2017年03月

2017年03月31日

今までの初級文法間違ってたんちゃうの?その4 自他動詞「必ずペアで教えないといけないモノなの?」

日本語教師の方なら共感していただけると思うんですけど、日本語学習者が初級の段階でよくやっちゃう典型的な間違いとして、この「自他動詞」はトップ1なんじゃないかと私は考えてます。

韓国人学生は、比較的この間違いは少ない傾向にあると思うんですが、それでも間違っちゃう。

他の国籍の学生に至っては、時々「わざと逆に書いてる?」っていうくらいことごとく間違えます。

で、この現象は、非常に優秀な学生が非常に素晴らしい先生に習っても、時々起きます。

そういうのを見聞きしてきて、これは学習者に問題があるのでも教える側に問題があるのではない、と思うようになってきました。

つまり、構造的というか仕組みというか、そういうものにあたる導入の手法に問題があるのだろう、と思い至った次第。

その問題がある手法っていうのは、現在多くの初級教材でそうなっているのですが、有対の自動詞と他動詞をわざわざペアで教えているっていう手法。

例えば、自動詞&他動詞のペアを挙げていくと


・消えるー消す

・集まるー集める

・開く(「ひらく」じゃなくて「あく」)ー開ける

・並ぶー並べる

・(電気が)つくー (電気を)つける

・倒れるー倒す

・落ちるー落とす

・閉まるー締める


などなどです。

もうね、似ている動詞のペアを次々と提示していくわけです。

で、「こっちが『が』がつく自動詞で、そっちが『を』がつく他動詞です。覚えてね」 

みたいなことをやっちゃってる。

これだけでも混乱するのに、さらに追い討ちをかけるように、


・自動詞 + ている

・他動詞 + てある


っていう文型導入を繰り出すっていうね。

日本語教育関係じゃない人も読んでいるかもしれないので、ちょっとだけ説明すると、例えば私が先ほど挙げた自他動詞の例を使うと、


・電気が消えている。

・電気が消してある。


っていうような文を提示して、この2つの文の違いの説明に入ったりします。

私がこの部分で大問題だと思うのは、自他動詞の違いだけでも学生はアップアップしてるのに、「~ている」なんかをここで入れてしまうと、瞬間動詞と継続動詞の違いもここに入ってくるってこと。


例えば、「(電気が)つく」って一瞬ですよね?だから「(電気が)つく」っていう動詞は瞬間動詞です。

一方、例えば「食べる」っていう行動は瞬間的には終わりませんよね?人や食べるモノによっても違いますが、まあ1回の食事で20分から30分、急いで食べても5分くらいはかかります。

つまり「食べる」は継続動詞ということになります。

この2つの動詞を使って「~ている」の例文を作ると、こうなります。


A 部屋の電気がついている。

B 彼は今、奥さんが作った弁当を食べている。


どうでしょう? 

Aの「電気がついている」と「食べている」、どちらも「~ている」を使ってますけど、同じ状況を表しているでしょうか?

答えは勿論✖です。

Aの「つく」という瞬間動詞を使うと、「一瞬で電気がついた。そして、その電気がついた後その状況がずっと継続している。」という意味になります。

一方、Bのほうは「今まさに、その行動が行われている最中である」といった、言うなれば「現在進行」を表していることになります。英語にすると「be動詞 + 動詞ing」にあたります。


また、「~ています」と「~てあります」の違いも説明することになります。


つまり、私たちが今までやってきた自他動詞の導入は、


1 紛らわしい2つの動詞を自動詞と他動詞に分類し、

2 その場で学生が覚えたことにし、 

3 さらに、そこに瞬間動詞と継続動詞の違いという、また別の概念を入れ込み、

4 「~ています」と「~てあります」の違いも教える


っていうことなんです。

私たち日本語教師は、ずっとこの呪縛に縛られたまんま。

面白いのは、「行動中心アプローチ」を標榜している国際交流基金が作った「まるごと」という教材も、この呪縛から逃れられてません。

これが、問題の該当箇所。


まるごと 初級 「~ています」「~てあります」


見事に、「~ています」と「~てあります」のどちらが正しいかを考えさせる問題。 

切り離せてません。

確かに導入では「~ている」と「~てある」は切り離してるんですが、こういう問題を設定してしまうと、結局学生の意識はこの2つの違いに戻っちゃう。


☆☆☆☆☆☆☆


というわけで、私の提案


1 初級ではペアで自他動詞を提示しない

2 自動詞・他動詞の概念も教えない

3 2の代わりに意志動詞・無意志動詞の区別を徹底する

4 「~ています」と「~てあります」の違いにも言及しない



ということにしたらどうでしょう?

