2016年10月
2016年10月31日
5W1Hって、そないにムズいもんなんですかね?
先日の文法クラスの5W1Hのできなさにびっくりしてしまったもんで、ちょっと小論文のクラスでもやってみようと思い立ち、今日その練習をやってみました。
予想通りの出来。
端的に書くと、全然できてませんでした。そないムズいですかね~?
でも、学生の母国での学校教育の影響は大きいとは思いますが、日本語に関して書けば、初級後半レベルくらいから本来であれば書けるハズのレベルの文章じゃないかと思うんですが。
☆☆☆☆☆☆☆
今回私が使ったワークシートがこちら。
まあ、私が適当に作ったものなんですけどね。
で、今になって思うのは、How の部分に、How many とか How much も入れておけばよかったってこと。
で、何人かの書いた文章を載せてみます。
そして、( )の赤くなっている部分は、私のツッコミです。ただし、ほとんどの部分は書いてほしい情報ではあるんですが、あくまでツッコもうと思えばツッコめる部分も含まれているため、必ずしもこれら全ての情報を漏らさず書いてほしいわけではありません。
まずは上のAの問題から。
Aさん
・私は日本の大学で(←どうして?)勉強したい(←何を?)ので、日本語を勉強した。(←どのように?)日本に来る前(←具体的に何年?)〇〇日本語学校で(←どこにある?)、6か月くらい日本語を習った。(←どんな授業?)毎日15分漢字を読ませていた(←誰が誰に?)ので、漢字が覚えられた。(←何か月でいくつくらい?)
Bさん
・高校3年生の時、他の国で(←具体的にどこの国?)進学したくて(←どうして?)、海外の生活も体験してみたかった。(←どうして?)親の友達にも、日本を進められた(←いつ?どこで?どのように?)ことがきっかけで、高校を卒業して、ホーチミンの日本語学校に6か月通った。それから、日本に来た。(←具体的に何年?)前(←具体的にいつ?)より自分の日本語は上達している(←どの程度?)と思う。
Cさん
・私は2013年8月に〇〇学校(←どこの学校?)で、日本語を勉強し始めた。なぜかというと、東京工業大学で勉強している(←何を?いつから?)私の親類(←どんな人?)が、日本で勉強していることをよく話してくれた(←いつ?どこで?)ことがきっかけで、日本の大学で勉強したかった(←何を?)からだ。
Dさん
・私は2013年から日本語を勉強している。(←どうして?どのように?)1年間(←これはいつの1年間?)ベトナムで勉強した。(←どのように?)日本に来て(←どうして?)勉強を続けている。今まで3年間勉強した。なぜなら、日本で生活して、日本の大学に入りたいからだ。(←どうして?)
Eさん
・2012年から〇〇日本語学校で(←どこにある?)、日本語を勉強した。(どうして?どのように?)子供のころ、日本の文化(←例えば何?)がずっと好きだった。(←どういう部分が?)色々な言葉(←例えばどんな言葉?)を調べて(←どのように?何を使って?)、日本に留学した。(←どうして?)そして、ひらがな、カタカナや漢字を覚えた。(←どのように?期間はどれくらいで?漢字は何字くらい?)
Fさん
・私は日本に留学したかった。(←どうして?)3年前にベトナムの〇〇日本語学校で初めて勉強した。(←何を?どのように?)1年間経って日本へ来た。(←どうして?)日本の大学に入るために(←どうして?)今も日本語を勉強している。(←どのように?)
