、色んな項目のチェックが一度にできてしまうっていう問題です。

つまり、教師側にも色々メリットがあるんですよね~


よかったら、こういう問題を学生にやらせてみるってのもいいんじゃないでしょうか?


ホンマにムズいけど、もしかしたらそういうテストを楽しみにしてくれる学生もいたりするかもしれませんよ~


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akky_san at 18:42|PermalinkComments(0)授業内容 | 文法

2015年11月26日

能力が低い人ほど自分をメタ認知できてなくて自己評価が高いです

10年以上日本語学校の学生を見てきて、ホンマに、能力が低い人に共通してるのが、自分をメタ認知できてなくて自己評価が高いっていう傾向。

これ、普遍的な真理なんちゃうかとすら思います。

ホンマできへん学生に限って、かなりレベルの高い大学を受験しようとします。

あと、大学入試じゃなくても、日本語能力試験でも自分のレベルよりかなり上のレベルのテストを受験したりします。

これ、何年か教えてはる先生は「そうそう!」って共感してくれそうな気がします。


こういう学生の進路指導はめっちゃしんどいです。

第一志望はもちろんかなりの難関大学です。

で、私達はそこの大学を受験することは否定しませんが、もうちょっと現実路線の大学の受験を促しますが、なかなか受け入れてもらえないってことが多いです。

これ、かなりリスクが高いです。

さらにタチが悪いのが、私達の提案を受け入れて「はい、分かりました」って言ってたにもかかわらず、実は受験してなかったみたいなパターン。

こういうことされると、ホンマ取り返しがつきません。

で、そういう学生はホンマは教師の言い分に納得してないんだけど、日本語で論理的に反論する能力が無いので、その場は一応分かったふりをしてやり過ごしてるんじゃないかって思います。



☆☆☆☆☆☆☆



私は、こういう学生には共通点が2つあると感じます。


1 自分の能力の低さを自分以外に転嫁する

私はそういう学生がいたら、客観テストをして、「ほら、自分で思ってるほどできへんやろ!」と言わんばかりの意地悪なことをします。

それも含めて、学校の定期テストや留学試験の模擬試験などの自分の点数を見せつけられて、気づいてくる学生もいます。

ただ、ひどい人になると、

・これは何かの間違いだ!
・運が悪かっただけ
・このテストの時は体調が悪かったから
・隣の席の人が挙動不審で集中できなかった
・前の日に緊張して眠れなかったから

などなど、「テストの結果が悪かったのは自分のせいじゃない」などと、他のせいにします。

いわゆる自己欺瞞ですね。

私はこういう学生につける薬は無いと思っているので、正直お手上げです。

もう、「いつか頭打たんと分からんやろな~」って思うしかありません。

でも、最近の大学の様子で気になることがあります。

それは、「相当レベルの低い学生も合格させ始めてる」こと。

正直、簡単な会話もままならない学生が合格したりしてます。

そうなるとどうなるかというと、「先生は無理って言ってたけど、イケたやん!やっぱオレの日本語まーまーイケてるんや」などという考えになってしまい、その思い込みがますます強固なものになってしまいます。