1は、日本語の動詞の中で自動詞と他動詞がペアになる動詞は、ごく一部です。

なのに、なぜそこを取り上げてややこしくしてしまうんですかね?

なので、2のように自動詞・他動詞の概念も初級では教えないことにして、その代わり特に他動詞では「~をVする」っていうふうにコロケーションで使えるようになることを徹底する。

3に関しては、「自動詞&他動詞」を「無意志動詞・意志動詞」って勘違いしてる学生が一定数いるから。

特に、「自動詞 = 無意志動詞」っていう勘違いは相当多いです。

じゃー、「歩く」、「座る」、「(客が行列に)並ぶ」とか、どうなんの?全部自動詞だけど、意志的な行動だよね?って言いたくなります。

なので、「自他動詞」と「意志・無意志」を両方ってことになると学生の理解のキャパを越えてしまうので、初級では意志・無意志動詞だけを導入する。

4についても、「~ている」と「~てある」をわざわざ一緒に教えなくてもイイ。しかも自他動詞を導入してまだどっちが自動詞でどっちが他動詞なのか分かんない状態で提示するのは、マズすぎます。

そして、一緒に導入するから分かんなくなるんです。


で、ここでもう一つ私の提案なんですが、「~ています」と「~てあります」の間違いを無くす画期的な方法があるんです。

それは、「全部縮約形にしちゃえばイイじゃん!」っていうこと。

縮約形っていうのは、「~ている」と「~てある」をもっと短くした「~てる」という形です。

これだと、「~ている」でも「~てある」でもどっちの場合も「~てる」にできるので、間違えようが無いんですよね。

まあ、ペアの自他動詞の場合どっちが自動詞でどっちが他動詞か分かってないといけないし、テ形がきちんと作れないといけませんが、それは「~ている」と「~てある」の混同とは別の問題です。


まあ随分フランクな印象になりますが、縮約形の「~てる」って目上の人に何か報告する場合でも、そんなに失礼にならないような気がします。

サスガに小論文で使ってはいけないんでしょうけど。


どうでしょう?このアイデア。


誰かやってみませんか?


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akky_san at 22:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0)授業内容 | 文法

2017年03月29日

他の先生方のおかげでかなり良いカリキュラムになりそう

ついさっきTwitterで教材の選定についての流れがあったので、のっかってみました。

その内容は、ある日本語教育機関の一部の方が、「みんなの日本語」をターゲットにして「古い!」って批判を繰り返してるけど、それってどうなの?っていうもの。

これにも私は前々から思う所があったので、コメントしました。

私がのっかったのは、「現場の非常勤は教科書を選ぶ権限はなく、その制限の中でできることを真剣に考えてやってるんだから、それを『古い』って切り捨てるのはいかがなものか?」っていうtweetで、私は「それに加えて、本来なら教材が選べる教務ですら種々の事情でそれが不可能で、そういう中で一番効果がある手法を考えて日々模索してる」っていうようなこと。

私、そもそもある特定の教材をdisる人の心理が分からないんですよね・・・

特にそれが「古い」って理由だけで批判する人の意図が。

「自分たちは最新の教材を使ってるけど、未だにそんなに古いのを使ってんの?」って優越感に浸りたいとかですかね?

