学習障害

2015年11月04日

ディスレクシア(Dyslexia 難読症)の存在を知ってますか?

私がディスレクシアについて知ったのは、確か3年ほど前。

その時は、

「そんな学習障害があるんだ~」

とか

「トム・クルーズってディスレクシアだったんだ~」

っていう程度のユルい認識でした。


で、ディスレクシアが何かっていうと、詳しくは

こちら→ディスレクシア Wikipedia



こちら→人一倍勉強しても成果が出ない『ディスレクシア』とは NAVERまとめ

をご覧下さい。


最近、読解について色々考えることが増え、

読解力の欠如ってやっぱ致命的

もしかしたら、読解力の無さが「ディスレクシア」に起因してる可能性について考え出したんです。

このエントリでも触れてる学生なんですが、もっと詳しく書きます。

日本語教師もそろそろ学習障害について学ぶべき


数年前、私が担当した初級クラスの学生で、今考えるとこの障害を持ってたんじゃないかって思う学生がいました。

その学生は中国人女子で、明るくて授業中も活発な学生でした。

その時は、教科書の課が終わるごとに「まとめテスト」っていうテストを実施して、その課の文法項目が定着したかを確認してました。

で、その学生のテスト結果がいつも非常に悪かった

そんな難しいテストでもないのに、大体3~4割くらいしか取れない・・・

私は最初、「サボってる!」って思っていたので、そういう視点で指導してました。

なので、結構キツいことも言ってました。


教科書の課が進んでいって、動詞の活用形が入ってきていて、授業では口頭練習を中心に練習してました。

で、「動詞テスト」みたいなテストもあり、そのテストは動詞を表す絵が描いてあって、その課で習った活用形を書き込んでいくっていうテストでした。

その学生は、もちろんこのテストでも点が取れない。

で、私が「?」ってなったのが、

・授業中の口頭練習では正確に言えてた動詞の形がテストでは書けてない

っていうこと。

これは何を意味するんだろう?ってずっと考えてました。


担任の先生と話し合った結果、書けるようになるまで(この時は『覚えてないから書けない』って思ってたので)同じテストを繰り返しさせようってことになりました。

なのでそういうことをやってたんですが、その中でさらに「???」ってなったのが、

・1回目のテストで〇だった動詞の形が2回目で✕になってる

っていうこと。

この段階で初めて、「その学生はディスレクシアなんじゃないか?」って考え始めました。


ただ、この障害はアジアよりも英語圏での発現が多く、さらに一応表意文字である漢字を使う中国人で
この障害を患ってたら、かなり日常生活にも支障が出てきそうなもんですが、そういう様子はありませんでした。

なので、私には彼女がはっきりそうだったかははっきり分かりません。

ただ、もしそうだった場合、私は「ちゃんとせなアカンで!」みたいなキツいことを言ってしまってたので、彼女を傷つけた可能性が高いっていうこと。


ネットではこちら ↓ の説明が分かりやすいので、これに則ってちょっと書きます。

ディスレクシアって何?

この中のⅠとⅡに関しては、あまり私が出会ってきた学生には当てはまりません。

ただ、問題はⅢとⅣです。

まず、Ⅲで挙げられてる特徴について。

「飛ばし読み」とか「勝手読み」する学生ってクラスにいませんか?

私が担当したクラスにはいました。

最初は「何でだろう?」って思ってましたが、ディスレクシアの可能性があるってことでしょうか。

あと、促音、拗音、長音が読めないっていうのも、学生の母語との違いによる単純な発音の問題と思ってましたけど、これもディスレクシアの可能性があるってことです。

漢字が読めないっていうのも、今までは「自宅学習をきちんとやってないから、漢字が読めないのは怠惰以外の何物でも無い!」って信じてましたが、もしかしたら違うのかも・・・


Ⅳの特徴を持つ学生はかなりの割合でいるんじゃないでしょうか?

これも、もしかしたら学習障害によるものかもしれないってことなんですね~


私は今色んな「学習障害」についての書籍を読んでるんですが、読めば読むほど教える側がパラダイム
シフトをしないといけないんだなって思うようになってきました。

今までの認識では全然ダメです。


で、色々読んできて私なりに考えたことが、学習障害かどうかを知るための方法として、

「オープンクエスチョンをしたときの反応を見る」

っていうのはどうだろう?っていうものです。

オープンクエスチョンっていうのは「はい/いいえ」や「二者択一」で答える質問ではなく、制約を設けず相手に自由に答えさせる質問です。

つまり、

「あなたの日本語学校は〇〇ですか?」

ではなく、

「あなたの日本語学校はどんな学校ですか?」

っていうような質問。

こういう質問を投げかけた時に、フリーズしてしまったり、全くトンチンカンな答をする学生はもしかしたら学習障害かも、っていうものです。

めっちゃ素人の見解ですけど・・・

もちろん日本語の問題ってこともありますし、その学生がいわゆる「天然」(学習障害の人との線引きってどうなんだろ?)っていうことも考えられますが、ちょっとその可能性も考慮に入れてもいいんじゃないでしょうか?


私は今、この本を読んでます。

これはkindle版です。


紙の書籍はこちら。



それから、こんな本もあります。




私達は語学教育に携わっています。

だから、一般的な「教育者」とは違う側面があります。

でも、教育者である以上こういう知識を知らないと学生を傷つけてる可能性は高くなります。

無知は時として人を傷つけます。


なので、私はディスレクシアも含めて、色々な学習障害についての知識を深めていきたいと考えてます。

また、勉強会でこういう話もできたらいいな~


ほな、さいなら!


