2016年06月

2016年06月30日

あなたが今の学校を辞めたら、他の学校から声がかかりそうですか?

日本語学校の雇用は、けっこう流動的です。

ザックリ書くと、講師の入れ替わりが頻繁にあるってことです。

ただ、私は前に勤務していた学校には10年以上いたんですが、これはかなりレアなケースかと思われます。

まあ、一時期は他の日本語学校と掛け持ちとかもしてたり、日本語教育以外の仕事と並行してやってたりもしたんですけどね。


で、その長年勤めた学校を辞めて、ゆるゆるしようと思ってたらお世話になってる先生からお声がかかって今の学校で日本語を教えることになりました。

こうなった理由は、前の学校を辞めるってことを発表するのが解禁になったタイミングで(前の学校の学科長から辞めることを他の人に言うのを口止めされてたっていうか、それを発表していい日程を指定されてたので)、以前からお世話になってた今の学校の先輩ベテラン教師と専任の先生にメールしたところ、「こっちに来ませんか?」って言われたから。

そのときは、「日本語教師はしばらくいいかな」って思ってたんですが、やっぱ人材として求められると嬉しいもんで、すぐお受けしました。

今の進学コースのクラス数が増えたので、単純にそういう理由かなって思ってたんですが、後々聞いたところによると、「クラス数が増えたのはそうなんだけど、『小論文』を教えられる教師を探していた」っていうことのようでした。

つまり、akkyなら小論文の授業が任せられると判断されて、白羽の矢が立ったってこと。

あと、今の文法クラスを任されてるのは、初級から上級までオールマイティに文法の授業ができるから、っていうのも言われました。


☆☆☆☆☆☆☆


これを読んでる先生は、もしご自分が現在勤務されてる日本語学校をお辞めになることになったら、他の学校から声がかかりそうですか?

まあ前提として、ある程度人脈が必要にはなりますね。

幸い私にとっては、前の学校でご一緒した先生方が前の学校をお辞めになって色んな学校に散ったっていうのが大きいです。

また、勉強会を主催してるってことも、後々私にとって人脈を広げることになるかもしれませんし、勉強会に参加されてる先生同士もつながりができるので、今後転職するとなった場合、何らかの影響が出てくるかもしれません。


日本語学校って、採用に関して結構口コミが効いてくることが多いです。

ネットに載ってない募集なんかもあったりしますし。


ということは、その時に勤務してる学校で、他の先生からどのように評価されてるかってことが、かなり響いてきます。

で、他の先生がどのように教師を評価するかっていうと、私の場合は結構活発に授業を見せたり見せてもらったりしてましたし、学生からの評価も他の先生の耳に入ったりします。

それと、例えば私が初級で教えたクラスが中級になったときに、その中級の先生が学生の初級レベルのことがどれくらい正確に定着しアウトプットできているか、といったようなところでも評価されます。

知らず知らずのうちに、色んなところで他の先生から評価されてるんですよね。

なかなか恐ろしいことですが、こればっかりはどうしようもありません。


そして、そういう口コミでは「日本語がきちんと教えられる人」って評価がなされているかどうかが非常に大きいのですが、「+α」があればさらに良いです。

例えば私の場合であれば、「小論文の授業が展開できる人」といったようなことです。

あ、それから私の場合、「専任講師が細かいカリキュラムを作らなくても、自分で勝手に授業が構築できる」っていうのもあるかも。

時々いません?「細かいところや進め方まで全部指示してください!」っていう先生。

私はそういうタイプとは真逆で、丸投げされたとしても全然平気 なので(むしろそっちのほうが嬉しい)、専任講師の仕事が減らせる便利な日本語教師だろうと思います。


あと、私が知ってる素晴らしい先生の特徴としては、


・できる学生の日本語能力をさらに引き上げる

・できない学生をクラスの平均以上に引き上げる

・音声の専門家で、発音矯正が上手な

・非常にロジカルで、ロジックを学生に分かりやすく伝えられる

・スピーチやプレゼンの様々な手法をご存じで、学生に合わせて指導できる


といったことが挙げられます。

他にも色々ありすぎて、全部挙げるときりがなくなってしまいます。

これらは授業の中でのことですが、授業外でも「進学についての情報に非常に詳しい」なども、「+α」になり得ます。


私の小論文の授業が評価されているのは、多分私が小論文の授業をするのが好きだから。

小論文の授業であれば、


1 テーマ選び

2 そのテーマの題材選び

3 その題材でどう授業を展開するか、流れをどうするか考える

4 どういう構成で書かせるのか考える


といったようなことをする必要があります。

私は考えるのが好きだから、こういう作業は全く苦にならないどころか、幸福感すら感じちゃいます。

あと、書かせた後のフィードバックもどうすれば効果的なのか、ってことも考えます。

ただ提示すればいいのか、学生が特定の文法をたくさん間違っていたら問題形式にするのか、語彙の使い方の間違いであれば間違った学生にその場でその語彙を使って文を作らせればいいのか、などなどです。


