2017年03月02日
この教科書では一つの文型ってことになってるけど、3つに分けられるの分かりますか?
旧「完全マスター2級文法」を文法クラスで使っていたので、教案というよりオリジナル例文をどんどん作っていってたときのことです。
86番目の文型「~ことから」の教科書の例文を見てて、「あれ?」って違和感を感じました。
その違和感っていうのは、タイトルの通りなんですけど、「教科書では一文型ってことになってるけど、これって3つの使い方があるよね?」っていうもの。
教科書の例文はこちら ↓ 。
これ、分かります?3つ種類があるの・・・
私は自分の例文づくりで、3種類に分けました。ついでに、「~ことから」ではなく、「AことからB」という形に変更。
1 Aを根拠にBということが分かる/知る/考えられる
2 Aがきっかけ/起因になってBという事態が起こる/始まる/進行する/発展する
3 AがBの由来
という3つ。
こっちのほうがスッキリしませんか?
教科書の例文の①と④が私の分類の1、教科書の例文②が2、③が3に該当します。
で、ちょこっと例文も出すと、
1は、
・殺人事件があった昨夜、飼い犬が吠えなかったことから、外部の人間の犯行の可能性は低いと考えられる。
これ、シャーロックホームズの「バスカヴィル家の犬」のネタです。
ここでの練習方法としては、「エビングハウスの忘却曲線」やら、経済学の「プロスペクト理論」やらのグラフを学生に提示して、そこから分かることをドンドン言わせていく練習。
2に関しては、
・宛先を間違えてメールを起こってしまったことから、2人の交際は始まった。
これ、映画とかドラマとかでよくありがちな、出会いのきっかけ系です。
あとは、
・夫がちょっとした言葉を言ったことから、離婚問題にまで発展した。
とか。
ここでの練習では、「些細なことがめっちゃ大きい問題になってしまった経験や、自国のニュースを説明させる」っていう流れで。
最後に3は、
・大阪市内は昔海だったことから、海に関係する地名が多い。
っていう例文を出して、知っている限りの海関係の地名を言わせたりしました。
例えば、難波とか船場とか福島とかが出てきました。
実は「梅田」っていう地名も、本来は「埋田」だったんですよね~
練習方法は、まず私が日本の野菜などの語源の由来を説明して(例えば、カボチャとかサツマイモとか)、学生の国の農産物の由来を言わせるっていう方法。
これは、あんまり出てきませんでしたけど・・・学生もよく知らなかったみたい。
この日はトルコ人男子が休んでたから聞けなかったんですけど、最近よく見かける「お坊さんの気絶」っていうトルコ料理の語源の由来を教えてもらいたかった・・・
あ、あと日本の会社名の由来(キャノンとかブリヂストンとか)を教えると、かなり食いつきが良かったです。
☆☆☆☆☆☆☆
今日書きたかったのは、教科書では一つの文型と一括りにしていても、必ずしもそうじゃないことがあるし、それらを一緒くたに教えてしまうと学生を混乱させてしまいかねない、ってこと。
これは文法に限らず、語彙とかでもそうです。
以前私が「あくまで」っていう語彙を教えていた時、私は種類が一つだけだと思ってたんですが教えながら「あれ?これ意味2つある?」って思い始め、そうすると当時の非常によくできる韓国人男子から「先生、この言葉は意味が2つありますよね?」って聞かれましたから。
だから、私は「分解思考」とか「個別化」っていうのも、日本語教師にとって重要なスキルである、と考えます。
幸い、以前書いたエントリの「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」という本で、自分の強みを調べたところ、一応私の5つの強みの中に「個別化」が入ってました。
それと、私が日本語教師になって初めて見せていただいたベテランの先生の文法の授業で、特に感銘を受けたのが「きちんと分類している」っていうこと。
求心力や説明の丁寧さもさることながら、やっぱりこの部分に一番衝撃を受けました。
それから、教科書もそうなんですが、日本語教師用の文法書も分類が甘いものがあったりするから、要注意です。
つまり、こういう「分解思考」や「個別化」のスキルが、日本語教師の「分析力」に直結するっていうわけです。
そして、その文型の種類がいくつかあるっていうことに気づけば、色々とスッキリして文型分析や教案づくりが捗ることに繋がります。
もし何かで行き詰ってる先生がいたら、「何種類かあるのかも?」っていう発想を持てば、事態が打開できるかも。
私はそうでしたから。
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86番目の文型「~ことから」の教科書の例文を見てて、「あれ?」って違和感を感じました。
その違和感っていうのは、タイトルの通りなんですけど、「教科書では一文型ってことになってるけど、これって3つの使い方があるよね?」っていうもの。
教科書の例文はこちら ↓ 。
これ、分かります?3つ種類があるの・・・
私は自分の例文づくりで、3種類に分けました。ついでに、「~ことから」ではなく、「AことからB」という形に変更。
1 Aを根拠にBということが分かる/知る/考えられる
2 Aがきっかけ/起因になってBという事態が起こる/始まる/進行する/発展する
3 AがBの由来
という3つ。
こっちのほうがスッキリしませんか?
