2017年04月15日

第29回 日本語教師勉強会 案の定各先生が会話テストで重きを置く項目がバラバラだった

本日も、無事第29回日本語教師勉強会が終了。

まずはいつも通り先生方の授業に関するフリートークだったんですが、前々回くらいから人数が若干増えてきていて、とりあえず従来のやり方でやっていてはかなりこの部分に時間を取られてしまいます。

なので、ちょっとやり方を考えますね。

とはいうものの、私の中でのこの勉強会のコンセプトの最も重要なものとして、


・勤務している日本語学校では聞きにくい質問を聞ける

・一人で考えても答えがなかなか出ない問題をその場で共有し、集合知で良い解決策やアイデアを得られる


ということもあるので、このフリートークを無くそうとは考えていません。


なので、時間の効率化を図って、もうちょっと生産性を高めていきたいです。


☆☆☆☆☆☆☆


で、そのフリートークの内容。

1 中級クラスの総合教材の中の文型の授業の進め方と、そこにも出てきている文型が日本語能力試験N3文法クラスにも出てきていてカブっているので、扱いをどうするのか?

これって、進学主体の日本語学校あるあるなんですかね?

実は私はこういう状況になったことはなく、正直私一人では良いアドバイスができそうになかったので、他の先生方に聞いてみました。

因みに、総合教材は「中級から学ぶ日本語」、N3文法のテキストは総まとめです。


色々と有用なご意見は出てきてて、「なるほどな~」と思いながら聞いていながらも、私の中に湧いてきた2点を言わずにはいられなかったので言ったのが次です。


・一応出版社はN1とかN2とかって謳ってるけど、JLPTを作っている国際交流基金はJLPTの範囲は発表していないので、出版社が言っているだけであり、そのため出版社によってはA社はその文型をN3に分類しててもB社はN2のテキストに入れてたりする

・まず、従来のN2文型やN3文型は、実際の文法問題にはあまり出ていないし、文法問題のウェイトも改定前の能力試験に比べてかなり少なくなっている


という2点。

特にまあまあ昔からやってる私のような日本語教師は、JLPTに学生を合格させるためについ「文型」をまず念頭に置きがちですが、いくら文型の授業に力を入れても、それは合格には直結しないのが現状ではないかと。


この相談をなさったのは、まだそこまで経験が長い先生ではないので、色々と悩みながら授業に臨まれているようでした。


で、上記の2点と、私は学校やカリキュラム作成者(専任?担任?)が具体的に中級の学生を中級が修了したときにどうなっていてほしいのか?っていうのがかなり重要になってきそうなので、それをまず聞いてみたらどうか?という提案をしました。

例えば文型一つとっても、「本文の理解ができればよし」とするのか「実際に会話や作文で使いこなせるようになるまで」にするのか、どっちを到達目標にするのかによって、授業での教師の役割も変わってきます。

そして、このことは別の先生のお悩みとも関係してきます。


2 中級の複数の教材の重なりと漏れがあり、文型を産出と理解に分けて提示するべきかどうか

この先生も、1の先生と同じように中級を担当なさっていて、複数の教材で同じ文型が扱われているそうです。

総合が「中級日本語」でN2対策が「完全マスター」です。

今の状況ではそれぞれバラバラで使っていて、重なりや漏れは放置になっていて、精査する必要性を感じているとのこと。

私も以前「中級日本語」を使っていましたが、その時は専任の先生が中級日本語には出てこない(当時は)2級文型を完全マスターから拾ってきて、それを冊子にしたものを使ったりしてました。

それ、私の家のどこかにあるかもしれないんですが、もしかしたら処分してるかも・・・


他の先生から良い提案が出ていて、それは「導入は総合の教科書で丁寧に使えるようになるところまで持って行って、対策授業はもう文型の意味が分かって4択だけできればいいっていうふうに分けたらどうでしょう?」というもの。

私もそれが良いと思いました。


ただ、文型を産出までする必要があるものと、理解できればいいものとに分けるっていうのはどうでしょう?

これ読んでる方はどう思いますか?

私はそういうことには慎重派で、やっぱりそういうことは教師が決めるんじゃなくて、学生本人が判断すればいいんじゃないかと。

とはいうものの、「全部自分で考えてね!」ってその判断を学生に丸投げすると学生としてもどうしていいか分かんないだろうから、教師の役割としては「これは友達同士の会話ではあまり使わないよ」とか「これは小論文で、意味が似てる初級文法の~の代わりに使うと、賢そうに見えるよ」っていうアドバイスをするってことですかね~

そして、そのアドバイスを受けて、学生自身が判断すればいい。

あと私が常々気になっているのが、こういうことを説明する時に教師があまりにも「書き言葉」と「話し言葉」を単純化してそのどっちかである、っていう説明しかしていないことが多いこと。

もっと書くと、「あらたまった言葉 = 書き言葉」、「フランクな言葉 = 話し言葉」って説明しちゃってそう。

例えば、もう今ではほとんど能力試験ではお目にかからなくなりましたが、当時の1級に分類されてた「~の至り」とか「~の極み」って使用される場面が特殊なだけで、基本話し言葉なんですよね。