まあ結局は、


自分が好きなこと = 得意なこと = 強み = 評価される対象


ってことなのではないかと。

自分の強みが何なのかまだ分からないっていう人には、こちらがおススメ → あなたには日本語教師としての資質がありますか? 「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」


やっぱり、自分の強みを把握しておくと、その強みは武器になります。

なので、今いる職場に色んな問題があっても、強みがあってそれを評価してくれる人がいれば、セーフティネットになるっていうかすんなり転職できます。


日々の授業や業務に追われてる人も多いかと思いますが、普段から「自分の強みは何なのか?」ってことを考えておいたほうが、長期的なスパンで見ると大事なことです。


私は経験的に、「見てくれてる人はちゃんと見てくれてる」って感じることのほうが多いので、これを読んでる人の「強み」を必要としてくれる学校は必ずあると思います。

でも、そのためにはきちんと自分の強みを把握しないといけません。


今現在は日本語教師は売り手市場ですが、これがいつまでも続くとは思えません。

もしそうなったときにどうするかは、結構大きいです。


今の学校を辞めても、声がかかるくらいになっておけば、精神的にも余裕が出てくるはずです。


ほな、さいなら!



語学(日本語) ブログランキングへ

にほんブログ村 外国語ブログ 日本語(外国語)へ
にほんブログ村 


このエントリーをはてなブックマークに追加
akky_san at 20:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0)生き方 | 働き方

2016年06月29日

「使役」の授業をしたらやっぱり学生は「受身」と混同してた

先日、文法のクラスで「使役」を教えました。

最初、どのくらいできるかな?って思ってたんで、私がある指示を行ってそれを描写させてみました。

どういう行為かというと、

私「〇〇さん、立って下さい。」

〇〇さん、起立。

私「私は何をしましたか?」

っていう流れです。

最初は、「先生は、立って下さいと言いました。」

って言ってたので、

「うん、そうですね。その結果、〇〇さんは立ちましたよね?そこまで含めて言ってください。」

すると、ベトナム人男子が、

「先生は〇〇さんにたたられました。」

と発言。

私「・・・・・・」

「たたられました」って漢字で書くと、「祟られました」になります。相当怖いんですけど。〇〇さん、私にに生霊を飛ばしてるんでしょうか・・・六条御息所かっ


ベトナム人男子はおそらく、「先生は〇〇さんに立たれました。」(受身)って言いたかったんだと思います。

でも正解は、「先生は〇〇さんを立たせました。」(使役)です。

つまり、彼は「使役」と「受身」を混同してるってことです。

ホンマにこういうケースめっちゃ多いです。

もう文法の混同の多さでいうと、「使役」と「受身」の混同が№1です(akky調べ)。 

どちらもヴォイス(態)で、今までは主体=動作主であったのが、「使役」も「受身」も主体≠動作主になるって部分が共通しているからでしょう。

さらに、日本語の初級のいくつかの教科書では、「使役」と「受身」をかなり近いタイミングで提出しています。

これね~良くないです。

提出される課が離れていても混同するのに、時間をおかずに教えたら余計混乱します。


私はその後それは受身だよ!って指摘した上で、使役の意味と形を説明。

意味に関しては、


①強制   先輩が嫌がる後輩に酒を飲ませた。

②許可   先生は体調がすぐれない学生を帰らせた。

③誘発   彼はいつも面白いことを言って、みんなを笑わせる。


だけにとどめました。

これ以外にも自責、無生物主語などの使役がありますが、こういうのはまず理解が難しいし、彼らの記憶のキャパが小さそうなので、触れませんでした。

無生物主語の使役って、受身ほどじゃないにしてもたまに読解とかで出てくるから、ホンマは教えたほうがいいんですけどね・・・


それから、助詞についても説明しました。

まず先ほどの、「先生は〇〇さんを立たせました。」っていう自動詞の文から。

ここで、「実際に動作を行う人」の後の助詞は「を」であるって強調。

で、中国人女子に、

「ホワイトボードに好きな日本語の言葉を書いてください。」

と指示して、書かせました。

それが、これです ↓ 。





肉かよ。

でも、これって中国語にもある漢字じゃないん?

