2016年04月21日
栗田正行著「わかる板書伝わる話し方」 板書まで含めて授業を組み立ててますか?
栗田正行著「わかる板書伝わる話し方」も日本語教育以外の、授業のテクニックに関する本です。
前にもこんな板書関係の本に関するエントリを書きました。 → 八巻修著「参加型板書 システム&アイデア」 学生の授業への参加度を高める一つの効果的な方法
私の個人的な見解なんですが、日本語教師って板書を蔑ろにしてるっていうか、あんまり重視していない人が多いような気がします。
模擬授業や授業見学などでも、ちょっと「エッ?」って思うことがあります。
何でそれを板書するの?
とか
何でこれは板書しないの?
って感じることがあります。
かくいう私も、そこまで毎回毎回緻密に板書をしているわけではありません。
ただ、文法などは後でノートを見たら内容が一目瞭然になっていて、復習しやすい板書を心がけていますし、総合や小論文などでは、学生の意見やそのテーマの各要因の関係性が私の当初の計画通りに完成されるように板書を考えたりはします。
でも、十分だとは言えませんし、漢字や語彙に関しては結構適当に書き殴ってるだけだったりします。
今回この「わかる板書伝わる話し方」を読んで、特に板書の部分では「頭では分かってるんだけど、なかなか実践できていないこと」がたくさん出てきたので、今回エントリに書こうと思いました。
なので、「伝わる話し方」の部分については別エントリで書きます。
☆☆☆☆☆☆☆
1 矢印だけでも4つの効果がある
著者は、「授業参加者の認識を揃えることが板書の目的の一つ」であり、それを「明瞭の効果」と呼んでいます。
そして、その具体例の一つに矢印を挙げています。
その効果は4つあり、
①時間の関係を表す
②因果関係を表す
③順序関係を表す
④位置関係を表す
としています。
初級の文法説明であれば、①は「テンス・アスペクト」、②は「~て・~ので・~から」、③は「~前に・~後で・~てから」、④は位置関係と書いてありますが、図やイラストを描いた時に該当場所を指すということなので、語彙の授業に使えそうです。
ここで気をつけないといけないのは、矢印にも色んな種類があって(例えば、→、⇒、⇔など)それを使い分ける場合、ルールを統一しておくということ
その時の気分で使い分けてはいけないってことですね。
2 色使いに注意する
皆さんは、黒板にしろホワイトボードにしろ、色を使い分けていますか?
使い分けている場合、使い分けに統一されたルールはありますか?
また、何色をどういう目的で使っていますか?
ところで、ここでちょっと質問なんですが、黒板の場合最も目立つ色は何色だと思いますか?
黒板にチョークで板書する場合、目立つ順に並べると、
1位 黄色
2位 白色
3位 赤色
だそうです。
因みに、ホワイトボードの場合は
1位 赤色
2位 青色
3位 黒色
です。
これを知っておけば色々活用できそうです。
私は今、小論文のクラスは黒板で文法のクラスはホワイトボードなので、その授業によって色を使い分けようと思っています。
3 板書でスペースを取るのも有効
私の小学校の先生もよく仰ってましたが、
「後で書き加えることがあるから、2行空けておいて」
っていうのを前もって言っておくと、後で学生が消しゴムで消すっていう手間が省けます。
そしてこのことは、とりもなおさず予め教師が板書を計画的に考えていることを示しますし、学生にも配慮しているっていうことが伝わります。
4 自分の板書を教室の後方から確認してみる
皆さんは、多少長い文でもまっすぐに板書できますか?
私は途中から徐々に上に行ったり下に行ったりすることがあります。
それはなぜかというと、ずっと板書してる場所からしか見ていないから。
なので、自分の板書のクセを知るためにも、さりげなく教室の後のほうへ行って、距離を置いた状態で自分の板書を見てみることを著者は勧めています。
さらに、全体のバランスや一つ一つの文字の大きさなどもチェックできます。
5 細かい配慮も欠かさない
これは私もよくしているんですが、学生がノートを取っていて大体終わったかな?っていうタイミングで、
「消してもいいですか?」
って聞きます。
几帳面な学生は、ノートの字をきれいに書こうとしたりきれいにまとめようとするため、ノートを取るのに時間がかかったりします。
そういう学生は、教師が何も聞かずに突然板書を消してしまったら、愕然とするでしょうね。
なので、そういう学生のためにも細かすぎると思う人もいるかもしれませんが、配慮をしてあげたほうがイイということですよね。
6 そもそも学生はどういう板書をのぞんでいるのか?
ここでは中学生へのアンケートで、どういう板書を望んでいるのかっていう結果が出ています。
①続け字、大きさ
②位置
③色
④濃さ
⑤消し方
⑥まとめ方
⑦順序
⑧速さ
だそうです。
詳しいことは、この本を読んでいただければと思います。
7 黒板(ホワイトボード)を分割して板書する
私は、黒板全体を表として使うことはあるんですが、分割して板書するっていう発想はありませんでした。
この本には目的によって、いくつにどう分割するかっていう具体例が書いてあります。
☆☆☆☆☆☆☆
いや~勉強になりました
すぐに全部を自分の授業に取り入れるのはなかなか難しいとは思いますが、徐々に学生の様子を見ながら取り入れやすそうなものから使ってみようと思います。
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わかる「板書」伝わる「話し方」 [ 栗田正行 ]
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私の個人的な見解なんですが、日本語教師って板書を蔑ろにしてるっていうか、あんまり重視していない人が多いような気がします。
模擬授業や授業見学などでも、ちょっと「エッ?」って思うことがあります。
何でそれを板書するの?