次に下のBの問題の、学生の回答。
Gさん
・例えば、中国からの偽物(←何の偽物?)を、法律に違反して輸入している(←誰が?いつ?どこで?)ことだ。その偽物は値段が安いが、人の健康に悪い影響(←どんな?)を与える。
Hさん
・私の国では大都市の人口過密という問題がある。ベトナムではハノイとホーチミンが経済発展していて(←どの程度?いつから?)、地方の大勢の人が(←何人くらい?)その都市に行って(←どうして?)仕事(←どんな?)をするため、人口が急に増えているせいで、交通渋滞が深刻になっている。朝7時から8時まで、午後5時から6時まで交通量が多くなり、10分かけても300メートルしか進めないくらいだ。
※このHさんの後半部分はよくてきでいると思います。
Iさん
・今、私の国にはいろいろな問題があるが、衛生上の安全性の問題が全国で議論の焦点になった。(←いつ?どうして?)この問題はかなり前(←いつ?)からあったが、なかなか解決できなくて(←どうして?)もっと悪くなりつつある。(←どのように?)食品を販売する店の意識を高める(←誰が?いつ?どうやって?)とか、消費者が警戒するようにした(←誰が?いつ?どうやって?)ほうがいいと思う。
Jさん
・私の国では、交通事故が問題だ。私がベトナムにいた時(←いつのこと?)1か月に2、3回交通事故があった。(←どんな?どうして?)運転手が気にしなかった理由は80%くらい(←何の数字?)が正しいかどうか(←何が正しい?)分からない。常に両方(←誰と誰?)が謝ってお金(←いくら?)を出して警察に話さない。(←どうして?)
※後半よく分かんないんですけど、示談にするってことですかね?
Kさん
・一番大切な問題は環境汚染の問題だと思う。皆(←誰?)はごみがいつでもどこでも見えている。ごみをきちんと分別しようと思っている人があまりいない。(←どうして?何人くらい?)それに、使った(←誰が?いつ?どこで?何に?)水は汚いのに、全部川に(←どこの)出している。(←誰が?どうして?)だから、川が汚染されてしまった。
☆☆☆☆☆☆☆
いや~書きながらヒドいもんだなって再確認。
Aの問題とBの問題では、書き漏れの特徴に若干違いがあると思いませんか?
Aの問題は、思考停止というか、本来であれば(この場合は日本への)留学っていうのは
1 学びたいことがある
2 それを学ぶには日本が良い
3 そのためには日本語の習得が必要
4 日本語を学んで上達を目指す
5 大学に入る
という流れになると思うんですけど、彼らの場合まず「日本留学ありき」っていうのが見え見えなんですよね・・・
だから、「どうして日本の大学じゃないとダメなの?」とか「日本の大学で特に何を学びたいの?」という質問に対する答えに当たる部分が抜け落ちています。
多分、何もないんでしょうね・・・
また、私が「日本語を勉強した」とか「日本語を習った」の部分に(←どうして)と書いているのは、彼らは勉強したり習ったりしているときに、自分がその時何を必要としていて、何を学んでいるのか意識できていたかどうか知りたいから。それに加えて、自立学習と授業の場合の勉強の仕方の違い、また授業の場合どんな流れで構成された授業であるか分かっているかどうか、なども知りたかったんですが、そんなん意識したこともないんでしょうね・・・
一方、Bの問題のほうは、単純な情報不足。
かなり独りよがりな説明になっていて、もしこの内容を誰かに伝えたところで、相手には全く分かってもらえないだろうなという気がします。
実際、彼らが口頭で説明しているときに、聞いている私は「一体、今何の話をしているんだろう?」と思うこともしばしばです。
要するに、文章を書くにあたって、読み手への配慮がほとんどできていないってこと。
でも大学やテストによっては、この「読み手への配慮」が採点の基準になることもありますし、私も自分が作成した小論文の採点基準の項目の一つとして入れ込んでいます。
ちょっとここまで5W1Hができないとは思わなかったんですが、こういうことが明らかになったのは私にとっては良いことです。
なぜなら、もっと良い小論文を書くうえで必要なスキルが分かったから。
今から検討します。
ほな、さいなら!