できたら日本語にしか無い言葉を書いてほしかったんですけどね。

そして、「私は何をしましたか?」

って聞くと、

「先生は△△さんに好きな言葉を書かせました。」

って、意外とアッサリ正解が出てきました。

とはいうものの、他動詞の場合、人の後の助詞がなぜ「を」じゃなくて「に」になるのかは、誰も答えられませんでした。

なので、なぜなのかを説明して押さえました。

まあ一般的には、「こういうルールだから覚えてください」みたいな説明が多いかとは思うんですが、私の経験上、きちんとそうなる理由を説明して学生も腹落ちした場合のほうが文法の定着率が高いので、理由が説明できるものはできるだけそこまで踏み込んで教えます。 


ここまで一通り説明してから、いつものように「初級文法ポイント20」の問題の一部をさせました。

ただ、この問題集を使うこと自体は「いつものように」なんですが、今回は問題をさせるタイミングはいつもとは違って、文法説明の後に行いました。

なぜかというと、この「使役」は理解も難しいし誤用も多いので、説明の前に問題をさせてしまうと収拾がつかなくなると判断したからです。

結果としては、あんまり誤答も無く、よくできていたほうです。

ただ、

・社長「インターネットで調べなさい。」→社員はインターネットで調べました。 
社長は                       。

っていう問題では、

社長は社員をインターネットで調べさせました。

って答えた学生が多かったです。

これは、「~を」っていうのが問題文では省略されているためです。

その結果、学生は「調べる」が自動詞だと思ってしまったんです。

よくあるパターンの間違いです。

でも、実際日本人はそこを省くことも多いので、引っかからないようにする必要があります。

初級の練習問題みたいに、他動詞であればどんなときでも「~を」が書かれてると思ったら大間違いです。


この後、私が状況説明をして、学生に「使役」を使って言わせるっていう口頭練習を何回かして終了。


「使役」の活用形の発音自体も難しいらしく、なかなかスラスラとは言えてませんでした。

まあ、こればっかりは慣れてもらわないと。


あ、あと日本語の先生に聞きたいんですけど、Ⅰグループの使役形の作り方ってどう教えてます?

私は以前は、例えば


・読む Yomu  +  aseru → 読ませる

とかってやってたんですが、これだとちゃんと考えないと言えないので、彼らには無理だとおもってやめました。

代わりに、

・読む → 読まない + せる → 読ませる


っていうふうに説明しました。

なんだか、こっちのほうが覚えやすそうでした。


でも、次回形の確認で一人一人に言わせたら、ちゃんと覚えてるかどうかは疑わしいですが・・・


ほな、さいなら!


語学(日本語) ブログランキングへ

にほんブログ村 外国語ブログ 日本語(外国語)へ
にほんブログ村 


このエントリーをはてなブックマークに追加
akky_san at 20:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)授業内容 | 文法

2016年06月27日

「もし将来結婚したら、相手にしてあげたい/してもらいたいこと」で作文書かせてみたら、思ったより色々出てきた

前回の文法のクラスで「あげる/もらう/くれる」の授業をやった時に( → 「動詞 + あげる/もらう/くれる」の授業で実際に学生に買い物に行ってもらった)、最後に「もし将来結婚したら、相手にしてあげたい/してもらいたいこと」っていうテーマで作文を書かせて授業を終えました。

内容的には、思ってたよりも色々出てきましたので、今日はその作文について書こうと思います。 


☆☆☆☆☆☆☆

 
まずは、ベトナム人男子1。

・嬉しい時、悲しい時、辛い時、一緒にいてあげること。人生の最後まで一緒にいてあげます。料理、家事、炊事、経済力お互いに


途中で終わってます。

20分くらいあげたんですが、この状態です。

ん~彼が受けたがってる大学の小論文は800字なのに、大丈夫なんでしょうか?


