そろそろ顕著になってきた、日本語教材の設定と留学生が身を置く社会との乖離文型シラバスだからアウトプットできないの?って疑問と語彙授業のヒントが得られた! 「言葉をおぼえるしくみ ーー母語から外国語まで」①

2018年02月14日

日本語学校は生き残れるか?新しい動きが始動

私は、ハコとしての日本語学校には価値も感じているんですが、私が感じているような価値に気づいてない学校や目先の利益のみのインセンティブしか働いていない日本語学校は、近い将来淘汰されるだろうと考えています。

ただ、私はそのきっかけが

入国管理局の方針が厳しくなるという方向に変更になることで、特定の国籍の留学生のビザの許可率が下がり、その結果日本に留学する留学生の全体数が減る

ということしか想定してませんでした。

思考停止ですね。


☆☆☆☆☆☆☆


ところが、ここへきて新しい動きが始まっているようです。

こちらの記事 → 試験対策から生活情報まで、外国人留学生向けEラーニングのLincが1億円調達

なかなか興味深い内容です。

 
この記事によると、試験対策カリキュラムとしてEJUの日本語以外の科目のオンライン授業を提供する、ということです。

今のところ、中国語話者のみを対象に行われていて、もちろん中国語で授業は進められています。 


っていうことは、このオンライン授業を受講する人って、基本的に国公立大学を志望してる人ってことなんですかね?


私はこのニュースを読んで、ポイントが2つ、課題が2つあると考えました。

まず、ポイントの方から。

ポイント1 日本語教育業界も評価経済社会に巻き込まれていく


このニュースには、信用情報(クレジットヒストリー)という言葉が出てきます。

この記事の文脈としては、日本での生活のレクチャーの一環として、留学生はこの意識が低く渡航後の家賃の支払いの遅延などのケースが見られ、その結果クレジットカードの発行ができないという事態になりがちである。さらに、ユーザーのデータをもとに外国人人材の信用をスコア化し、住居やバイト、さらには就職先探しなどの領域にも広げていきたい、というようなものになっています。


今日も、与信をAIで判断し連帯保証人が入らなくなる可能性を示唆した記事(→「連帯保証なし」広がる 法改正で要件厳しく オリックスやみずほ、AIで与信判断)もありましたし、この流れは不可逆です。

そして、長らくそういうものとはあまり縁がないと思われていた日本語教育業界にも、その波がすぐそばまで迫っているんです。


ポイント2 仲介業者の価値が低下する


これは非常に良いことだと私は考えます。

こういう「誰かをどこかの組織に紹介して、コミッションを受け取る」っていうビジネスモデル自体、相当前時代的です。

そういうのは、ネットやSNSがなかった頃には必要だったと思いますが、もう不要です。

ただ、システムや仕組みがずーっと旧いままだった日本語学校で仲介業が残ってただけで、他の業界では既にシェアリングエコノミーがどんどん広がっています。

日本語学校と仲介業者の関係に影響される、どの学校を留学生に進めるかという業者の意向は、シェアリングエコノミーでは価値がなくなります。

むしろ、どの学校が本当にその学生にとって良い(というか、向いている)学校なのかが可視化され、学校選びの判断が容易かつ適切になります。


反対に、今後課題になるだろうと私が考えたこと。


課題1 純粋に日本に留学したい人がどれくらいいるか?


まあ私は、純粋に日本に留学しよう、純粋に日本語を学ぼうという人だけに授業をしたいと考えています。

ただ、ビジネスとして見た場合、そういうニーズを持つ留学希望者のマーケットって、どのくらいの規模なのか?っていうところが気になります。

記事によると、1年で10万円ってことだったので、そうなるとやはりある程度の人数が集まらないとペイできないのではないか、と思うんですかどうでしょうか?


まあ、オンライン授業には録画とライブ配信があり、コストは抑えられそうではあります。


課題2 e-learning で学習者のモチベーションが維持できるか?


これ、 e-leaerning でずーっと言われ続けてる課題ですよね?

学習者がなかなかモチベーションを維持できなくて、自然消滅するケースが多いです。


私、完全にそういう人です。

私の場合、授業に拘束性がなく自由度が高いと、語学学習は続かないんですよね。


よく、カフェとかで講師と待ち合わせをして、英会話のレッスンを受けるっていうのがありますけど、続いたためしがありません。

オンライン授業だと尚更そうなりそう。


なので、相当自律心がありモチベーションを維持できる人であれば有効ですが、少しのきっかけですぐ続かなくなる私のような人には向いてません。


☆☆☆☆☆☆☆


これ以外にも、受講希望者の国や地域のネット状況など、環境やテクノロジー面での制限もありそうです。


まあ課題はありますが、方向性としては私は全然アリだと思うし、むしろこういう動きがどんどん出てきたら国内の日本語学校業界も変化せざるを得なくなるでしょうね。

私は日本語学校業界の現状を見聞きするにつけ、どうにも閉塞感を感じずにはいられません。


ちょっとの変化でいいから何かが変われば、今後それがきっかけになって現状を打開することにつながればいいな、と考えています。


ほな、さいなら!


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akky_san at 12:30│Comments(0)日本語学校 

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