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2016年10月29日
akky の、留学生の大学受験における面接指導のやり方と手順
関西では一部の私立大学で、本格的に受験が始まっています。
ごく稀に留学試験(EJU)の結果を送るだけで合否判定する大学もありますが、一般的には留学試験(EJU)の結果と小論文、面接の結果で総合的に合否を決定する大学が多いです。
小論文と面接に関しては、両方行うパターンもあり、片方だけのパターンもありますが。
ウチの進学コースでは、今までの学生が受けた面接のデータを集め、そのデータに基づいて面接試験でよく聞かれる質問や今までに聞かれた質問をピックアップしてリストを作成し、それを利用して面接指導をしています。
まあこういうことは、進学目的の学生がいる日本語学校であれば、普通に行っていることだと思います。
私も10年以上進学指導をやってきて、試行錯誤を繰り返しながら自分なりにやりやすい面接指導の方法を編み出しました。
編み出したといっても、全ての学生に有効かっていうのはビミョーだし、先生によっては違う方法のほうがやりやすいってことも、もちろんあるだろうとは思います。
ただ、ここ最近の日本語学校の様子を見聞きするにつけ、新人の先生も進学指導をせざるを得ない状況になっていることも想像にかたくないので、進学指導で右も左も分からない先生のちょっとでもヒントになればと思い、このエントリを書きます。
まず、志望理由書の指導をし、出願が終わってから面接指導を始めるので、その時点からの指導の流れになります。
☆☆☆☆☆☆☆
まず、何の準備もせずに、学生が「これでイイ!」と思う通りに面接練習をします。
で、大体はボロボロ。
なので、「今ので合格できると思う?」などと「はい」と絶対に答えないと分かってる質問を敢えてしてみて、「じゃー合格できるように練習しましょう!」と言って、本格的な面接練習に突入します。
まず、
1 日本に留学した理由
2 その大学を選んだ理由
3 その学部を選んだ理由
4 どんな学生生活が送りたいか
5 卒業したらどうしたいか
この5つについて、学生自身が書いた志望理由書に基いて、文章を書かせます。
志望理由書の指導の段階で、「なぜその大学のその学部でなくてはいけないのか?」という視点で考えさせていて、本来であればその内容を「質問に対する答え」にすれば良いだけなので、できる学生はこのあたりの作業はすんなりできます。
これ以外にも、リストに載っている質問項目で準備しないと答えられないものについては、同じように文章を書かせます。
ただ文章の長さに関しては、短すぎたら説明不足になるし、長すぎても冗長になるので、常識的に考えて妥当な文字数を指定してから書かせます。
文字数はきっちり〇字ってことではなく、大体の目安を指示します。
でもね~時々学生は、自分が書いた志望理由書と全然違うことを書いてきたりするんですよね・・・
毎年2人はいます。そういう学生。
そうなると、指導にめっちゃ時間がかかりますが、そこは根気よくやるしかありません。
そして、書いてきたものを添削し、その内容を学生に覚えさせます。
覚えてきて1回目の面接練習ではまだ学生も完全に覚えられてないので、つっかえつっかえ思い出しながら再現するっていう程度。
また、部屋への出入りなども「それやったら、絶対アカンやろ!」っていうような動作をしたりするので、そこも指摘します。
なので、「覚えてきたことを再現するだけでも、結構難しいんだよね~そして、立ち居振る舞いも日本では結構チェックされるんだよ!」っていうことを分かってもらって、もう一度きちんと覚えてくるよう指示します。
2回目の面接練習では、かなり内容に関しては覚えてきているケースが多いんですが、発音、アクセント、文法の不正確さなどがあったりするので、学生のスマホで撮影して自宅で見るよう指示。
これ、見たとき相当ショックみたいです。
こんなに日本語が下手なハズは無い!って思うらしいですけどね。
そして、3回目。
ここではかなり完成度が高くなってきます。
とはいうものの、その学生の発音のクセや文法の抜け落ちなどもまだ完全には修正できてないので、そこを集中的に練習します。
ただ、内容についてはほぼ覚えられているので、姿勢やお辞儀の仕方など、細かいところを指導したりします。
そして最後に、緊張しなくなるコツを教えたりします。
ここまででできている学生は、この段階で面接指導は終わりになるんですが、学生によっては(今年は全員)もっと練習したいです!っていう学生もいるので、面接での受け答えをより良いものにするために、さらに練習を重ねることもあります。
でもね~0からこの作業をやるのはホンマに大変で時間もかかります。
だから、私はちょっとでも効率的にできるように、クラス全体でできる作業はその時教える文法に絡めたりして授業内で行います。 → 文法クラス、自分の「長所と短所」が全く書けず 「具体」と「抽象」の概念が皆無
進学目的で留学してる学生にとっては、この時期が正念場です。
だから私も、学生が後悔しないように色々工夫を凝らして面接指導をしてますが、これが「正しい面接指導の方法である!」ってことを書くつもりは毛頭なくて、面接練習を含めた進学指導で悩んでる先生がいたら、ちょっとでも助けになればイイなって思って、書いたワケです。
今日も、ウチの学生が面接やったんですけどどうやったんやろ?