あと、彼はまだ若いので、自分のほうが先に死ぬって可能性は想像もできないんでしょうね。

大体どこの国でも男性の平均寿命のほうが短いんですけど。


それと、最後の部分に「お互いに」って書いてあるんですが、こういう文脈だったら「~てあげたい/てもらいたい」は使えなそうです。


次にベトナム人男子2です。


・もし将来結婚したら、相手にしてあげたいことがいっぱいあります。将来結婚するとき、海岸で大きいパーティーを開いてあげたいと思います。それから、世界一周旅行に連れて行ってあげたいです。それから、結婚した後で、家事を一緒にしてあげたいと思います。相手にしてもらいたいことは、愛することだけです。


なんかイケメン臭が漂ってくるような内容です。

特に最後の文。

なんか、書いてる時は「船上パーティー」のこととか聞いてきてたんですが、それは書かれてません。

どうしたんだろ?


ベトナム人女子1。
 

・もし将来結婚したら、相手にしてもらいたいことは、私のために生活のことを手伝ってもらうことです。例えば、ベトナムでは基本的には子育てや家事をやるのは女の人です。私は、そういうことはずっと「不公平じゃないか」と思っています。なぜなら、女の人は子育てや家事だけじゃなくて、会社でも仕事があるのでとても忙しいからです。だから、結婚したら相手に手伝ってもらいたいです。その上、浮気しないでもらいたいです(笑)


かなり内容が作文としてまとまってきてます。

「その上」の使い方がちょっとおかしいですが、それ以外は概ねよく書けてます。

「~ないでもらいたい」っていうまあまあ高度な表現が使えてるのも、良いです。


ベトナム人女子2。


・もし将来結婚したら、相手に毎日料理を作ってあげたいです。私は家事とか料理を作ることとか嫌ですけど、結婚したらそういうことをしてあげたいです。私は相手に関心をもってもらいたいです。


健気です。

嫌なことでも相手のためなら頑張ってしてあげたいんですね。

「関心を持ってもらいたい」っていうのは、多分「いつまで経っても私という人間に対して興味を持ち続けてもらいたい」ってことかな?って思います。


中国人男子。

 
・もし結婚したら、相手に責任感を持っていると感じさせてあげたい。なぜなら、結婚すると二人で長い時間一緒に生活し家族になり、責任を持たなければならないからだ。私は相手に私の気持ちを汲み取ってもらいたい。家族は時々けんかをするかもしれない。その時、相手に理解の心が必要だ。二人の間に問題があっても、協力して解決しなければならないと思う。


これ、「もし結婚したら、」の後に「私が」っていう言葉が省略されている、と善意に解釈してあげました。

それにしても、「なければならない」とか「必要がある」っていう言葉が並んでると、固定概念にガチガチに囚われていて大変そうだなって感じます。

何となく抽象的な語彙が多く、昔の典型的な中国人学生の発想っていう気がします。

 
トルコ人男子。


・もし将来結婚したら、相手を楽にしてあげたい。私の考え方では、結婚とは真剣なものじゃないので、お互い一緒に暮らすのも何か協力するのも、楽しめなければいけないと思う。
  相手にしてもらいたいことは、尊敬だ。結婚生活はお互いに相手に対しての尊敬が無かったら、長続きしないと思っているからだ。結婚したからって自由度が下がるとは限らないと思うので、たとえ何十年たって愛情がなくなったとしても、相手に対しての尊敬があったら、その夫婦が2人で何もかも乗り越えられると思う。


他の学生も色々日本語の間違いをしてたんですけど、細かい部分だったのでそこは訂正して載せましたが、ちょっと彼の作文には間違いとよくできた表現 が混在してるんで、そのまんま載せました。

で、間違いや内容的におかしい部分は赤字に、中級以上の表現は青字にしました。 


まず彼は、「楽(らく)」と「楽しい」を同じ意味だと思ってます。

さらに、「楽にしてあげる」って日本語は、相手を殺す直前に相手に言うセリフじゃないですか?

相手の首に手を書けてるシーンとかで使われそう。

もし本当に「楽」っていう言葉を使いたいんなら、「楽させてあげたい」にしてほしいし、後ろに「楽しめなければ」ってあるので「楽しい」っていう意味で書いたのなら、「相手に楽しい生活を送らせてあげたい」とかにしてほしいです。

あと、最後のほうの「その夫婦」ってどの夫婦?

