2020年03月30日
オンラインレッスンが日本語学校の授業に向かない理由5つ
新型コロナウィルスの影響で、現在日本の大学などがオンラインレッスンを始動させようという動きがあります。
また、SNS上では日本語の授業をオンラインで実施しようという声も見かけるようになりました。
ただ、私はオンラインレッスンは日本語学校の授業の代替手段としては向いていないのではないかと考えています。
なので、その理由を書いていきます。
☆☆☆☆☆☆☆
1 学生の持つデバイスの種類
外国人留学生のほとんどはパソコンを持っておらず、スマホだけなんじゃないでしょうか?
そうなると、オンラインレッスンを行うのは非常に難しくなります。
スマホの画面は小さすぎて講師の表情が見にくいです。
しかし、オンラインレッスンというのは双方向なので、顔が見にくいってことが相互コミュニケーションの制限になってしまいます。
また、レッスン中にファイルを開けて閲覧したりするのも、スマホだけだとしんどそう。
デバイスがスマホだけだと、どうしても技術面での制約が多くなってしまいます。
2 デバイスの通信容量
例えば、学生が授業の動画を見る必要が出てきた場合、Wi-Fiのデータ使い放題じゃない場合ギガ不足に陥る可能性が高いです。
私が今まで接してきた外国人留学生で、ギガ使い放題の契約をしていた人はいませんでした。
最近はどうなのか分かりませんが、同じクラスで使い放題の契約をしている学生とそうでない学生に同じ質の授業を担保するのは非常に難しいと言わざるを得ません。
3 そもそも来日のインセンティブが下がる
まあ今は非常事態なので致し方ありませんが、新型コロナウィルスが終息した後もオンラインレッスンを継続するとなると、外国人が日本に留学するインセンティブが下がってしまいます。
オンラインレッスンだったら、わざわざ日本に来なくても自分の国で受講すればいいだけの話です。
まあよっぽど授業以外の来日の目的(例えば日本文化を実際に体験する)などがあれば 別ですが。
私がもしスペインにスペイン語を学びに行って、語学学校の授業が全てオンラインだったらかなりガッカリしそうです。
4 出席率問題
これは、出席率をどう考えるかや出席率の計算の仕方っていうことではありません。
現在、留学生にとっては出席率が非常に重要で、あまりに低い出席率だと進学できなかったり色々な問題が出てきます。
つまり、現在日本語学校に通っている外国人留学生の中には、
純粋に日本語が学びたいわけではなく、出席率を下げないためだけに学校に通っている
って人が少なからずいるわけです。
これは馬の鼻先に人参をぶら下げて走らせるというインセンティブシステムではなく、望ましくない行為を行うとペナルティが科されるという制限系の行動システムってこと。
オンラインレッスンと制限系の行動システムって、親和性が超低いです。
真逆といってもいいくらい。
オンラインレッスンには高いモチベーションを必要とされますが、「やらないとペナルティが与えられるから仕方なくやる」っていう行動原理を持った外国人留学生はツラそう。
5 教師側のスキル問題
アナログ志向の日本語教師が多い日本語学校は、この問題は多分クリアできなそう。
っていうか、マークシートのテストを未だに「紙」で行ったり、聴解もスマートスピーカーではなく「CDデッキ」で行ってる日本語学校自体もアナログなんですけどね。
学校全体でオンラインレッスンを行うとなると、こっちのクラスはオンラインやるけどあっちのクラスはしません、ってわけにはいかなくなります。
なので、一部の教師がオンラインレッスンに必要とされるスキルを持っていてもダメなんです。
さらに、普通にICTは使いこなせるけど、オンラインレッスンのスキルは未熟だって先生もいそう。
まあこれは、教師側の問題だけでなく学生側の問題でもあるんですけど。
20歳前後の学生なのに、私よりスマホやPCの使い方を知らなくて驚かされることもありますし。
☆☆☆☆☆☆☆
私は日本語学校から離れているので、今年の4月入学予定者の留学生が現在どういう状況なのかよく分かりませんが、それは置いとくにしても在校生への授業をオンラインへ移行しようとしている日本語学校は結構ありそう。
そのこと自体は私としても賛成です。上記の問題をクリアできれば、の話ですが。
ここでちょっと一言書いておきたいのは、授業ではなくミーティングや講師への研修などであれば、オンラインは有効である可能性は高いです。
まあ現状、東京や大阪では平日も不要不急の外出を控えるように首長が言ってますから、従来のように学校の教室というハコに人を集めて授業を行うっていうのは不可能に近いです。
それに、私はそのような従来型の日本語教育はどこかでパラダイムシフトする必要性も感じています。
なので、今回はネガティブな内容のエントリになりましたが、オンラインレッスンも含めて従来とは異なる授業の形を考えていきたいと思います。
ほな、さいなら!