とか
何でこれは板書しないの?
って感じることがあります。
かくいう私も、そこまで毎回毎回緻密に板書をしているわけではありません。
ただ、文法などは後でノートを見たら内容が一目瞭然になっていて、復習しやすい板書を心がけていますし、総合や小論文などでは、学生の意見やそのテーマの各要因の関係性が私の当初の計画通りに完成されるように板書を考えたりはします。
でも、十分だとは言えませんし、漢字や語彙に関しては結構適当に書き殴ってるだけだったりします。
今回この「わかる板書伝わる話し方」を読んで、特に板書の部分では「頭では分かってるんだけど、なかなか実践できていないこと」がたくさん出てきたので、今回エントリに書こうと思いました。
なので、「伝わる話し方」の部分については別エントリで書きます。
☆☆☆☆☆☆☆
1 矢印だけでも4つの効果がある
著者は、「授業参加者の認識を揃えることが板書の目的の一つ」であり、それを「明瞭の効果」と呼んでいます。
そして、その具体例の一つに矢印を挙げています。
その効果は4つあり、
①時間の関係を表す
②因果関係を表す
③順序関係を表す
④位置関係を表す
としています。
初級の文法説明であれば、①は「テンス・アスペクト」、②は「~て・~ので・~から」、③は「~前に・~後で・~てから」、④は位置関係と書いてありますが、図やイラストを描いた時に該当場所を指すということなので、語彙の授業に使えそうです。
ここで気をつけないといけないのは、矢印にも色んな種類があって(例えば、→、⇒、⇔など)それを使い分ける場合、ルールを統一しておくということ
その時の気分で使い分けてはいけないってことですね。
2 色使いに注意する
皆さんは、黒板にしろホワイトボードにしろ、色を使い分けていますか?
使い分けている場合、使い分けに統一されたルールはありますか?
また、何色をどういう目的で使っていますか?
ところで、ここでちょっと質問なんですが、黒板の場合最も目立つ色は何色だと思いますか?
黒板にチョークで板書する場合、目立つ順に並べると、
1位 黄色
2位 白色
3位 赤色
だそうです。
因みに、ホワイトボードの場合は
1位 赤色
2位 青色
3位 黒色
です。
これを知っておけば色々活用できそうです。
私は今、小論文のクラスは黒板で文法のクラスはホワイトボードなので、その授業によって色を使い分けようと思っています。
3 板書でスペースを取るのも有効
私の小学校の先生もよく仰ってましたが、
「後で書き加えることがあるから、2行空けておいて」
っていうのを前もって言っておくと、後で学生が消しゴムで消すっていう手間が省けます。
そしてこのことは、とりもなおさず予め教師が板書を計画的に考えていることを示しますし、学生にも配慮しているっていうことが伝わります。
4 自分の板書を教室の後方から確認してみる
皆さんは、多少長い文でもまっすぐに板書できますか?
私は途中から徐々に上に行ったり下に行ったりすることがあります。
それはなぜかというと、ずっと板書してる場所からしか見ていないから。
なので、自分の板書のクセを知るためにも、さりげなく教室の後のほうへ行って、距離を置いた状態で自分の板書を見てみることを著者は勧めています。
さらに、全体のバランスや一つ一つの文字の大きさなどもチェックできます。
5 細かい配慮も欠かさない
これは私もよくしているんですが、学生がノートを取っていて大体終わったかな?っていうタイミングで、
「消してもいいですか?」
って聞きます。
几帳面な学生は、ノートの字をきれいに書こうとしたりきれいにまとめようとするため、ノートを取るのに時間がかかったりします。
そういう学生は、教師が何も聞かずに突然板書を消してしまったら、愕然とするでしょうね。
なので、そういう学生のためにも細かすぎると思う人もいるかもしれませんが、配慮をしてあげたほうがイイということですよね。
6 そもそも学生はどういう板書をのぞんでいるのか?
ここでは中学生へのアンケートで、どういう板書を望んでいるのかっていう結果が出ています。
①続け字、大きさ
②位置
③色
④濃さ
⑤消し方
⑥まとめ方
⑦順序
⑧速さ
だそうです。
詳しいことは、この本を読んでいただければと思います。
7 黒板(ホワイトボード)を分割して板書する
私は、黒板全体を表として使うことはあるんですが、分割して板書するっていう発想はありませんでした。
この本には目的によって、いくつにどう分割するかっていう具体例が書いてあります。
☆☆☆☆☆☆☆
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すぐに全部を自分の授業に取り入れるのはなかなか難しいとは思いますが、徐々に学生の様子を見ながら取り入れやすそうなものから使ってみようと思います。
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