教科書の例文の①と④が私の分類の1、教科書の例文②が2、③が3に該当します。
で、ちょこっと例文も出すと、
1は、
・殺人事件があった昨夜、飼い犬が吠えなかったことから、外部の人間の犯行の可能性は低いと考えられる。
これ、シャーロックホームズの「バスカヴィル家の犬」のネタです。
ここでの練習方法としては、「エビングハウスの忘却曲線」やら、経済学の「プロスペクト理論」やらのグラフを学生に提示して、そこから分かることをドンドン言わせていく練習。
2に関しては、
・宛先を間違えてメールを起こってしまったことから、2人の交際は始まった。
これ、映画とかドラマとかでよくありがちな、出会いのきっかけ系です。
あとは、
・夫がちょっとした言葉を言ったことから、離婚問題にまで発展した。
とか。
ここでの練習では、「些細なことがめっちゃ大きい問題になってしまった経験や、自国のニュースを説明させる」っていう流れで。
最後に3は、
・大阪市内は昔海だったことから、海に関係する地名が多い。
っていう例文を出して、知っている限りの海関係の地名を言わせたりしました。
例えば、難波とか船場とか福島とかが出てきました。
実は「梅田」っていう地名も、本来は「埋田」だったんですよね~
練習方法は、まず私が日本の野菜などの語源の由来を説明して(例えば、カボチャとかサツマイモとか)、学生の国の農産物の由来を言わせるっていう方法。
これは、あんまり出てきませんでしたけど・・・学生もよく知らなかったみたい。
この日はトルコ人男子が休んでたから聞けなかったんですけど、最近よく見かける「お坊さんの気絶」っていうトルコ料理の語源の由来を教えてもらいたかった・・・
あ、あと日本の会社名の由来(キャノンとかブリヂストンとか)を教えると、かなり食いつきが良かったです。
☆☆☆☆☆☆☆
今日書きたかったのは、教科書では一つの文型と一括りにしていても、必ずしもそうじゃないことがあるし、それらを一緒くたに教えてしまうと学生を混乱させてしまいかねない、ってこと。
これは文法に限らず、語彙とかでもそうです。
以前私が「あくまで」っていう語彙を教えていた時、私は種類が一つだけだと思ってたんですが教えながら「あれ?これ意味2つある?」って思い始め、そうすると当時の非常によくできる韓国人男子から「先生、この言葉は意味が2つありますよね?」って聞かれましたから。
だから、私は「分解思考」とか「個別化」っていうのも、日本語教師にとって重要なスキルである、と考えます。
幸い、以前書いたエントリの「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」という本で、自分の強みを調べたところ、一応私の5つの強みの中に「個別化」が入ってました。
それと、私が日本語教師になって初めて見せていただいたベテランの先生の文法の授業で、特に感銘を受けたのが「きちんと分類している」っていうこと。
求心力や説明の丁寧さもさることながら、やっぱりこの部分に一番衝撃を受けました。
それから、教科書もそうなんですが、日本語教師用の文法書も分類が甘いものがあったりするから、要注意です。
つまり、こういう「分解思考」や「個別化」のスキルが、日本語教師の「分析力」に直結するっていうわけです。
そして、その文型の種類がいくつかあるっていうことに気づけば、色々とスッキリして文型分析や教案づくりが捗ることに繋がります。
もし何かで行き詰ってる先生がいたら、「何種類かあるのかも?」っていう発想を持てば、事態が打開できるかも。
私はそうでしたから。
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