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akky_san at 18:55|PermalinkComments(0)

2015年09月06日

日本語教師もそろそろ学習障害について学ぶべき

最近、今ひとつ日本語能力が低く、論理的思考ができない学生を相手にすることが増え、学習障害を持ってるんちゃうか?って思うことが増えてます。


以前、私が実際に担当したクラスにいた、ある学生についてです。

そのクラスは初級で、「日本語初歩」っていう「文型積み上げ」の典型的な教科書を使ってました。

とはいうものの、その文法項目でのタスクや会話練習もきちんと入れ込んでやってました。

で、その時はカリキュラムの中に「まとめテスト」っていうテストがあって、1課終わる度にその課の中の文法がきちんと入っていて、運用できているかっていうことを測ってました。

あと、新しい活用形を教える度に、今まで習った動詞をその形にできるかどうかっていうテストもありました。

その学生は、会話練習などは全く何の問題もなくできていたんですが、テストになると、途端に正答率が3割とか4割になってしまってました。

私達は、最初、覚えるべきことを覚えず、怠けてるんじゃないかと思ってました。

それもちょっとあったとは思うんですが、どうもそれだけでも無さそうでした。

色々状況を観察してたんですが、どうやら紙のテストの時に点数がガクンと下がってるようだって気づいてきました。

で、私の出した結論は、「その学生はディスレクシアではないか」っていうものです。

そのディスレクシアの症状の中でも、その学生に関して言えば、音声と文字が結びつかないっていうことだったのではないかと思います。

でも、私がこれに気づいたのは、そのクラスの担当を終えた後でした。

その学生は、なかなか定期テストにも合格できず、ちょっとクラスのお荷物みたいなことを言われることが多かったため、私も気にかけてずっと見ていた結果、そういう結論にたどり着いたわけです。



また、これは私が直接担当したわけではなく、私が担当していたレベルのクラスの学生のケースは、授業中に急に立ち上がって体をねじったり、急に体中をかきむしったりしてたそうです。

私は間接的に担任の先生から聞いただけだし、専門家でもない素人なので、簡単に判断してはいけないんですが、なんとなく、ADHD(多動のほう)の症状ではないかなって思ってしまいます。



また、最近の学生を見ていて、例えば、読解で問われてることとは全く無関係のことを答えたり、「この文章の要旨は何か?」を読み取ればいいだけなのに、それとは全く違う、超些末なところにこだわってしまってそこから全く前に読み進めなかったり、前後の論理が分からず、めちゃくちゃ論理が飛躍してしまったり、なぜここでこの質問?みたいな質問を、その場の状況を考えずにしてみたり・・・っていうことがよくあります。

また、想像力が欠如していたり、逆に暗記することにはものすごく長けていて、暗記でクリアできるテストはものすごく高得点を取ったりします。

こういう状況を見ていると、もしかしたらその学生もADHDなのかな?って思います。


私達日本語教師は、今まであまりそういう観点で学生を見てきていませんでした。

そのため、またサボってるって思ったり、何でこんなこともできないんだろうってイライラしたりしてました。

でも、彼らがもし本当に学習障害を持っているとしたら、やはり専門家に診断してもらったり、場合によっては治療してもらったりする必要が出てくるんじゃないでしょうか?


ただ、難しいのは、例えば前後の論理に飛躍があるとか、相手の立場に立って考えるのが難しいなどの、いわゆるADHDの症状とされているものが、学習障害によるものなのか、ただ単にそういう教育をされてきてないだけなのか、っていう判断が難しいところです。

だからこそ、専門家に相談できれば一番いいんでしょうけど、ここで1つ問題があります。

それは、「アジアの学生にとって、カウンセリングは身近なものではなく、というより特別な人が受けるものであり、カウンセリングを受けるのは恥ずかしいことだ」っていうような偏見が根強く残っているっていうこと。

欧米では当たり前のことが、アジアではまだ一般的ではないため、学習障害の疑いがある学生にカウンセリングを受けさせることはおろか、カウンセリングっていう言葉を出した時点で、シャットアウトされるおそれもあります。


でも、これは私の主観的な肌感覚ですが、こういう学生は昔に比べて増えてきてるような気がします。

だから、早急に対処する必要があると思います。

でも、前述したようにアジアの学生はカウンセラーに会ったりすることさえ嫌がる場合が多く、そうなると日本語教師がある程度の知識を持っておく必要が出てきます。

恐らく、そこまで高度なことはできないまでも、教師がそういう知識を持っているかいないかで、結構色々違ってきそうな気もします。

私も、恥ずかしながら、ADHDとアスペルガー症候群の明確な違いは分からないレベルです。

なので、私自身もこういうことを学んでいこうと考えてます。


もし、教師が全くこういうことを知らなければ、的外れな対応(ひどい場合は学生を非難してばかり)をしてしまうことになり、学生も教師も消耗してしまうことにもなりかねません。


だから、私は日本語教師もそろそろこういう学習障害について知らなければならない時期にきているんじゃないかなって思うわけです。


ほな、さいなら!


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akky_san at 18:48|PermalinkComments(0)