これ、テーマは「もし将来結婚したら、相手にしてあげたい/してもらいたいこと」なんですけど。

すっかり他人事の話になってしまいました。

でも青字の部分の「Aからといって(からって)Bとは限らない」とか(この文脈なら、私としては「限らない」じゃなくて「わけではない」を使ってほしかったんですけど・・・)、「~たとしても」(「ても」ではなくて)、「乗り越える」などが使えているのは素晴らしいと思います。

ちょっと気になるのは、自分がしてあげるのは「楽しませる」ことで、してもらいたいことが「尊敬」ってどうなんですかね?

なんかちょっと内容の重みにギャップないです?


 
まだまだ文章を書くのに時間がかかりすぎなんですが、やっと「習った文法を使って、自分が思っていることを文章で表現する」ってことに慣れてきたようにも見えます。


欲を言えば、もうちょっとテキパキ書いてほしいんですけどね。


ほな、さいなら!


語学(日本語) ブログランキングへ 

にほんブログ村 外国語ブログ 日本語(外国語)へ
にほんブログ村 


このエントリーをはてなブックマークに追加
akky_san at 20:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0)授業内容 | 文法

2016年06月26日

私たち日本語教師は今まで漢字教育を真剣に考えてこなかったんじゃない?

今までの日本語学校には、中国人留学生、台湾人留学生、韓国人留学生の割合が多く、他の国籍の留学生はマイノリティという時代が長く続いてきました。

さらに、やはりこういう時代では中国人学生の割合が最も多く、漢字が分からない韓国人とその他の国籍の学生はクラスのごく一部で、日本語学校のクラス内の学生はほとんどが漢字圏の学生という状況が多かったです。

そのため、私たち日本語教師は、「漢字圏の学生が多い」という状況にあぐらをかき、外国人にどうやったら効果的に漢字を教えることができるのかと真剣に考えることを、ずっと避けてきたように思います。

しかし、今非漢字圏のベトナムとネパールからの留学生の数と割合がどんどん増えてきています。 → 日本語学校を悩ませる留学生の学費未納問題


その結果、ずっと漢字教育について考えることを棚上げしていたツケが回ってきています。

今のネパールやベトナムの留学生の様子を見聞きする度に、漢字がネックになって、特に読解、聴解、作文/小論文などに悪影響を与えていて、それが日本語の習得を阻害しているという結果になっているように思えてきます。


☆☆☆☆☆☆☆


今までの漢字圏の学生に行う漢字の授業では、


1 母語の漢字と日本語の漢字の字形の違い

2 母語の漢字と日本語の漢字の発音の違い

3 母語の漢字と日本語の漢字の意味の違い

4 コロケーション(語彙として教える場合)


などを指導していれば大体イケてました。


ところが今は非漢字圏の学生が増えているため、会意文字や形成文字などという漢字の基礎的なところから教える必要に迫られています。 → 非漢字圏学習者への漢字(会意文字)の教え方

さらに、これを教えただけではだめで、どうやって定着させられるかということも考えていかないといけません。

そのうえ、学生が進学を希望していて、留学試験のスコアが必要で「記述」も受験しなければならないとか、志望進学先の入学試験に「小論文」がある場合など、漢字を手書きで書けなければいけません。

あ、っていうかそれ以前に願書にも手書きで記入しないといけませんしね。


私は、非漢字圏の漢字の能力については、「違う漢字を違う漢字であると区別して認識できる能力」と「文脈の中で適切に漢字を表出できる能力」など、分けて考える必要があると思っているのですが、それは別エントリで書きたいと思ってます。


☆☆☆☆☆☆☆


このように書いてきてますが、私にもどうやったら非漢字圏に効果的に漢字を教えることができるのか、まだ分かりません・・・

色々論文なども読んだりして、考えてはいるんですけどね。

なので、このブログや勉強会などで、色んな方と意見交換したり考えを共有したりしていければと考えています。


ただ、中級以上のクラスでは、最近はやりの「テーマや場面でカテゴライズして漢字を提示する」っていうのはあんまり意味が無いような気はしています。

前にもよくできる学生に、バッサリ一刀両断されましたし・・・ → 第12回 日本語教師 勉強会 今回も語彙の扱いが話題に そして私オススメの漢字教材 (このエントリの追記の部分)


また、良いアイデアが浮かんだり、良さそうな情報を手に入れたらエントリに書こうと思います。


ほな、さいなら!