私は頭を打つのは早ければ早いほどいいと思ってるのですが、大学がこういう動きをするとそのタイミングが後へ後へずれ込んでしまいます。

私、これヤバいことだと思いますけど・・・


2 そこそここなれた会話ができる

自己評価が高すぎる学生は、この特徴を持ってることも多いです。

そこそここなれた会話ができるっていうのは、会話の能力が高いってことと同義ではありません。

簡単な受け答えが普通体や若い人の言葉でできるってだけで、複雑だったり内容がある会話はできません。

「オレって結構日本語で会話できてるやん!」って思ってるふしがあって、そのこと=日本語ができるっていう幻想に陥ってます。



☆☆☆☆☆☆☆



こういう学生って、根拠の無い自信があり楽観的なので、自分の進学も「まー多分大丈夫だろう」とか思ってます。

でも、来月の15日に留学試験の結果が発送されることになっていて、その結果を見てから初めて焦り始めたりします。

ただ、そのタイミングで焦っても選択肢が少なくなってしまってるので、かなり困った状況になります。


もうホンマに今まで何人こういう学生を見てきたことか・・・


あと、能力が低い学生で自己評価も低い学生もいます。

そういう学生は必要以上に自信を失ってたりするので、それはそれで対応が難しいです。


ただ、今担当してるクラスの一つがこの傾向が非常に強くて、8割くらいこんな学生です。

もうマジでどうすんねやろって思います。



☆☆☆☆☆☆☆



あと、今までずっと学生の話をしてきたし、カテゴリも学生なんですけど、これは教師にも当てはまります。

授業に問題がある人ほど、それに気づいてないっていう。

そういう人は自己研鑽をしようっていう発想すらありませんし、学生がどう思ってるか推測もできません。


以前、「日本語初歩」っていう扱いが超難しい教科書を使っていた初級クラスを担当してた、経験年数が3年ほどの男性教師が、

「オレは初級のことならもうほとんど分かってるし」

って言ってました。


そうはなりたくないな~って思います。


反対に、超ベテランの先生は

「この教科書にはまだまだ私も気づいてない意図がありそう。本当に初級のことはまだまだ分からないことが多いわ」

って仰ってました。

私からみると、もう何でも分かってそうな先生なんですけど、そういうふうに思ってらっしゃるみたいです。


教師も、「自分はイケてる教師である」って思った瞬間にイケてない教師になってそうです。


私も気をつけようっと。


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akky_san at 19:00|PermalinkComments(0)留学生 

2015年11月25日

日本語教育初心者の人が揃えておいたほうがいい書籍 まとめ

今さら感アリアリですが・・・

私が日本語教師になったばっかりの時はまさに右も左も分からない状況で、どんな書籍を揃えておいたらいいのかとか全然知りませんでした。

そんな状態で授業に臨んでたりしたので、超困りました(かなり無謀)。


さらに当時、私が担当したクラスは、横並びにベテラン教師がおらず(何年か教授経験のある同期の先生ばっかり)、そういう情報が入ってきませんでした。


今は、情報が手に入れやすい状況ですが、もしかしたら私みたいな人もいるかもしれないと思ったので、今回書いてみます。

私のブログを読んでくださってる方の中には日本語学校で働き始めたばっかりの方や、ボランティアで教えてはる初心者の方、海外で教えててあんまり情報や教材に触れられない方もいると思うので、今回は特にそういう方向けの書籍を紹介します。


で、私が日本語教師になったばっかりの頃はそういう書籍も今ほど種類が無かったです。

今回は、私が実際に使ったものを中心に紹介しようと思うので、結構昔からあるものばっかりになりそうですが・・・


で、一応家にはあるんですが、かなり古くて写真を載せるのも恥ずかしいので、Amazonの商品を貼り付けます。


☆☆☆☆☆☆☆



1 日本語文型辞典



これは必須ですかね。

初心者はこれを持ってないと、かなりしんどいです。


ただ、私は個人的にはこの辞典は100%は信じてないっていうか、ちょっと意見が違う場合があります。

なので、参考程度っていうか、全部を鵜呑みにしないほうがいいかもしれません。


それから、前にも書いたんですが、学生もこの本を持ってる可能性があります。

今は中国語版、英語版、タイ語版、ベトナム語版なども出てますから。

だから、この本の中の例文をそのまま使うのはやめておいたほうがいいです。



2 日本語文法ハンドブック





この書籍も持ってる人は多いと思います。

初級と中上級に分かれてます。


ただ、私は教案を作るときには、まずこの本を読むっていうことは少なかったです。

なぜかっていうと、恐らくこの本は初心者の人にとっては若干難しいから。

だから、使い方としては、学生からその場では答えられないような質問をされた時とか、誤用の分析がなかなかできない時とかみたいに、困った時に読んでみるっていうのが良さそう。

そういう、深く考えないといけないときに頼りになる書籍かなって思います。


まあ私の場合は、何か分からないことがあってもやっぱりこの本はあんま読みませんでした。

それは私がすぐ答を出せたとかいうことではもちろん無く、専任やベテランの先生に聞いてたから(笑)

