最近感じ始めてる日本語教師同士の情報格差若干精神的にツラい今年の文法クラスの進学面談

2018年05月15日

最近さらに変質してきた、私の読解の授業

今年度になってから私の授業で大きく変わったのが、読解です。

新年度が始まってから、既に何回かエントリを書きました。

akky も初めて試みる、日本語学校では無理っぽい文法と読解が融合した授業

EJUの読解対策の読むトレーニングの「基礎編」と「応用編」の難易度のギャップが凄すぎて、その橋渡しが必要


上記の2つ目は、授業内容というより教材関連なんですけどね。


それから、1つ目の文法と読解の融合っぽい授業についても、毎回それをやっているわけではありません。

理由は、以下の3つ。

  1. これといった文法が出てこない文章
  2. 文法は出てきているけど、そこではなく語彙の方が正解を導き出す影響が強い文章
  3. 文法は出てきているけど、以前に説明したのと同じ

というパターンです。

なので今回のエントリでは、最近さらにその変質ぶりが顕著になってきた授業内容の要素について書きます。

去年は一切触れなかったところまで踏み込んで授業を行なっています。 

あ、ちなみに今書いている読解っていうのは、EJUの読解です。


☆☆☆☆☆☆☆


1 私が読解の授業で大切だと思っているポイントが変わった


これ、大きいです。

以前も今も読解授業の目的自体は変わりません。

それは何かというと、「学生自身が自力で正しい答えを導き出せるようになる」ことです。

これは私の永遠の課題でもあって、それは以前学生に「先生の説明を聴いてたら、ふんふんってわかるんだけど、いざ問題を出されるとどうしていいか分からなくなる」と言われたことがあるから。

これ、私の数学と同じなんで、よく分かります。

どういうことかというと、公式も覚えていて先生の説明を聞きながら「なるほど」とは思っているんだけど、いざ問題を目の前にすると何から手をつけてどう進めていっていいのか分からなくなるんです。

それと同じ感覚かな、と。

でも、それではダメなんですよね。

それは、教師が学生の読解力を上げる授業ができてないってことだから。


なので、学生が自力でできるようにさせる必要があります。

ただ、以前の私はそのために、以前は

・ 学生にできるだけ負担をかけない、分かりやすい説明ができること

を重視していました。

しかし、現在は

・学生が間違えた理由を、できるだけ正確に把握すること

が重要だと思うようになりました。


これは、学生が教師の解説を理解できることよりも、教師側が学生の誤答の理由を理解できた方が学生の読解力を向上させられるんじゃないか、と最近思っているから。

なので、最近は答えあわせをするときに、違う答えを選んだ学生にどうしてそれを選んだのか説明してもらうようにしています。

そして、その説明についてどう思うか、他の学生に言ってもらったりしています。

こういう進め方をすると、思いもよらないことを学生が考えていたりいて、いろいろ面白い発見もあったりします。


2 かなり細かいところまで学生に問う


 例えば、こちらの問題。

次の文章の内容と合っているものはどれですか。

 アメリカでは、父親をはじめ家族全員が家のことを手伝うのが当たり前です。僕も子供の頃から自分のシャツを洗ったり、自分の部屋を掃除してきたから、一通りの家事はできます。つまり、アメリカでは自立するには、経済的な自立だけでなく、生活面の自立も大切だと考えているのです。
 日本の男性の場合は残業が多いので大変だと思います。もし、残業時間がもっと少なければ家事や育児をする男性も増えるのではないでしょうか。アメリカの家庭では、2人分の収入が必要となるので、多くの場合、男性も女性も働いています。しかし、日本と比べると正社員の残業時間が少ないので、男性も家事や育児ができるのです。

1 アメリカでは、生活面の自立のために、子供の頃から家のことをする
2 アメリカでは、男性は経済的に自立しているので、家のことはしない
3 アメリカでは、日本より正社員の残業時間が多いので、男性は家事ができない
4 アメリカでは、日本より働く女性が少ないので、男性は家事をしない 


いかがでしょうか?

ちょっと選択肢がどうかな〜という気はしないでもないですが、この問題では意外と誤答が多かったので細分化して学生にいちいち聞いていきました。

特に、以下の赤字部分と青字部分。

日本の男性の場合は残業が多いので大変だと思います。もし、残業時間がもっと少なければ家事や育児をする男性も増えるのではないでしょうか。アメリカの家庭では、2人分の収入が必要となるので、多くの場合、男性も女性も働いています。しかし、日本と比べると正社員の残業時間が少ないので、男性も家事や育児ができるのです。


まず、赤字のほうから。

  • 「思います」の主語は誰?
  • 誰の「残業時間」?
  • どこの国の「男性」?
という問い。

そして、青い字の部分。

  • この部分は「増えると思っている?」「増えないと思っている?」
青い字の方は置いといても、一般的なEJUの読解対策の授業では、おそらくここまで細かく学生に問うってことはなされてないんじゃないですかね? 

 
文章によっては、もっと1文を細分化して文章の構造がどうなっているか?っていうところまで問うたりもします。 


特に、

  1. 主語は何で、術後は何か?
  2. 修飾部分はどこからどこまでで、被修飾語は何か?

といったこと、つまり今までの日本語教育の読解授業ではあまり問われなかったところから段階的に学生に問うていってるんですよね。


昨年度までは、ここまで基本的なことを学生に問うことはなかったので、文法との絡み以外にも、純粋に読解するための問いも相当変質してきてるわけです。


そして、「間違った理由を把握する」ことと「基本的であり、かつ細部まで問う」のは 相互にリンクしています。


このように、今年度は読解の授業では昨年度とは全く違ったアプローチをしていってみようと考えてます。


ほな、さいなら!


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akky_san at 21:23│Comments(0)授業内容 | 読解

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