最近気になってる日本語と、初級文法の導入時にどう扱うか問題akkyが中級以上の文型分析をする時の思考のとっかかりを「〜える(うる)」を例にご紹介

2020年01月13日

将来、日本語教育でオーダーメイド授業がクラスの一斉授業より学習者にとって有益になっていく2つの理由

現在現場で教えてらっしゃる日本語教師の方、ここ最近学習者の学習動機や学習目的が多様化してきていると思いませんか?

特に、私と同じくらいかそれ以上の年数教えてらっしゃる先生には、そう感じる人が多いんじゃないかと考えます。

なぜなら、私がキャリアをスタートさせた学校では、ほぼ90%以上が大学進学希望者だったから。

ところが現在は、大学進学希望者、大学院進学希望者、専門学校進学希望者、生活者、遊学組などなどが同じクラスに混在していたりするそうです。

いや〜こういう状況下で色々と工夫しながら教えてらっしゃる先生には、頭が下がります。ホンマに大変そう。


一方で、ここ最近私の周りでは特にヨーロッパ方面で日本や日本文化に興味を持った個人が、1年に何回も日本に来たり、あるいは1年のうち何ヶ月かを日本で過ごすっていうケースが増えて来ています。

仮にそういう人たちがもっと増えていけば、上記のような日本語学校に入るより、オーダーメイド需要を受けた方が生産性が高くなります。

オーダーメイド授業についてはこちら。



上記のようなケースで、本当に今後は「個人の趣味」で日本語学習を始める人が増えていくんじゃないか、というのが今のところの私の見立てです。


なので、個人的な趣味が動機で日本語を学習する学習者が増えたら、クラスの一斉授業よりオーダーメイド授業が学習者にとって有益な理由というか、ポイントを2つ考えました。


☆☆☆☆☆☆☆


1 望ましい成果やゴールから逆算してカリキュラムが作れる

私は、「スタートからの積み上げ型」カリキュラムと「ゴールからの逆算型」カリキュラムと2つあると考えていて、前者は日本語学校などのクラスでの一斉授業タイプで、後者はオーダーメイドレッスンに該当すると思っています。

特に現在の多くの日本語学校では、初級のテキストをまず決めてそれに合わせて中級以上のカリキュラムを組んでいる学校、がほとんどではないかと。

そうすると、スタートである初級教材で扱われている語彙や文型の種類や数によって、中級や上級でどんな日本語を教えるのかが左右されるため、学校ごとにかなりバラつきが出て来ます。

特に日本語能力試験で、以前は存在した出題基準がなくなったこともあり、学校によって同じ文型や語彙でもそれを教えるレベルがバラバラだったりします。


ところが、学習者の

  1. 全体の学習期間や1日に日本語学習にかけられる時間、宿題の有無などの学習環境サイド
  2. どういう日本語が教えてほしくて、その日本語でどんなことができるようになりたいかなどの学習目的サイド

っていうことが予め分かっていれば、後行シラバスのオーダーメイド授業がその真価を発揮します。

ただ、2の「その日本語でどんなことができるようになりたいか」っていうのは、今一般的に言われているような行動中心アプローチとは違うものを私はイメージしています。

行動中心アプローチだと、電話でホテルの予約ができる、自分の国の料理の作り方を説明できる、などのことなんですが、こういうことができるようになりたい日本語学習者って本当にいるんですかね?

予約なんて電話しなくてもネットでできるし、国の料理についてはそんなに料理をしない人で説明できないってこともあるし、そうでなくても作り方を自分で説明するよりその料理を作っている動画のURLを貼って相手に送ったほうが早いです。


私が考えているのはそういう感じではなくて、将来の日本語学習者の学習動機や目的はもっとマニアックで多様になっていき、それに伴って難易度も抽象度も高くなっていくんじゃないかと。

例えば、

・この漫画家さんの全作品を日本語で読めるようになりたい

・新劇場版エヴァを字幕なしで映画館で見たい

・俳句が作れるようになりたい

・落語を聞いて楽しみたい

・谷崎潤一郎の作品を1つでもいいから読破したい

・宮大工の技術を会得したい

などなどです。


そうなってくると、行動中心アプローチはフィットしないため、必然的に後行シラバスになります。

で、その学習者と話し合いながらゴールを明確にしシラバスを明確にしていったほうが、一斉授業に比べて圧倒的に学習者にとっては有益ではないかと。


2 どうすればゴールまで最短でたどり着けるか考えられる

これ、日本語学校の多くのカリキュラム作成者に欠けている発想ではないかと思っています。

なぜかというと、上記の「スタートからの積み上げ型」カリキュラムが多いってこともあるし、学校によってはずーっと長いことしよう教材が固定化されているところもあるから。

なので逆に考えると、プライベートレッスンを主になさってる日本語教師の方は、この思考を持ち合わせているのかなと。

オーダーメイド授業が増えてくると、その学習プロセスは成果を獲得する、あるいはゴールへの到達に最短の道筋なのかを考える必要が出てくると言い換えることもできます。


ただ、気をつけないといけないのは、これは日本人もあまり使わないからという安易な理由で、教える項目を取捨選択しないほうがいいってこと。

なぜなら、日本のサブカルチャーで使われている日本語は、日本語教師が難易度が高いと思っているものが多いからです。

例えば、こちらのエントリのガンダムのセリフのスクリプト。



かなり難しくないですか?

J-POPも同様です。

例えば、(若干古めですけど)宇多田ヒカルさんの「Traveling」って曲では、

・春の夜の夢のごとし

・若さゆえに


など、旧日本語能力試験の1級に含まれていたような文型が出てきたりもします。


よって、日本語教師が考えがちな「日本人もあまり使わない」っていう特に根拠のない判断基準は、オーダーメイド授業を行う上で不要というより害にさえなりえます。

なので私も今のところ、どうすれば日本語の安易な取捨選択をせずにゴールまでの最短コースを策定すればいいのかは考え中ですが、結局その学習者によるっていうだけのような気もします。


個人的に考えているのは、どんな学習者でどんな日本語が獲得したいかによらず、初級から中級までの文法と文型はスキップできないんじゃないかってこと。

スキップできるとしたら、中上級以上になるんじゃないかと。

語彙については、その時の目の前にいる学習者によって全然変わってきそう。


そう考えてくると、このブログでも散々書いてきているように、

どこからどこまでが初級、初中級、中級、中上級・・・なのかっていう、自分なりにそれぞれの日本語レベルを定義するスキル

が必要になってきます。

初級の教科書で扱われているからこの文型は初級、ではなくて。

まあ、初級と初中級の違いよりも、少なくともザックリでも「ここからここまでが初級&初中級で、それ以上は中級以上」っていう定義ができないと、将来的にはツラいかなという気がします。


ともあれ、最短で成果を出すってことは、顧客である学習者にとって非常に有益なことです。


☆☆☆☆☆☆☆


日本語学校でのみ教えていてクラスでの一斉授業しかしたことない先生には、私が考える日本語学習者の多様化と個人化に伴う授業の変化は想像つかないかもしれません。

が、私はその変化の波が徐々に来つつあると感じているので、少なくともこのブログの読者さんにはそれに取り残されないでほしいなって思ったので、書いてみました。


ほな、さいなら!


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akky_san at 20:41│Comments(0)日本語教育 | 将来

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