でも今は、なかなか気軽にそういう質問ができない学校があったりベテラン教師がいなかったりするっていうのもよく聞くので、この本は置いておくと安心です。



3 使い方の分かる類語例解辞典



これにもお世話になりました。

私が初めて担当したクラスは、上級のトップのクラスでした。

そのクラスでは色々な授業を担当したんですが、当時の日本語能力試験1級の「語彙」の授業も担当しました。

その時に使ってた問題集には、次のような問題がバンバン出てきてました。


・部長は結婚の仲人を快く(   )してくれた。

1 了承  2 了解  3 承諾  4 承認


これ、この辞典がないとどないもこないもなりません。

っていうか、今の学生「仲人」を正しく読むことすら多分できない・・・


この辞典は、よく似た意味のものをグループにまとめて、メインの意味を中心にそれぞれの意味の違いを解説してます。

ただ、これも短所があります。

なんか、逃げてるっぽいグループ分けがちらほらあったりします。

例えば、私はAとBの違いが知りたいのに、それぞれ違うグループに分けられていて、その2つの違いが記載されていない場合があるってこと。

あと、違う使い方の説明を持ってきて、2つの言葉の違いについては説明が無かったりします。

例えば、「元来/もともと/本来」の場合、

「『もともと』は『失敗してもともとだ』のように、何かをした結果が以前の状態と少しも変わりが無い場合にも使われる」って書いてあって、「元来」と「もともと」の違いについては書いてありません。

横に、使える場合と使えない場合の表はありますけど。

なんか意図的に避けてるように思えます。

なので、この辞典を参照しても疑問が解けないってことは出てくると思います。

あ、因みに「本来」についての説明はあります。



☆☆☆☆☆☆☆



私は上記の3種類の書籍さえあれば、最低限のことは分かると思ってます。

でも、持ってて助かった書籍もあります。


4 活用自在 反対語対照語辞典



これもそんなに頻繁に使ったわけではありません。

ただ、反対語を提示しようと思った時にど忘れしてたり、ホンマにその反対語が正しいのか確認したりしたい時に重宝しました。

で、どうして反対語を提示するのかというと、学生にとって理解が難しい概念の言葉の場合、その言葉だけ説明しても理解できないことがあります。

そんな時に反対語はこれですよって言うと、その元々の言葉の理解ができることがあるからです。

あとは、「この言葉の反対語は何だと思う?」って聞くことによって、説明ばっかりではなく、学生に考えるって作業をさせることができますし。

そういうときに結構便利です。



5 日本語コミュニケーションゲーム80



これ、地味に役に立ちました。

初級担当の先生は持っておくといいかも。

よく似た教材にスリーエーネットワークのクラス活動集があるんですけど、あれって新日本語の基礎に準拠してて、文法項目で探しにくいんですよね・・・


ただ、この教材も全部がめっちゃ便利かっていうとそうでもない活動もあるので、ピックアップするか、一部を自分でアレンジして使うといいかも。

あと、この活動の「47やりもらいゲーム」は学生は結構ハマります。

これはペアでインフォメーションギャップを利用する活動なんですが、かなり真剣に取り組みます。

だから、この活動をさせる時は最初からある程度の時間は取っておいたほうがいいです。


☆☆☆☆☆☆☆


なんか古い書籍ばっかりの紹介になってしまいました・・・


今はもっといいのがあるのかもしれませんが、私は自分が使ったものしか紹介できないので、こういう運びになりました。

なんか、色々忘れてる書籍もありそうなので、また追記するかも。


あと、逆説的ですが、初心者の方はこれらの書籍からできるだけ早く離れられるようになったらいいなと私は思ってます。

なぜって、それはこういう書籍が無くても授業ができる力がついたことを意味するから。


だから、最初のうちはこういう本に頼らざるをえないかもしれませんが、くれぐれも依存しないようにしていただきたいとも思います。


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akky_san at 17:35|PermalinkComments(0)日本語教師