でも、私はそれってかなり認知バイアス入ってない?って思います。

そのバイアスは、古いものは100%劣っていて、新しいモノは新しいってだけで優れている、みたいな。

皮肉なことに、こういうバイアス持ってる人って、古い考えの人が多いんですよね。

まあ、これについて書くとまた長くなるのでこのあたりで終わります。


☆☆☆☆☆☆☆


で、先ほどは教務ですら教材を選ぶ自由が持てないって書きましたけど、ウチのコースは別。

そういう学校がある一方で、ウチの進学コースはかなりゆるゆるで、今回は私が100%使用教材を選ばせてもらいました。

で、今日は教材選定も含めたカリキュラムのミーティングが行われました。

で、来年度は文法クラスにこのブログにもよく登場してるベテラン教師もいました。

前にいた学校でもそうだったんですけど、私みたいな教師がベテランに自分が選んだ教材とその意図を提示するのって、超緊張します。

そんなことは無いって分かってても、真っ向から論理的に否定されたらどうしよう・・・って思ったりするから。

そして、やはり私の心配とは全く逆に、かなり肯定的に受け止めてもらうことができ、その上建設的な意見交換をすることができました。

さらに、私の意図も理解してくださいました。


本当は今日色々な科目について話し合ったんですが、全部書くとかなり長くなってしまうので、ピンポイントで「語彙」と「小論文」に関してだけ。

いつも出てくるベテランの先生には、留学試験(EJU)の聴解・聴読解対策と、語彙をお願いしました。

聴解・聴読解はスンナリいったんですが、問題は私が選んだ語彙の教材。

こちらです。





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にほんご語彙力アップトレーニング [ 木下謙朗 ]
で、それは私も「う~ん」って思ってはいたんですが、この教材で主に取り上げられているのが「生活語彙」なんです。

果たして生活語彙が進学希望の学生にとって必要なのか?とも思ってたんですが、私が注目したのが練習問題。

この問題がめっちゃ良くて、コロケーションや対義語、派生語など、語彙をドンドン広げてそれぞれを繋いでいきやすくなってる問題なんです。

ただ、「性格」、「日本の世界遺産」、「慣用句」、「グラフや表」のような課があり、「性格」は面接でよく聞かれる長所・短所で、「世界遺産」は総合科目、「慣用句」は日本語能力試験の語彙や聴解、「グラフや表」は日本語能力試験や留学試験で、それぞれ出てきやすいものだから、とりあえずこれらの課はやってみよう、という運びとなりました。

最初は「こんな生活語彙やっても彼らには意味なくない?」とか言われるかと思いましたが、非常に前向きに考えてくださいました。


ただ、これだけで1年はできないし、もっと彼らに必要な語彙はあるだろうからそれについてもっと考えてみようってことになりました。


さらに嬉しいことに、小論文ご担当の先生とベテランの先生が連携しよう!って言ってくださいました。

今までそれぞれの科目はバラバラっていうか、相互に連携するってことはあまりありませんでした。

そして、そのことがマイナスに作用してたんじゃないかなって私は考えました。

なので、そういう風に先生方のほうから提案してくださったことに、ビックリすると同時にめっちゃ嬉しかったんですよね。

具体的にどう連携するかというと、語彙の授業で導入した語彙を小論文で積極的に使っていこうっていうようなカンジ。

例えば、語彙の慣用句で「口は災いの元」っていう語彙を導入したら、「口は災いの元」になってしまった経験を5W1Hで400字で作文させる、とか。

さらに、私は文法を教える予定なので、その流れに文法の要素も入れ込んでいこうと考えています。


そういうふうにしていくと、希望的観測かもしれませんがその語彙や文法も定着するんじゃないかなって思ってます。

やっぱインプットしたらアウトプットもしないとね。


今回のミーティングで課題も浮き彫りになってきたので、もう一度他の教材研究もしてこのクラスに最もフィットする教材は何で、どのように使っていけば効果的なのかっていうことを模索していくつもりです。

私は教材研究が嫌いじゃないし、先生方からのアイデアなどももらえたので考え甲斐があります。

あと、私が「~っていう意図で」っていう話をしたときに、先生方にその視点が無かった場合「なるほどね~!」って言ってもらえるのも素直に嬉しいですし。

逆に私一人が考えたことに複数の人が関わることによって、私自身にも新しい発見があるのも超快感です。


今日みたいな日があると、日本語教師やってて良かったなって改めて感じます。


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2017年03月27日

来年度のオール非漢字圏学習者の漢字のカリキュラムも固まってきた

文法クラスのカリキュラムの作成も、いよいよ終盤に差し掛かってきたカンジです。


で、今年度の反省の一つとして、「非漢字圏の学生の漢字の定着が少ししか見られなかった」ということ。


まあ確かに入学した4月当初よりは読めたり書けたり意味が分かったりしてきましたが、それで十分かと言われるとちょっと・・・


彼らは大学に入ってから、かなり苦労しそう。


で、こうなった原因を私は次のように考えています。



1 教材と学生のレベルが合ってなかった


2 一日分の漢字と語彙の数が多すぎた


3 導入し、次の日にテストをするだけで、漢字に触れる頻度が少なかった



ことではないかと。


1については、このカリキュラムを考えたのは私ではなく専任の先生で、既存の教材を使うことになったんですが、その教材のレベルは高い一方学生の漢字のレベルが非常に低かったんです。