語学(日本語) ブログランキングへ

にほんブログ村 外国語ブログ 日本語(外国語)へ
にほんブログ村 

このエントリーをはてなブックマークに追加

2016年06月25日

イギリスの今後も気になるけど、日本の大学もどうなっちゃうんだろ?

イギリスのEU離脱に関しては、昨日ウチの学校でもこの話題でもちきりでした

いや~ビックリしましたね~どうなっちゃうんでしょうね?

まあ最終決定までには2年の猶予があるとはいえ、メルケルさんもオランドさんもずいぶんご立腹みたいですし。→ EU「英国はなるべく速やかに離脱を」、未練断つ共同声明 

あと、他の国への飛び火も懸念されていて、今後の成り行きに注目といったところでしょうか。


☆☆☆☆☆☆☆


このニュースのインパクトがでかすぎて霞んでしまったニュースが色々あると思うんですが、先週私がとても気になったニュースがあります。

それが、このニュースです ↓ 。

東大が首位から7位に転落 アジアの大学ランキング 


この記事によると、“東京大学は、教育の質では全体の一位だったものの、学生と教員の国際性では70位となっていて、順位を押し下げた要因になりました。” ということです。

でも、これって前々からずっと言われてたことじゃないですかね?

東大の教員のかなりの割合は東大出身者だから、ほぼ日本人だっていうね。

あと、この記述もとても気になりました。

”シンガポールや中国の政府が大学に潤沢な資金を投入し優秀な人材を集めているのに対し日本では「20年間にわたって大学は資金の制約を受けており、世界の大学との競争や国際化のための支援が少ない」”

という部分です。

やっぱ資金力って大きいんですね。

日本の国公立大学の資金投入って、東大と京大が50%持っていき、残りの国公立大学に残りが振り分けられるっていうのは有名な話だと思うんですけど、それでも東大への資金は他のアジアの大学より少ないってことなんですね。

私ね~、私立大学は言うまでもないんですけど、国公立大学も数が多いと思うんですよね。

数をもっと減らせば、資金も集中的に投入できるから、色んな所から優秀な人材が集まり中長期的に見た場合メリットが多くなると思うんですけど。

申し訳ないんですけど、実際に地方の国公立大学に合格してる留学生の日本語力とか論理性とか考えると、「こういう学生を入学させて大丈夫なんですか?」と思わずにはいられません。

例えば、こういうことなんかがあります。 → 留学生が日本語学校を卒業してからの進学先で日本語能力があんまり必要とされないパターン色々


あと、こんな記事もありました。 → 大学の小学校化が深刻…授業でbe動詞や単純な割り算、大学も定員割れ激増で必死


もうこうなってくると、ずっと言われてきましたが日本の大学の国際競争力はどんどん低下していく一方です。

いつまで大学進学希望の外国人留学生が来てくれるかは分かりません。

そうすると、今日本の大学や大学院への進学をうたっている日本語学校は、パラダイムシフトをしないと将来存続が危ぶまれます。


また、日本の大学や大学院の国際競争力の低下に加えて、冒頭に書いたイギリスのEU離脱の影響が、間接的にジワジワと効いてくる可能性大です。

それは、ずばり為替レートです。

かなり日本円上がりましたよね?

イギリスとEUの協議がどれくらいかかるか分かりませんが、長引くと円高状態がずっと続く可能性が高いです。

そうなると、学生の母国にいる経費支弁者から日本にいる学生への送金の額が、かなり減ってしまうことが考えられます。

実際、リーマンショックの時に、韓国の学生がそういう状況に陥ってしまい、受験する大学の変更を余儀なくされました。

進学先の変更だけで済めばよいのですが、そもそもそこまでして日本の大学に進学するインセンティブもなくなってしまえば、進学を希望する外国人留学生の人数はガクッと減るかもしれません。


今は、ベトナム人学生やネパール人学生の増加のおかげで、日本語教師の人で不足って状況がありますが、これもいつまで続くか分かりません。


で、状況の大幅な変化が起きた場合に、短期的な利益しか考えていない経営者の日本語学校は、その経営がどうなりますかね?

ご自分がそういう経営者のもとで働いているという自覚がおありの先生は、泥舟から一刻も早く脱出する算段をしておいたほうが賢明かもしれません。

そうなってからでは遅いですから。


ほな、さいなら!


語学(日本語) ブログランキングへ

にほんブログ村 外国語ブログ 日本語(外国語)へ
にほんブログ村 

このエントリーをはてなブックマークに追加