推薦書

2016年11月10日

推薦書作成のためのアピール・ウィークはわりとうまくいってる

先日、こんなエントリを書きました。 → 日本語が下手な学生の推薦書作成の苦肉の策と新しいアイデア

この中で提案したアピール・ウィークは今週に該当するため、その学生には今週の授業内で日本語能力や勉強に対する真剣さなどをアピールするように月曜日に伝えました。

今回のこの初の試みは、私が思ってたよりもうまいこといってるみたいなので、その学生の様子を曜日ごとに時系列で書いていきます。


☆☆☆☆☆☆☆


月曜日 

さすがに本人からしたら寝耳に水の話だったので、かなりビックリしてたもよう。

この曜日を担当してはる先生は、包容力があるっていうか、包み込むようなどちらかというとお母さん(悪い意味ではなく)のような先生なので、アピール・ウィークの話を私から聞いて、その学生をメインに指名してくれたようです。

その指名もプレッシャーをかけるカンジではなく、その学生に答えるチャンスを与えて、答えられるまで待ってくれてました。

そして、他の学生にも協力してくれるように言ってくださったそうなんですが、なぜかトルコ人男子とベトナム人男子まで張り切ってしまい、彼らも負けずにアピールしてたみたい。

いやいや、キミら関係無いし・・・

特にトルコ人男子は、既に第一志望の大学に合格してるから、そんなんする必要は全く無いんですけどね。

結果としては、その学生はいつものようにコツコツと真面目に授業に取り組んでる様子を見せたってことに、終始してしまいました。


火曜日

この日は、私の授業。

「〇〇さん(その学生の名前)、今日もアピールしてくださいね!」

と授業開始時に言い渡して、授業スタート。

とはいうものの、なかなかアピールできてませんでした。

私も答えられるまで待ったりしたんですが、アピールできるほどの答えではないっていうか、答えの内容は可もなく不可もなくといったカンジ。

まあ、元々大人しい学生でもあるし、国民性としてもベトナム人ってあんまり「自分はこんなスキルがあります!」とかってアピールするのに慣れてないんでしょうけどね。


水曜日

この日は専任の先生担当の授業で、留学試験(EJU)の模擬試験だったので、全くアピールできず。

でもその先生は、「この模擬試験の結果がもしよかったら、その科目を評価できるよね」って言ってくださってたんですが、その模擬試験の結果も捗々しくなかったようです・・・

その先生も「例えば、読解でまあまあの点数だったら、読解力があるって評価ができたのにね・・・」と残念そうでした。


木曜日

今日です。

私はこのアピール・ウィークに関しては、今日ご担当の先生にはお伝えするのを忘れてしまってました・・・

っていうのも、他の学生で願書の締め切りが迫ってるのにまだあんまり準備ができていない学生がいて、その学生のことで色々と連絡してもらうことがあったから。

ま、言い訳ですね。すみません。


で、1コマ目が終わってその先生が教務室に帰って来たんですが、「akky 先生!〇〇さんが、今日はスゴイの!どうしたんだろ?とても積極的に発言してたわ!」とおっしゃってました。

めっちゃビックリしてはりました。

そこで、アピール・ウィークのことを説明すると、「そういうことだったのね!それを聞いたら納得だわ」とのこと。

さらにその学生が、他の学生が分からない語彙について、「それ、先週習ったよね?」と教えてあげてたそうです。

先生は、それにも驚かれていて、「〇〇さんが他の学生に教えてもらうことはあっても、教えてあげるってことは今まで皆無だったでしょ?」って言ってはりました。

また、今日その学生が休み時間に日本人と電話で話してて、ちゃんと意思疎通ができてた上に、自分の要求もちゃんと伝えていたそうです。

その先生にとっては、今日の〇〇さんの変化は青天の霹靂だったようです。

「別人じゃないかと思ったわ」ともおっしゃってました。


☆☆☆☆☆☆☆


そうはいっても、その学生にはまだまだ足りないところ、できないことがたくさんあるんですが、短期的にそんなに変化があるなんて思ってもみませんでした。

その変化を期待はしてたんですが、私が期待するほど変わらないかもな~って思っていたところなので、これは私にとって嬉しい誤算です。

実はその推薦書は今日書いてしまったんですが、それは言わずに明日もこの流れでいこうと思います。

因みにその推薦書には、


・授業中は真剣にコツコツ取り組んでいる

・ノートもきちんととっていて、習ったことを表出しようとする

・宿題は必ず期日までに提出する

・発音にベトナム人特有のクセが無く、聞きやすい

といったことを書きました。

それにプラスして、アピール・ウィークでアピールできたことを追加で書きました。


アピール・ウィーク終了って言わなければ、この勢いに乗ることができ、それが自信につながって、もしかしたら日本語能力も向上するかもしれませんし。


私はちょっと欲張りすぎてるかもしれませんね。


でも、マジでそうなったらイイな~


ほな、さいなら!