彼らの話を聞いていると、前に在籍していた日本語学校では特に「漢字」の授業は無かったらしく、そういう学生にかなりハードルが高い教材を選んでしまったということがあります。


それに加えて2の量の問題も。


やっぱりね~多すぎましたね~


恐らく彼らの記憶のキャパシティは、そんなに大きくなかったと思うんですけど、その割に一日に導入する漢字と、特にその漢字にまつわる語彙の数が非常に多かったと、今では思います。


多分彼らは、アップアップしてただろうなと。


それから、これも重要な要素だと思うのが、彼らに漢字に触れさせる頻度が少なすぎたっていうこと。


基本的に導入する日に一回、次の日の漢字テストで一回、合計二回しか彼らはその漢字には触れないっていう・・・


だから、たまに抜き打ちで20ページ分の漢字テスト(書き25問・読み25問)をやったりすると、惨憺たる結果に。


なので抜き打ちはやめて、途中から予告してテストを実施っていう変更を余儀なくされました。

(それでも成績は悪いまんま・・・)



☆☆☆☆☆☆☆



というわけで、以上の反省を踏まえた結果、カリキュラムはこんなカンジに。


① 「どんどんつながる漢字練習帳」を1日12個で


② 「漢字ビギナーズ 24の法則でわかる!」を1日8個で


③ 「使う順と語彙マップで学ぶ漢字&語彙 日本語能力試験N1」を1日8個で + 模擬試験6   回


です。


つまりザックリ3つに分けて考えました。


以前のエントリ(→日本語教師も発見がいっぱい!非漢字圏学習者向けにピッタリの漢字教材「どんどんつながる漢字練習帳」)にも書きましたが、①の教科書にはベトナム語の訳もついているし、象形・指事・ちょっとだけ会意形声などの説明がビジュアルで示されていて、非漢字圏特にベトナムが多いクラスなので、使いやすそうだから。


②の教材のほうは、取り上げられてる漢字で①と同じものもあるんですが、それ以外の漢字は中級レベルといったところだし、同じ漢字でも「どんどんつながる・・・」とは捉え方が違うので、こちらを選びました。


1日の漢字の数を減らしたのは、そういうことがあるから。


で、ちょっとだけこの「漢字ビギナーズ」で不満なのは、その漢字まわりの語彙が一切無いこと。


仕方ないので、私が勝手にその漢字が含まれている中級レベルの語彙リストを作成し、先生方にお配りして、導入の時に説明してもらおうと思ってます。


因みに、この教材にもベトナム語の訳が付いています。


そして、最後の上級レベルの教材も結構お気に入りのモノです。


私が前にいた学校でも、この教材を選びました。(6か月だけ上級のクラス)


で、私が気に入ってる点は、この教材の作成者の押しポイントの「使う順と連想マップ」ではなく、語彙の数のバランスが良くその語彙が含まれた例文もあり、練習問題も充実しているから。


例えば、パッと私が今適当に開いたページなんですが、この「粧」の例文なども結構学生に色々聞けるチャンスを与えてくれそうだなって思いませんか?


使う順と連想マップ 漢字&語彙 例文


・あなたの国では何を機に化粧を始める?


・あなたの国では働いている女性は、身だしなみとして化粧をするのは一般的?


・一般的にデパートは一階が化粧品売り場だけど、他に何階が何売り場か分かる?


などなど。


この「使う順と連想マップで学ぶ・・・」を初めて採用した時に、この例文部分を超ベテランが絶賛してました。


それと、この目次を見ていただくとわかるんですが、この本冊にも練習問題が豊富にある上に、webにもこの本冊とは別の問題があり、ダウンロードすればその問題を使うこともできます。