ほな、さいなら!
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ごく稀に留学試験(EJU)の結果を送るだけで合否判定する大学もありますが、一般的には留学試験(EJU)の結果と小論文、面接の結果で総合的に合否を決定する大学が多いです。
小論文と面接に関しては、両方行うパターンもあり、片方だけのパターンもありますが。
ウチの進学コースでは、今までの学生が受けた面接のデータを集め、そのデータに基づいて面接試験でよく聞かれる質問や今までに聞かれた質問をピックアップしてリストを作成し、それを利用して面接指導をしています。
まあこういうことは、進学目的の学生がいる日本語学校であれば、普通に行っていることだと思います。
私も10年以上進学指導をやってきて、試行錯誤を繰り返しながら自分なりにやりやすい面接指導の方法を編み出しました。
編み出したといっても、全ての学生に有効かっていうのはビミョーだし、先生によっては違う方法のほうがやりやすいってことも、もちろんあるだろうとは思います。
ただ、ここ最近の日本語学校の様子を見聞きするにつけ、新人の先生も進学指導をせざるを得ない状況になっていることも想像にかたくないので、進学指導で右も左も分からない先生のちょっとでもヒントになればと思い、このエントリを書きます。
まず、志望理由書の指導をし、出願が終わってから面接指導を始めるので、その時点からの指導の流れになります。
☆☆☆☆☆☆☆
まず、何の準備もせずに、学生が「これでイイ!」と思う通りに面接練習をします。
で、大体はボロボロ。
なので、「今ので合格できると思う?」などと「はい」と絶対に答えないと分かってる質問を敢えてしてみて、「じゃー合格できるように練習しましょう!」と言って、本格的な面接練習に突入します。
まず、
1 日本に留学した理由
2 その大学を選んだ理由
3 その学部を選んだ理由
4 どんな学生生活が送りたいか
5 卒業したらどうしたいか
この5つについて、学生自身が書いた志望理由書に基いて、文章を書かせます。
志望理由書の指導の段階で、「なぜその大学のその学部でなくてはいけないのか?」という視点で考えさせていて、本来であればその内容を「質問に対する答え」にすれば良いだけなので、できる学生はこのあたりの作業はすんなりできます。
これ以外にも、リストに載っている質問項目で準備しないと答えられないものについては、同じように文章を書かせます。
ただ文章の長さに関しては、短すぎたら説明不足になるし、長すぎても冗長になるので、常識的に考えて妥当な文字数を指定してから書かせます。
文字数はきっちり〇字ってことではなく、大体の目安を指示します。
でもね~時々学生は、自分が書いた志望理由書と全然違うことを書いてきたりするんですよね・・・
毎年2人はいます。そういう学生。
そうなると、指導にめっちゃ時間がかかりますが、そこは根気よくやるしかありません。
そして、書いてきたものを添削し、その内容を学生に覚えさせます。
覚えてきて1回目の面接練習ではまだ学生も完全に覚えられてないので、つっかえつっかえ思い出しながら再現するっていう程度。
また、部屋への出入りなども「それやったら、絶対アカンやろ!」っていうような動作をしたりするので、そこも指摘します。
なので、「覚えてきたことを再現するだけでも、結構難しいんだよね~そして、立ち居振る舞いも日本では結構チェックされるんだよ!」っていうことを分かってもらって、もう一度きちんと覚えてくるよう指示します。
2回目の面接練習では、かなり内容に関しては覚えてきているケースが多いんですが、発音、アクセント、文法の不正確さなどがあったりするので、学生のスマホで撮影して自宅で見るよう指示。
これ、見たとき相当ショックみたいです。
こんなに日本語が下手なハズは無い!って思うらしいですけどね。
そして、3回目。
ここではかなり完成度が高くなってきます。
とはいうものの、その学生の発音のクセや文法の抜け落ちなどもまだ完全には修正できてないので、そこを集中的に練習します。
ただ、内容についてはほぼ覚えられているので、姿勢やお辞儀の仕方など、細かいところを指導したりします。
そして最後に、緊張しなくなるコツを教えたりします。
ここまででできている学生は、この段階で面接指導は終わりになるんですが、学生によっては(今年は全員)もっと練習したいです!っていう学生もいるので、面接での受け答えをより良いものにするために、さらに練習を重ねることもあります。
でもね~0からこの作業をやるのはホンマに大変で時間もかかります。
だから、私はちょっとでも効率的にできるように、クラス全体でできる作業はその時教える文法に絡めたりして授業内で行います。 → 文法クラス、自分の「長所と短所」が全く書けず 「具体」と「抽象」の概念が皆無
進学目的で留学してる学生にとっては、この時期が正念場です。
だから私も、学生が後悔しないように色々工夫を凝らして面接指導をしてますが、これが「正しい面接指導の方法である!」ってことを書くつもりは毛頭なくて、面接練習を含めた進学指導で悩んでる先生がいたら、ちょっとでも助けになればイイなって思って、書いたワケです。
今日も、ウチの学生が面接やったんですけどどうやったんやろ?