場面として私が想像するのは、何かの授業式で聴衆を前に受賞者がスピーチする場面です。

2級レベルでいえば、「A次第B(AになったらすぐにBする)」っていうのも話し言葉で、緊急特番でキャスターが「新しい情報が入り次第、お伝えいたします。それでは現場の〇〇さん・・・」っていう状況とか、取引先から電話がかかってきたんだけど本人が不在で、「〇〇(本人)が戻り次第、お電話させます」と相手に言ったりとか。


3 欧米系の学生が、会話は流暢にできるものの、漢字がネックになって(在籍クラスも会話の内容も)なかなか上のレベルに行けない

これも永遠の課題の一つかもしれませんね~

ただ一方で、抽象的な漢字の熟語を使いこなせる欧米系もいて、その差は何なんだろう?といつも思います。

漢字そのものに対する興味の違いなのかな?などと思ったり。

そして厄介なのは、彼らは半径5mくらいの日常的な会話であれば非常に流暢で、周りの日本人もそのような評価をするため、彼らは自分は日本語ができると思い込みます。

さらに、自分たちが分からない抽象度が高い漢語などは、普段の生活では使わないから覚える必要が無いという認知バイアスが働き、自分ができないことに対して正当化するんですよね。

こういうながれがあるため、現在は「できる日本語 初中級」を使っているそうなんですが、その評価をどうすればいいのか?っていうことも悩んではりました。

私はこういう「できる日本語」のようなタスクシラバスの教科書をメイン教材として使うのは、それはそれでイイんですけどちょっと考えないといけないことが多いと思います。

どういうことかというと、こういうタスクシラバスの教材を使うのであれば従来のような知識を問うテストでは評価ができなくなり、テストもタスクが達成できるかどうかで評価しないといけないってこと。

だから、あまり安易にこういう教材を使ってしまうと、後々整合性が保てなくなる恐れが出てきます。


あと、先生のお話をうかがってると、その文法とか文型の理解ができないっていうより、漢字で躓いてるっていう印象を受けたので、別立てで漢字の授業をしたらどうか、という提案をしました。

奇しくもウチのクラスで使っている漢字ビギナーズはそういう学生にはうってつけだし、もしもう少し簡単なところからということであれば、どんどんつながる漢字練習帳なんかもイイと思います。








まずは、こういうところで確実に漢字をモノにしてもらって、そこからではないかと。


ほら、3人だけでこの長さですもん。

先生方全員のケースを書いてたら、それだけでかなり長くなってしまうので、とりあえず今回はこれだけということにします。


☆☆☆☆☆☆☆


次は、会話テストの項目のお話。

前回私が作成した、会話テストの評価基準の項目で、全体の評価を100点満点換算するという前提で、その各項目の配点を何点満点にするのか?ということを考えてきてもらいました。


いや~案の定というかなんというか、やっぱり先生によって何に重きを置くかっていうのはバラつきがあるんだなって再認識できました。


私が作った評価基準は、評価項目がめっちゃ多いです。

ただ、勉強会に来てくださっている先生方の優位性を担保するために、ここではその項目を全部は公表しません。

すみません。

でも、私としては実際に来てくださってる先生方は時間もお金も使ってくださっているので、その分メリットを享受していただきたいと考えています。


話を戻します。

結論から書くと、全員が同じ配点で一致したのは、「待遇」の5点だけでした。

それ以外は、全員が同じ配点っていうことはありませんでした。

大きく違ったのが、

・発音 3~10

・語彙(正確さ) 4~10

・スピード 2~10

でした。


今回この作業をすることによって、私自身も発見がありました。

それは、「最近私が担当した学生たちのできていないところばかりに引っ張られていて、そこの部分を重視して配点を高くしていた」ってこと。

例えば、私は「発音」の配点を10点にしていたんですけど、これは私が相手をしていた学生たちの発音が悪すぎて彼らの発話意図も類推できないことが多かった、ってことが多分に影響していると考えられます。

つまり、認知バイアスが働いてしまっていた、ってことではないかと。


最初の予定ではここから実際の学生の会話テストの受け答えを評価する予定だったんですが、時間がおしてきたため、今回はそれはしませんでした。

ご参加の先生方、それは次回でもイイですかね?

すみません。


☆☆☆☆☆☆☆


それから、最後は読解問題を作ってみよう、っていうワークショップ。

読解の授業の進め方で悩まれている先生って、結構多いのではないかと思い、こういう作業をすることにしました。

日本語学校でやってくれる研修って、どうしても文法や文型ばっかりになることが多く、あまり経験が長くない先生は読解の進め方が分からない、っていうお声をよく耳にします。

というわけで、今回私が選んだ読解の文章は、「学ぼう!にほんご 中上級」の「第5課 大学生活」の1&2段落目」です。

先生方には、「この範囲で、読解問題を作る」という作業をしてもらいました。

終わった段階でいくつ問題を作った聞くと、1~12個までこちらもバラバラでした。


で、皆でどの部分を問題にしたかを言ってもらいながら、最後に皆さんが問題にしなかった部分も、私は問題にできるのでは?というご提案をして終了。

そして、読解の授業でポイントが分からないとかどう進めていいのか分からない先生には、その授業の前段階で問題を作っていることでポイントが分かってくることもあるのでは?ということを提案してみました。


今回も有意義な勉強会になったかな?と感じています。


次回は、5月27日(土)に開催します。

部屋は第5会議室になります。


それでは、次回ご参加の先生、よろしくお願いします!


ほな、さいなら!


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akky_san at 20:22│Comments(0)TrackBack(0)勉強会 | 第29回

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