使う順と連想マップ 漢字&語彙 目次


そして、忘れたころに模擬試験を入れ込むことも可能。


ただこの模擬試験は5ページあるので、漢字の導入との両立は難しく導入はせずこの模擬試験だけの日を設定しないといけませんけど。



で、ここへきて改めて考えたのが、毎日10個ずつ行っていた漢字小テストをどうするか、ってこと。


「どんどんつながる漢字練習帳」はいいんですけど、「漢字ビギナーズ」以降1日8個の導入になるため、漢字テストを行うには2個足りない計算になってしまいます。


最初は、じゃーテストを1日8個やればいいか、って思ってましたが、もっと良いコトを思いついてしまいました。


小テストは1日10個はそのままにして、前日導入された8個の漢字(漢字語彙)と、前々日に導入された8個の中からランダムで選んだ2個の漢字も交ぜるっていうアイデア。


これなら、2個だけですけど前々日に覚えた漢字も同時に復習できます。


今年度の学生を見てると、すぐ目の前に迫ってるテストの漢字は覚えようとするけど、テストが終わると忘却の彼方へ行ってしまうので、残らないのだろうと感じます。


今年度は、毎日の小テストはこういうカンジで進めながら、まとまった復習テストもどんどんやっていこうかと。


「どんどんつながる漢字練習帳」は1日12個だけど基本的な漢字で語彙も多くないし、その後の2つの教材は1日8個だから、多分復習テストを入れ込むことはそんなに難しくなさそう。


「漢字ビギナーズ」から「使う順と連想マップで覚える漢字&語彙」にかけてのレベルのギャップが結構ありそうだなと思わなくもないですが、11月の留学試験(EJU)や12月の日本語能力試験(JLPT)、その時期やそれ以降に行われる大学入試に間に合わそうとすれば、やっぱりN1レベルの漢字は必要になるから、しゃーないです。



あとは日割りを組んで担当の先生方に最終的なご意見を聞いて(何人かの先生には予め私が使おうとしている教材を紹介してます)、OKが出ればそれでカリキュラムを決めます。


私、教材選定をしてカリキュラムを作成する作業、わりと好きかも。




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漢字ビギナーズ [ 武部良明 ]
 





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使う順と連想マップで学ぶ漢字&語彙日本語能力試験N1 [ 飯嶋美知子 ]

これ書くとそもそも論になるからどうかなとも思ったんですが、本来「どんどんつながる漢字練習帳」のレベルの漢字は、進学コースで教えるモノじゃないんですけどね・・・


日本語学校さんにお願いしたいのは、↓ のような漢字を書かないくらいには、基本漢字はきっちり教えてほしいってことです。



P_20161108_161457_1


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2017年03月26日

読解の答えが分かんない時どうしてますか?

日本語能力試験(JLPT)のN1の読解問題や、大学入試の読解の問題の答えがはっきり分かんなくて、あーでもないこーでもないって言い合っている日本語教師の会話をよく耳にします。

確かに能力試験のN1の読解問題は、N2に比べて難易度がドカンと上がるし(問題の妥当性大丈夫?って思うレベル)、大学入試の読解問題って「これ国語やん!外国人向けちゃうやんっ!」って思うような問題を出題する大学があります。

でも、それを教師同士で話しても全く何も進んでいないことに時間かけても、時間の無駄じゃない?って思うのも確か。

そういうことに時間を使うくらいなら、原典の文章を全部読んだほうがいい

なぜかというと、その問いの正解が分からないのは次のようなパターンがあるから。

そのパターンっていうのは、


・問題文になっている部分は、全体の文章の一部の文脈に過ぎず

・出題者も全部を読んでいない場合、筆者の意図を誤解している可能性がある


からです。 


☆☆☆☆☆☆☆


私がまだ日本語を教え始めた時に、最初に挙げた例のような会話を同期の教師と教務室で繰り広げていたときのことです。

その会話を聞きながら、私たちの研修を担当してくださってた超ベテラン教師がニヤニヤ笑ってたから、「なんか変なこと言ってたかな?」と気にはなってたんですが、ご本人に敢えてその理由をその時は聞きませんでした。

で、後々他のベテラン教師と全く違う話題を話してた時に、上記のベテラン教師はほとんど全ての原典にあたっている、ということを聞かされ、ビックリしました。

サスガ日本語教師の鏡!って思いましたモン。


そのことを聞いて以降、私はちょっとでも自信が持てない問題は、原典にあたるためその書籍を購入するようになりました。

つまり、こういう行動も私の自宅の本が増える理由の一つになってたってワケ。

入試問題の場合、良問の場合のみ使い続けますが、時事的な内容だったりするとその時にしか使えないので書籍も処分した結果、だいぶ断捨離できましたけど。


やっぱりこういう場合は、一時情報って大事だなって思いました。

この原典にあたるってことをするようになって、「あ、なるほど!筆者はこういう意図でこの部分を入れ込んでるんだな!」とか分かるようになり、それと同時に「出題者はこの文章を筆者の意図とは乖離して理解してるから、この問題(4拓の場合)は悪問。したがって、答えは4つの中には存在しない!」とか断言できるようにもなりました。