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2016年10月28日
「カタカナ語=外来語」って思いすぎてませんか?
本題に入る前に。
いや~文法クラス大学合格者2人目出ました
台湾人女子なんですけど、第一志望の大学&学部合格です。
しかも、関西で難関と言われている関関同立の中の大学です。
彼女は去年の11月の留学試験の日本語が200点強だったんですが、今年6月の留学試験では70点くらい上がりました。
今日報告に来て「先生のおかげです!」と言ってくれたんですが、私は志望理由書と面接の指導、要約の練習をしただけで、あとは本人が頑張ったからだと思ってます。
非常に真面目な学生なので、合格したからといってサボるタイプでもなく、まあ卒業までコツコツ勉強することでしょう。
嬉しかったので、つい書いてしまいました。
☆☆☆☆☆☆☆
今から本題。
昨日のエントリ( → なぜ留学生はカタカナが苦手なのか? )にも書いたように、昨日はカタカナについてベテラン先輩教師と話をしました。
で、今日その先生が色々調べてきてくださったんですが、その内容に慄きました。
ただ、そのことについて書く前に、皆さんはカタカナ語っていうとどういうものをイメージしますか?
ほとんどの人は、「外来語」って答えそう。
実は、この同じ質問を私がされたときも、「外来語」って答えたんですけど・・・
そんな私に先輩教師は、次の論文のドキュメントを見せてくれました。
いや~ビックリです
これを読むと、外来語以外にもかなりカタカナ語が存在し、かつ、私たちが「カタカナ語=外来語」って思い込みすぎていたか、ってことが分かります。
図で表すとこんなカンジ ↓ 。
っていうか、私もこのブログを書いているときに、和語なのにカタカナ表記で書いてます。
無意識なんですけどね。
そして、ブログ以外にもメールやSNSのメッセージなどでも、こういうのを多用しています。
例えば、ツッコむ、ホンマ、モノ、ワケ、ハズ、マジで、イロイロ、イイ、カンジなどの語彙でカタカナ使ってます。
今浮かぶのはこんなもんなんですけど、もっと探せばたくさんありそう。
で、自分でもなんでわざわざカタカナで書いているのか考えてみたところ、一つの仮説が出てきました。
それは、
ひらがながダラダラ続くと言葉が埋没してしまいがちだが、その中で目立たせたい部分を浮かび上がらせる、つまり際立たせるためにカタカナで書いているのではないか?
というものです。
あと、ひらがなが続くと単調になるので、そこにアクセントみたいに入れてちょっとした変化をもたらすっていう効果もありそう。
不思議なのは、「ツッコむ」って動詞で使うときはこの表記なのに、名詞化した場合は「ツッコミ」になってしまう現象。
なんか漢字で「突っ込む」って書くと、「車が人の列に突っ込む。」といった文脈を想像してしまいます。
ってことは、多義性のある語彙の意味の特定のため?
さらに書くと、「イイ」と「カンジ」は独立して使うときはこのままなんですけど、連続して使うときは「いいカンジ」って書いてます。
何でなんだろう?
