専任講師と非常勤講師の関係性接続詞の練習方法と、学生が作ったストーリー

2015年07月04日

日本語能力試験(JLPT)に対する、よくできる学生の意見

今日は日本語能力試験(JLPT)が実施されました。

詳しくはこちら ↓ 。

日本語能力試験 JLPT


うちの学生たちできたんやろか?

めっちゃ心配です・・・


☆☆☆☆☆☆☆


で、最近、この試験に対する、卒業生の懸念をよく聞くので、エントリに書いてみました。

タイトルの「よくできる学生」ってのは完全に私の独断です(笑)

まぁ、日本語の能力が高くて、論理的思考力もある学生です。


率直に書くと、「こんな簡単な試験で留学生の日本語能力をはかっていいのか!」っていうご意見。

まぁね~

特に私がずっと担当してきてるのは上級とか大学進学コースとかのクラスなので、必然的にN1がメインになってきます。

今までの流れだと、初級→中級→上級ってかんじで、上級になって初めて日本語能力試験のN1を受験して合格、みたいな感じでした。

っていうのは、N1に合格できれば、その下のレベルのN2以下の試験の合否は問われないからです。

つまり、以前の学生はN3以下のテストは受けなかったってこと。

だから、上級レベルの学生はN1合格がかなり重要になってきます。

そのN1のテストの難易度が、以前の1級、2級とか言ってたときに比べたらかなり下がってるんちゃうかっていうのが、前述の学生の意見。


確かに、合格基準のハードルは下がってます。


1級のときは400点満点の280点(70%)以上が合格。

一方、N1は180点満点の100点(55.6%)以上が合格。

まぁ、テストの中身がかなり変わったんで、一概には言えません。

ただ、これだけ合格点が下がると、同じN1合格でも、実は能力に差がある学生が混在してることになるんじゃないかと。

どういうことかというと、ほぼ満点に近い学生とギリギリ合格してる学生が、一応スコアは出るものの、どちらも「N1に合格した人」っていう括りになるってこと。

これ、いいんですかね?


で、そのテストの中身なんですが、一度公式問題集を分析したことがあって、その内容を詳しく書くとまた長くなりそうなので、それはいつかまた違うエントリで書くことにします。

でも、ちょっとだけ書くと、聴解問題で、「即時応答」っていうタイプの問題があります。

これは、短い会話で、最も適切な受け答えを選ぶ問題。

例えば、


A:今日は忙しいところ、手伝わせちゃって悪かったね。

1 えっ、忙しくなるんですか。

2 そんなはずないと思います。

3 いえ、いつでもおっしゃってください。


とか


A:あのう、こちらの傘、お忘れじゃないですか。

1 どうぞお気をつけください。

2 ああ、どうも、恐れ入ります。

3 お持ちしましょうか。


っていった問題です。

TOEICでも、似たような問題ありますよね?


上の問題の場合、忙しいところの「ところ」は文型ですが、極端に言うと、「悪かったね」の意味さえ分かれば解ける問題です。

下の問題も初級レベルの「~じゃないですか」っていうのが分かってればできる問題。

例えば、「あの人、田中さんじゃないですか?」っていう文の場合、話し手は田中さんだと思って発話してます。

で、この項目は大体初級で教えます。

で、選択肢の「恐れ入ります」がやや難しいですが、この言葉の意味が分かんなくても、消去法で1と3が消せるので、正解が選べてしまいます。

分かりやすい例を出したかったので、聴解問題を挙げましたが、文法などに関しても、似たような傾向があります。

こういう傾向に対して、私の思うよくできる学生が簡単すぎるって思ってるわけです。



☆☆☆☆☆☆☆


あと、問題点が2つあると思ってます。

1つ目は、カンニングが横行してるらしいってこと。

これは、よく言われてますよね~

留学試験でもあるみたいだし・・・


特に日本以外の国の会場とかでカンニングがひどいってよく聞きます。

よく、日本留学前にN1とかN2合格してて、いざ日本に来たらまったく喋れないってことが判明するパターンがあります。

私は、これには理由が2つ考えられると思ってます。

1つ目は、JLPTでは口頭能力は測られないため、仕方がないってこと。

これはTOEICとかも同じですよね~

テストではかなり高いスコアが出せるけど、会話は全然できない人。

で、2つ目は、このカンニングです。

時々、学生本人が堂々と告白することもあるし、その学生の友達から漏れ聞こえてくることもあります。


タイやベトナムでは、N3合格、N2合格、N1合格だと、日系企業に就職した場合、給料が全然違います(もちろんN1が最も高い!)

あと、大学院の受験の条件に、N1合格者としてある場合もありますし、大学の指定校推薦でもN2合格以上っていう条件を出してるところもたくさんあります。

それで、カンニングかぁ・・・

もちろんカンニングで合格して大学院に入っても研究についていけないだろうし、就職しても日本人とコミュニケーションをとるのは困難です。

でも、この現状を関係者は知っておくべき

私の案としては、JLPTの結果だけじゃなくて、もうちょっと色々な要素の条件を設けて、総合的に判断することが必要だと思います。


2つ目の問題点は、テスト実施のタイミング。

以前の1級とか2級とかの時は、年に1度、12月だけの実施でしたが、今は7月と12月の年2回。

これが、また厄介なんですわぁ・・・

特に上級の場合。

以前は、4月に上級になった学生はゆっくりN1の語彙や文法を習っていって、10月からN1の演習問題を何回もやり、出題のパターンに慣れるってことができてました。

でも、今は7月にN1を受ける学生が多くなり、4月からN1のインプットをして6月の終わりにインプットがギリギリ終わり、問題に慣れる間もなく、受験。

なので、7月の合格率は低くなります。

なぜ7月に受験する学生が増えてるかというと、大学院志望が増えてるから。

大学院によっては受験日が早いところもあり、そういうところでは、12月実施のテストの結果が間に合わなくなります。


今まで見てきたパターンでは、7月にN1を受けて不合格、12月にもう一度挑戦したけど不合格。

その学生は、結構自己評価が高くN1には合格できると思い込んでいたので、N2以下のJLPTは受けたことがなく、結果的に日本語の能力を何も証明できないってことになってしまいました。

だから、私が担任をしていた上級のクラスでは、「自分に実力があると思ってても、とりあえずN2を受けなさい」っていう指導をしました。

ただ、学校全体でそういうふうにするのはなかなか難しく、玉砕してしまう学生も結構出ました・・・


☆☆☆☆☆☆☆


私は、進学希望者にとって重要な、もう1つの日本語のテストである留学試験(EJU)だけでは、学生の日本語能力は全く測れないと思ってます。

この試験は、ある程度の語彙を覚え、コツを掴み、スピードに慣れさえすればできるテストです。

一応、アカデミックを装っているけど、スキャニングやスキミングのスキルさえあればできてしまうテスト。

つまり、このテストで高得点が取れるようになっても、思考力は育ちません。

だから、この日本語能力試験(JLPT)も必要ではあると考えてます。

だけど、もうちょっと上記の問題点を改善していただければいいのになぁって思います。



☆☆☆☆☆☆☆


JLPTは、問題が公開されないので、どんな問題だったか、私たちには分かりません。

なので、いつもどんな問題が出たか学生に聞くんですが、賢い学生は問題の例文だけでなく、選択肢も全部覚えてたりします

明日、私のクラスの学生に聞いてみようと思ってますが、彼らがどこまで正確に覚えてるんやろ?ってある意味楽しみではあります(笑)


ほな、さいなら!


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akky_san at 22:54│Comments(0)日本語能力試験 | N1

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