そこまで分かれば、「じゃー次はこの問題は使わないようにしよう」っていう行動にも繋がります。


またタイトルには読解しか書いてないですが、小論文の問題も一時情報を知ったほうがイイ。

大学入試の小論文って、ざっくりパターンを2つに分けることができ、


1 〇〇について具体的な例を挙げ、あなたの意見を述べなさい。

2 (何段落かの)この文章を読み、文章の内容を踏まえてあなたの意見を述べなさい


といったカンジ。

必ずしも「意見を述べなさい」だけではないんですが、分かりやすいのでそうしてみました。

で、1と2の大きく異なるのは、その後半部分ではなく前半部分。


1は受験者の知識まで問う問題。これは「文章の内容を踏まえる」っていう制限が無い代わりに、色々な情報を知ってないと手も足も出ません。

だから私は、毎週小論文クラスではニュースをやってるんですけど。


2のほうは、知識がそこまで無くても書けますが、読解力が無いとアウト。

時々、意見を述べさせるのみならず、文章全体を200字程度で要約することを求める場合もあります。


で、その文章の内容と設問が「どうもフィットしてないんちゃうかなぁ?」とか「この文章だけでは判断できないんちゃうかなぁ?」っていう時にも原典を読みます。


私の場合は、出題に使われた全ての原典を読むわけではなく、その中で「ちょっと微妙・・・」って感じたものだけです。


また、購入はしないまでもそこまでメジャーな本とかベストセラーになった本じゃなければ、図書館で借りたりもできるし、出版されて結構時間が経過していればkindle版で安く手に入れることも可能です。

あと、kindleだとセールを狙うと、もっと安く買えますしね。


まあとにかく、正解が何かを話し合うのが世間話みたいなモノでなく、本当に切実に正解が知るっていう問題解決を志向するのであれば、その話し合いをすぐにでも終わらせて、原典にあたったほうが生産性が高いですよ、っていうアドバイスでした。


ほな、さいなら!


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akky_san at 20:09|PermalinkComments(0)日本語教師 

2017年03月25日

ここ数年見たアニメ映画で一番良かった 高畑充希さんが全編通して岡山弁喋る「ひるね姫」 ネタバレ無し

最近岡山関係で、なにか映画に関する報道があったような気がして調べてみたら、倉敷の下津井が舞台に名あってる神山健治監督「ひるね姫」が既に公開されてたので、見に行ってきました。

こちら。


ひるね姫2



で、公式HPはこちら。 →  映画「ひるね姫 ~知らないワタシの物語~」

他の画像も。


ひるね姫1


ひるね姫3


なかなか面白そうでしょ?

舞台になってるのは、岡山県倉敷市で2020年の東京オリンピック開催の3日前。

このオリンピック開催直前っていうのは、偶然そうなっているわけではなくて伏線になってます。

で、このアニメ映画にご出演の声優担当の方たちが、こちら。


ひるね姫 声優


主役の森川ココネの声を担当するのは、高畑充希さん。

そして、二人暮らしをしているお父さん役が江口洋介さんです。

鋼の錬金術師のエドワード・エルリックの釘宮理恵さんもご出演。


で、倉敷が舞台になっているので、当然高畑さんは全編通して岡山弁を喋ってます。

こんなカンジで ↓ 。


ひるね姫4


見えますかね?「なんでこんなに一日中眠てえんじゃろ?」っていう文字が。

これは、「なんでこんなに一日中眠たいんだろう?」っていう意味です。


ざっくりストーリーを説明すると、平凡な女子高生ココネはいつも居眠りをしてばっかりだが、ここ最近同じ夢を時系列で見るようになる。そして、そんな中下津井で小さな自動車修理工場を営んでいる父親モモタローがなぜか急に警察に連行されていく。なぜ父親が警察に逮捕されたのか、その謎を解き父親を助けるためにココネは幼馴染の大学生モリオと東京へ行くことにする。