あと、論文の非外来語を眺めていると、
・漢字で書くのが難しい場合(頻度が少ない場合)
・画数が多い漢字で、書くと時間がかかる場合
などもありそう。
整理すると、
1 その語彙を目立たせて強調したい場合
2 語彙の意味を特定するため
3 漢字が書けない場合
4 漢字の画数が多い場合
という仮説が浮かび上がってきました。
私は今まで、授業では「カタカナ語は基本的に外来語だけど、オノマトペとか生き物や植物を生物学的に捉えているときはカタカナを使う」っていう説明はしてきてるんですが、そこで終わってました。
このことを、留学生のカタカナへの苦手意識の払拭につなげていけたら、って思ってるんですけど、なかなか良いアイデアが浮かびません。
どうしたらイイんでしょうか?
なんとなく、「今日はどの表記で書こうか?」っていうノリで楽しんでもらえないだろうか、などと漠然と考えています。
意外なことに、日本語教育の中で「カタカナ」ってあまり注目されてません。
でも、カタカナに苦手意識を持っている学習者は多いし、それを克服したいと考えている人も多いです。
だから、そういう学習者たちのためにも、カタカナの効果的な教え方を模索していけたらと思っています。
でもそのためには、「カタカナ語=外来語」っていう考え方からパラダイムシフトすることが、まずは必要なことではないかと。
そのうえで、上記の論文に出てきている非外来語のカタカナ表記を、その表記にする理由別に分類していけば、何か見えてくるかもしれません。
皆さんはどう思いますか?
ほな、さいなら!
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2016年10月27日
なぜ留学生はカタカナが苦手なのか?
今日、年明けの授業のカリキュラムを考えていて、他の先生と色々話していたときに出てきたワードが「カタカナ語彙」です。
ホンマに留学生はカタカナが苦手です。
そして、私の個人的な感覚ではあまり国籍には関係無いように感じます。
でも、大学に進学したらまず間違いなく大量のカタカナ語彙に触れることになります。
これも学部や学科の分野とか関係なく、カタカナが相当出てくるハズです。
ところで、私がいる進学コースでは、あまり細かくカリキュラムが作りこまれていないので、年明けの授業は各先生方の裁量の余地が大きくなります。
これは、進学コースであるために日本語能力試験まではすべきことが自ずと決まってきますが、それらが終わると学生によって必要としているものが異なってくるからです。
こういう事情があるので、クラスによる差を少なくするためにも、カタカナ語彙をカリキュラムの一部に組み込むのはどうだろう?という話になったワケです。
以前、前の学校で上級のレベル担当をしていたときに、一部のクラスで使用していたのが、こちらの「完全マスター カタカナ語彙 日本語能力試験1・2級レベル」です。
これは、分野別に分かれているので、学生もカテゴライズしやすいのではないかと。
こんなカンジです ↓ 。
出てくる語彙は、1・2級って書いてる割には基本的なものが多く、学生が既に知っているものも多そうです。
そういうものは省いて、知らないものだけをピックアップできればそんなに時間をかけなくても済みます。
ただ、どういうふうに使っていくかは、まだ検討中です。
以前これを使っていた時は、まずかなり軽く導入して、次の日にチェックテストするってカンジでやってたんですが、正直あんまり身に付いたってカンジではありませんでした。
なので、もし今回この教材を使うのであれば、より効果的な使い方をする必要があります。
☆☆☆☆☆☆☆
そして、本題はここから。
色々話していくうちに「留学生はなんでカタカナが苦手なんだろう?」という話になりました。
これを切り出したのは私なんですが、カタカナが苦手な原因が分かれば効果的な教え方が分かるかも、って思ったから。
で、近くにいた台湾の事務の方が「私、カタカナ苦手です!」と発言。
「なんで?」って聞くと、「理由は分からないけど、ひらがなより覚えにくいです。」とのこと。
さらに、「もし今カタカナを全部書けって言われたら、ちゃんと考えないと書ける自信ないです。」とも言ってました。
というわけで、留学試験が終わったら、カタカナを全部書くテストの実施が私の中で決定。
どんな結果になるのか、めっちゃ興味津々です。
ベテランの先生も行うみたいです。
こういう会話をしながら色々考えていて、私が行きついた「留学生がカタカナ苦手な理由」の仮説は、ずばり
「-(長音 つまり伸ばす音)」の存在があるから
ではないかというものです。
私がこういうことを考えるときっていうのは、「片方にあって、もう片方にはないモノ」を探すっていう作業を無意識に行ってます。
この場合、「ひらがなにあってカタカナに無いモノ」、あるいは「カタカナにあってひらがなに無いモノ」を考えてたんですよね。
すると、浮かび上がってきたのが「-」です。
これって、カタカナにはあるけど、ひらがなにはありませんよね?