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また、SNS上では日本語の授業をオンラインで実施しようという声も見かけるようになりました。
ただ、私はオンラインレッスンは日本語学校の授業の代替手段としては向いていないのではないかと考えています。
なので、その理由を書いていきます。
☆☆☆☆☆☆☆
1 学生の持つデバイスの種類
外国人留学生のほとんどはパソコンを持っておらず、スマホだけなんじゃないでしょうか?
そうなると、オンラインレッスンを行うのは非常に難しくなります。
スマホの画面は小さすぎて講師の表情が見にくいです。
しかし、オンラインレッスンというのは双方向なので、顔が見にくいってことが相互コミュニケーションの制限になってしまいます。
また、レッスン中にファイルを開けて閲覧したりするのも、スマホだけだとしんどそう。
デバイスがスマホだけだと、どうしても技術面での制約が多くなってしまいます。
2 デバイスの通信容量
例えば、学生が授業の動画を見る必要が出てきた場合、Wi-Fiのデータ使い放題じゃない場合ギガ不足に陥る可能性が高いです。
私が今まで接してきた外国人留学生で、ギガ使い放題の契約をしていた人はいませんでした。
最近はどうなのか分かりませんが、同じクラスで使い放題の契約をしている学生とそうでない学生に同じ質の授業を担保するのは非常に難しいと言わざるを得ません。
3 そもそも来日のインセンティブが下がる
まあ今は非常事態なので致し方ありませんが、新型コロナウィルスが終息した後もオンラインレッスンを継続するとなると、外国人が日本に留学するインセンティブが下がってしまいます。
オンラインレッスンだったら、わざわざ日本に来なくても自分の国で受講すればいいだけの話です。
まあよっぽど授業以外の来日の目的(例えば日本文化を実際に体験する)などがあれば 別ですが。
私がもしスペインにスペイン語を学びに行って、語学学校の授業が全てオンラインだったらかなりガッカリしそうです。
4 出席率問題
これは、出席率をどう考えるかや出席率の計算の仕方っていうことではありません。
現在、留学生にとっては出席率が非常に重要で、あまりに低い出席率だと進学できなかったり色々な問題が出てきます。
つまり、現在日本語学校に通っている外国人留学生の中には、
純粋に日本語が学びたいわけではなく、出席率を下げないためだけに学校に通っている
って人が少なからずいるわけです。
これは馬の鼻先に人参をぶら下げて走らせるというインセンティブシステムではなく、望ましくない行為を行うとペナルティが科されるという制限系の行動システムってこと。
オンラインレッスンと制限系の行動システムって、親和性が超低いです。
真逆といってもいいくらい。
オンラインレッスンには高いモチベーションを必要とされますが、「やらないとペナルティが与えられるから仕方なくやる」っていう行動原理を持った外国人留学生はツラそう。
5 教師側のスキル問題
アナログ志向の日本語教師が多い日本語学校は、この問題は多分クリアできなそう。
っていうか、マークシートのテストを未だに「紙」で行ったり、聴解もスマートスピーカーではなく「CDデッキ」で行ってる日本語学校自体もアナログなんですけどね。
学校全体でオンラインレッスンを行うとなると、こっちのクラスはオンラインやるけどあっちのクラスはしません、ってわけにはいかなくなります。
なので、一部の教師がオンラインレッスンに必要とされるスキルを持っていてもダメなんです。
さらに、普通にICTは使いこなせるけど、オンラインレッスンのスキルは未熟だって先生もいそう。
まあこれは、教師側の問題だけでなく学生側の問題でもあるんですけど。
20歳前後の学生なのに、私よりスマホやPCの使い方を知らなくて驚かされることもありますし。
☆☆☆☆☆☆☆
私は日本語学校から離れているので、今年の4月入学予定者の留学生が現在どういう状況なのかよく分かりませんが、それは置いとくにしても在校生への授業をオンラインへ移行しようとしている日本語学校は結構ありそう。
そのこと自体は私としても賛成です。上記の問題をクリアできれば、の話ですが。
ここでちょっと一言書いておきたいのは、授業ではなくミーティングや講師への研修などであれば、オンラインは有効である可能性は高いです。
まあ現状、東京や大阪では平日も不要不急の外出を控えるように首長が言ってますから、従来のように学校の教室というハコに人を集めて授業を行うっていうのは不可能に近いです。
それに、私はそのような従来型の日本語教育はどこかでパラダイムシフトする必要性も感じています。
なので、今回はネガティブな内容のエントリになりましたが、オンラインレッスンも含めて従来とは異なる授業の形を考えていきたいと思います。
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