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akky_san at 20:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2016年11月06日

日本語が下手な学生の推薦書作成の苦肉の策と新しいアイデア

関西では私立大学の受験が本格化してきてます。

大学によっては、「推薦書」が必要になる場合があります。

推薦書っていうのは、主にその学生の日本語能力がどの程度であるかっていうことについて説明するもので、能力以外にも勉強に対する姿勢や授業態度などに言及することもあります。

大学によっては、受験資格として日本語能力試験(JLPT)N2合格以上を条件に指定している大学があり、もし受験のタイミングでN2に合格していない学生の場合、N2と同等の能力を証明するために求められたりもします。

形式も大学によって違うのですが、大体の場合、技能別、例えば会話、聴解、読解、作文などの能力と、総合的な日本語レベルがどのくらいかっていうのを、「優・良・可」などの指標のどれに該当するか、また、担当教師から見た学生に対する所見を書く場合が多いです。

私も以前上級のレベル担当をしていた時に、上級レベルの学生の推薦書を何枚も書きました。

私が直接教えていない学生のものも書かなければならなかったため、担当の先生に聞き取りを行ったり、その学校は定期テストの度に学習状況報告書っていうものを全教師が書いていたため、それを参考にしたりしました。


でもね~どう贔屓目に見ても、どないもこないも書きようがない学生っているんですよね・・・

そういう学生、これ読んでる先生の学校にもいませんか?

そういう場合、どうしてますか?

私が今までやってきた苦肉の策と、これからやろうと思っている新しいアイデアについて書こうと思います。


☆☆☆☆☆☆☆


今までやってきたことは、


針小棒大の誇張


です。

ザックリ書くと、ちょっとでも良い部分があると、それをあたかも非常に価値があるもののように誇張して書きます。

また、誇張とはいかないまでも、ちょっとでも良い部分を目を皿のようにして探し出して、それを書きます。

例えば発音だと母音と子音に分けて考え、どっちかができてなくてもできているほうにフォーカスをして書いたり、作文だと正確さと内容に分けて、これも同様にできているほうについてどのようにできているかを書き、片方はスルーしたりします。

その場合、ホンマはそこまでできてなくても誇張して書いたりしてました。

また、授業態度に関しては、特に私語やスマホの乱用などが無ければ「概ね良好」と表現し、そのうえで質問や発話をよくする学生であれば、「積極性がある」といったように書いたりします。


で、これ以外にも特に取り柄が無い学生の推薦書を書く方策があります。

それは、


捏造


です。

私は、これはやったことはありません。

っていうか、そういう方面の才能がないので、「できない」っていうほうが正確かも。

それに私は小心者なので、良心の呵責に耐えられなくなりそうです・・・

ただこういうケースは、大学の入試担当の懇意にさせていただいてる方と話すと、少なからずあるということです。

実際の学生の様子と推薦書が、全然ちゃうやん!っていうね。


で、誇張や捏造だと色々無理が出てくるので、何かいい方法は無いかな~って考えていたところ、イイこと思いつきました。

それは、


アピール・ウィークを設ける


ってこと。

どういうことかというと、その学生に「今週はあなたにとってのアピール・ウィークです。つまり、授業内で自分の日本語能力とか勉強に対する真摯な姿勢を、できるだけ教師にアピールしなさい!」って指示し、それをその週の中でその学生にやってもらうってこと。

一応「ウィーク」っていうことにしてますが、この期間はこれより長くても短くてもイイと思います。

まあでも、1週間くらいが妥当な長さではないかな、と。

取り柄が無い(と教師が思う)学生って、授業では消極的であるからこちらに良さが伝わってこないことが多いので、それをちょっとでも解消できればと思って、このアイデアを考えました。

正直、効果はどれくらいあるか未知数です。

もちろん、全く効果が無いということも十分考えられます。

特に「謙虚であることが美徳である」というアジアの国出身の学生にとっては、自己アピールは難しいでしょうしね・・・

でも、こういうふうに学生に伝えれば、少なくともそれまでの学生の意識に多少なりとも影響は与えられます。

それから、これをうまくいかせようとすると、「教師とその学生」、「教師とその他の学生」、「その学生とその他の学生」の関係が希薄すぎると成功の見込みは少ないです。

が、私が今文法を担当しているクラスなどでは、どの関係も比較的良好で、あわよくばその他の学生も協力的になってくれて、その学生に教師からの問いに答えるチャンスを譲ってくれるかもしれません。

あくまで希望的観測ですが・・・

実は、今回そのクラスの中で推薦書を必要とする学生がいます。


ホンマにどうなるかは分かりませんが、既に教務の先生からOKももらっていることもあり、明日の月曜日からちょっとやってみて様子を見てみようと思ってます。

少なくとも、誇張や捏造よりは無理もないし、ちょっとでもポジティブな方向で学生に刺激を与えられたらイイなって思います。


結果は、また報告します。


ほな、さいなら!


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akky_san at 19:50|PermalinkComments(0)TrackBack(0)