もちろん、ひらがなにも長音はありますが、通常は「う」などの母音で表記します。
一方で、カタカナでは長音を「ウ」などで表す場合と「-」で表す場合があり、この「-」にあたる表記はひらがなにはありません。
実際、私がよく見るカタカナの誤用は、「-」が絡んでいるものが圧倒的に多い
その誤用というのは、
・「-」の有無
・「-」の位置がおかしい
という2つに集約されます。
以前、私がよくやってたカタカナ語彙のディクテーションで、「衣服」がテーマの時に、よく「ジ-ンズ」を問題の中に入れてたんですが、非常に多かった答えが「ジン-ズ」でした。
日本語で、「ン」の後ろに「-」が来ることは絶対無いんですけど。
っていうか、「ジン-ズ」ってどない発音すんの?誰かやってみてくれへんかな?
そして、その次に多い誤用は、促音「ッ」とか拗音「ャ」「ュ」「ョ」っていうカンジではないかと。
ただ、このあたりは学生の母語にも影響されそうですけど。
例えば、ベトナム人学生は拗音に極端に弱いですし。
以前、ディクテーションで「プレタポルテのファッションショー」って語彙が出てきた瞬間、ほぼ全員の学生が苦笑いしてたな~。
こんなことをツラツラと考えていて、じゃーどうすればカタカナがきちんと使えるようになるのかはまだ考え中なので、ここにその解決策は書けません・・・
ただ、長音をメインにしてディクテーションをさせて、モーラ(拍)感覚を徹底的に提示し続けるっていうことで、どうにかならないかな?などと考えています。
どなたか、良いアイデアがあったら教えてください
あ、前述のカタカナ語彙の教材は、Amazonで見たらあと2冊しかありませんでしたよ~
欲しい方は、早い者勝ちかな?
ほな、さいなら!
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2016年10月26日
さて、この絵は何を表しているでしょう? ヒントはオノマトペ
ヒントはオノマトペ(擬音語・擬態語)です。
私、以前にこんなエントリを書きました。 → 外国人留学生が意外と教わらないオノマトペが必要なケース4つ
で、ベテランの先輩の先生と話していて、オノマトペを具体的に授業でどう扱うかについて、アイデアをいただきました。
その先生は、「五味太郎の『日本語擬態語辞典』の絵を使って、ゲーム感覚でやったりするよ」と。
それを受けて、私も実はその本を持ってることを思い出しました。
ただ、私は買うだけ買って、特に授業で使うってことは考えてなく(アイデアが浮かばなかった)、そのまま放置していただけになってたので、その本を探し出して、改めて内容を吟味。
こちらの本です。
因みに五味太郎さんはブログをやってはるみたいです。 → 五味太郎の最近のいろいろ
私は五味さんっていうと、小学校の時に国語の時間に読んだ「あか太郎」っていう話を思い出すんですが、なんか検索かけても出てこないので、もしかしたら私の記憶違いかもしれません・・・
どなたかご存知の方いませんかね?