で、最近私はアニメ映画を立て続けに見てるんですが、ここ数年の中で一番楽しめた作品です。


・エンターテインメント

・ストーリー

・世界観

・テーマ

・声優さんのセリフ回し


どれをとってもかなり満足度が高い作品です。

例えば、エンターテインメントに関してであれば、夢の中でココネ(夢の中ではエンシェンっていう小さい女の子キャラ)がモリオとジョイ(現実世界でココネが大切にしてるぬいぐるみが)と一緒にハーツ(現実世界ではモモタローが作ったサイドカーで、夢では命を吹き込まれロボットにも変形できる)に乗って瀬戸大橋の上を飛ぶんですが、カメラのアングルとかカメラワークが秀逸で、見てるこっちが乗ってるように錯覚しました。

また、高畑さんの岡山弁も非常に上手で、安心して見ていられました。

一部若干関西弁アクセントになっている部分も無くは無かったですが、気になるほどでもありません。

例えば、最近はどうか分かりませんが、岡山女子は一人称で「うち」っていう言葉を使います。

その時に「う」が高くなると関西弁アクセントで、「ち」が高いのが岡山弁です。

あと、現実世界の雉田さんっていう地元の警察官の人が出てくるんですが、めっちゃ岡山弁が自然だなぁ~って思ってたら、岡山出身の人でした。

この方は俳優の前野朋哉さんという方で、auのCMで一寸法師をやってる俳優さんって言えばわかりますよね。


また、ストーリーも現実世界と夢の世界が交互に描かれるのですが、この2つの世界がリンクしていくあたりもゾクゾクします。

東京へ行くために一度大阪に行くのですが、所持金が無くてその旨を父親のモモタローが大切にしてたタブレットのSNSアプリに呟いた瞬間、JRの職員さんが「新幹線のチケットです」と言ってチケットをくれたり、新幹線の車内で「弁当が食べたい」って呟いた瞬間、本当に弁当が届けられたりっていうあたりも謎でした。

っていうより、この人の仕業かなって思ってたら、違う人だったんですよね。

そして、伏線がまだまだ残ったままエンディングに近づいて行ってて、大丈夫なんかな?って思ってたらエンディングに向かってドンドン色んな事が収束していくカンジが非常に心地良かった


で、私が気になったのはやっぱり岡山弁。

今回も広島の人と一緒に行ってたんですが、彼にはやっぱり分からない部分があったもよう。

例えば、大阪弁では「あかん」っていうのを岡山弁は言い方が2つ「いけん」と「おえん」があります。

これ、広島では「いけん」は言うけど「おえん」は言いません。

あと、彼が「広島では言わんけど、意味は何となく分かる」って言ってたのが、ココネがモリオに「バイク運転できよう?」と言ったセリフ。

これ、皆さん分かります?

平易な岡山弁で言い換えると、「バイク運転できるじゃろ?」です。

はい、分かんないですねごめんなさいすみません。

これは「バイク運転できるでしょ?」という意味です。

質問者が相手がこう行動するだろうという前提を持っていて、その行動の意志の有無を聞くときの表現です。

共通語の日本語の授業では、相手の行動を意向形にするとかありえませんもんね?

「~ようと思っていますか?」などという形では使いますが、意向形のみで使うことはありません。

だから、岡山以外の人で岡山県民に「食べよう?」って聞かれた時は、「食べるでしょ?」っていう意味であると思ってください。

でもこの使い方って、Ⅰグループの動詞では使わないような気がするんですけど、どうなんでしょうか・・・

また、考えてみます。


あと、「あ、これも岡山弁だったんじゃ!」って思ったのが「やこお」です。

これは、「など」、「なんか」、「なんて」と同じように、


・例示

・軽視

・謙遜


なんかに使われる表現です。

これはさすがに、広島人も意味が分かんなかったようです。


☆☆☆☆☆☆☆


この映画は、本当に色んな人に見てほしい映画です。

で、もし見に行く場合は、エンドロールが終わるまで席を立たないほうがいいってアドバイスさせてください。


上映後は、結構あちこちで鼻をすする音が聞こえてきました。


私は小説も買っちゃいました。

また、あとであの感動を反芻するために読むつもりです。


聖地巡礼もしてしまうかも。


聖地については、こちらが詳しいです。 → ひるね姫の舞台(ロケ地)は岡山県倉敷のどこ?聖地のモデルとなった場所は?


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akky_san at 23:07|PermalinkComments(0)方言 | 岡山弁