☆☆☆☆☆☆☆
タイトルの質問の答えですけど、正解は「ごそごそ」です。
他にもこんなのや、
こんなのもあります。
画像を見てもらえれば分かるように、まずそのオノマトペとそれを表す絵があり、下にローマ字表記、英語と日本語による説明が書いてあります。
私が今考えているのは、この中から上記のエントリでも紹介した「にほんご単語ドリル ぎおん語・ぎたい語」で重なっているものをピックアップしてみようかと。
なぜなら、この「日本語擬態語辞典」の中には、まあ留学生は知らなくてもイイよねっていうものがあったり、絵から意味を推測するのが難しいものがあったりするから。
なぜなら、この「日本語擬態語辞典」の中には、まあ留学生は知らなくてもイイよねっていうものがあったり、絵から意味を推測するのが難しいものがあったりするから。
そして、そのうえで
1 「にほんご単語ドリル」のほうで導入(左ページ)
2 「にほんご単語ドリル」のオノマトペの確認(右ページ 確認問題)
3 「日本語擬態語辞典」の絵のみを使い、ゲーム
という流れで授業を展開しようかと。
で、1と2は授業で毎回行い、3は教えたオノマトペが増えてきた段階で実施するカンジですかね。
で、1と2は授業で毎回行い、3は教えたオノマトペが増えてきた段階で実施するカンジですかね。
3のゲームなんですが、色んなやり方が考えられます。
例えば、
・誰かがオノマトペを言って、他の人は複数の絵の中から適切な絵を選ぶ(カルタとか百人一首みたいなカンジ)
・学生が一人前に出て、教室の後で私がその人にだけ分かるように伝えたオノマトペをジェスチャーで演じ、他の人はその答えを黙って紙に書く
とかですかね。
ただ、後者の場合、前に出た人が私が示すオノマトペの意味を覚えてないと成立しないゲームなので、そこが若干ムズいかも。
ただ、後者の場合、前に出た人が私が示すオノマトペの意味を覚えてないと成立しないゲームなので、そこが若干ムズいかも。
まあ、使えるようになるレベルとは言わないまでも、聞いてすぐイメージできるくらいにはなってほしい。
なので、口頭練習などのアウトプットよりも、見たり聞いたりしたときにすぐに意味とイメージが湧くようになるための授業内容に主眼を置くことになりそう。
ただ、オノマトペって、使ってる人の意図と聞いてる人の受け取り方が違う場合もあります。
例えば、上司が部下に「この書類、ザッと目を通しといて」と言ったとします。
この時、上司は「そんなに詳細に読まなくてもイイけど、この書類の内容に対する意見くらいは言える程度に読んでほしい」と思っていて、一方で部下は「とりあえず全体の大まかな内容だけ理解すれば大丈夫ってことだろう」と思っていた場合、その後のコミュニケーションに支障が出てくる可能性があります。
だから、こういう場合はまた別のストラテジーが必要になりそう。
そのあたりも難しさがあります。
ただ、オノマトペって、使ってる人の意図と聞いてる人の受け取り方が違う場合もあります。
例えば、上司が部下に「この書類、ザッと目を通しといて」と言ったとします。
この時、上司は「そんなに詳細に読まなくてもイイけど、この書類の内容に対する意見くらいは言える程度に読んでほしい」と思っていて、一方で部下は「とりあえず全体の大まかな内容だけ理解すれば大丈夫ってことだろう」と思っていた場合、その後のコミュニケーションに支障が出てくる可能性があります。
だから、こういう場合はまた別のストラテジーが必要になりそう。
そのあたりも難しさがあります。
あ、そういえば日本語能力試験(JLPT)の語彙や聴解の問題で、時々オノマトペが出てきたりしますね。
問題数としては少ないですけど。
まあ、こういう授業もまずは留学試験(EJU)が終わってからの話。
また、私がこの授業をやろうとしている文法のクラスは、近々受験があったり受験の結果が出る学生が何人かいて、それが良い結果であればこういう授業もやりやすくなりそう。
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それから、この本以外にもパッと見たカンジでは、日本語教育でも使えそうな本がありそうですね。
ほな、さいなら!
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問題数としては少ないですけど。
まあ、こういう授業もまずは留学試験(EJU)が終わってからの話。
また、私がこの授業をやろうとしている文法のクラスは、近々受験があったり受験の結果が出る学生が何人かいて、それが良い結果であればこういう授業もやりやすくなりそう。
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日本語擬態語辞典 [ 五味太郎 ]
それから、この本以外にもパッと見たカンジでは、日本語教育でも使えそうな本がありそうですね。
ほな、さいなら!
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