教育

2018年11月11日

国際バカロレアフォーラム@大阪YMCA土佐堀校に行ってきた

YMCAといえば、世界最大の NPO 法人で、大阪にもいたるところにあります。

その中で日本語教育を行っているのは、天王寺校とこの土佐堀校です。

今回は、まだ今のところは日本語教育には関係してこないのですが、興味があったので国際バカロレアフォーラムに参加しました。


最初は「人少ないかな?」って思ってたんですが、私が開始時間と開場時間を間違えていたため、私が早く着きすぎただけでした。

国際バカロレアフォーラムin大阪


このフォーラムは2階のホールで行われ、ざっと見渡した感じでは200人強くらいいたように感じました。 


国際バカロレアって、聞いたことある人いますかね?

これは、スイスのジュネーブに拠点を置いている国際バカロレア機構が提供する、国際的な教育プログラムのことです。

で、なぜ大阪で、しかもYMCAでこのフォーラムが開かれたかというと、来年度に大阪市と大阪YMCAが全国初の公設民営という形で、「大阪市立水都国際中学校」と「大阪市立水都国際高等学校」の運営を始めるから。


すみません、それらの学校のパンフレットの一部を載せようと思ったんですけど、PCのOSを更新したらスキャンできなくなっちゃいました・・・


なので、パンフレットとは違う内容なんですが、スライドの画像を載っけていきます。

まずはこちら。

国際バカロレアフォーラム スライド1


学習者像ですね。

こういう人材を作り出したいってことですかね。


で、ここからはしばらく坪谷ニュウエル郁子さんの講演になります。

国際バカロレアフォーラム 坪谷さん1


国際バカロレアフォーラム 坪谷さん2


坪谷さんは、私が先日紹介した英語の多動力(→久しぶりにスペイン語の勉強を再開しようと思った 堀江貴文著「英語の多動力」)の中にも登場してらっしゃいます。

先生のご説明によると、中国の国際バカロレア導入の勢いが凄まじいそうです。


次に、こちら。

国際バカロレアフォーラム 多言語主義


来ました!多言語主義。

私は、多言語主義という考えは理解できます。

この辺り、日本語教師の方は興味を持ちそうなテーマです。


で、第1部が終了し、そこまでの内容をグラフィックレコーディングでまとめられてました。

国際バカロレアフォーラム グラフィックレコーディング1


私、生のグラフィックレコーディングって、見るの初めてです。


10分の休憩を挟み、第2部へ。


で、第2部ではこのプログラムを実践している先生方からのご説明。


国際バカロレアフォーラム2


この辺りは、理念的なところですね。


私が、「その視点は無かった!」って思ったのが、次の部分。

IMG_9475


「知ること」とはどういうことなのか?

例えば、「私がAを知っている」というのには、どういうプロセスを経てそうなったのか?

といったような視点です。


そんなこと、考えたこともありませんでした。

以下、色々貼っていきます。

国際バカロレアフォーラム3

国際バカロレアフォーラム4


この ↑ のスライドは、日本語教師の最も関心が高いものでは? 

見にくくてスミマセン・・・


第3部の太田先生の講演。

IMG_4144


IMG_9621


IMG_7216


私、今回のフォーラムでバランスがいいなと思ったのが、この太田先生のパート。

国際バカロレアを、しっかりクリティカルに捉えているから。


こういうフォーラムって、ともするとそれを礼賛する立場の人ばっかりが説明したりして、ちょい信仰っぽいなって感じることがあったりします。

でも、そうではなく、 国際バカロレアはあくまでも数ある教育プログラムの中の1つだよ、っていうことを強調してました。


一部の日本語教師の方は、「正解は1つしか存在せず、Aが正解でないのならばBしか正解は無い」的な二元論に陥っている人がいて(→日本語教師は二元論がお好き?)、それってどうなの?って私は思います。

この国際バカロレアでかなり強調されていたのが、「多様性を認める」ってこと。

例えば、知の理論の中に「多様性を認識し、国際理解を深めて偏見や偏狭な考え方を正す」とあります。

1つのものしか認められない人って、多様性を認められない人です。


☆☆☆☆☆☆☆


で、ここからは私が感じたことを書いていきます。


1 教師は自分が受けて来た教育のアプローチに縛られるっていうのは多分嘘


これ、私はずーっと疑問に感じてました。

教師は、自分が生徒であったり学生であった時の教育アプローチしかできず、その枠を出られないっていう言説を見聞きしたりするんですが、私自身が今行なっている教授法は私が受けていた授業とは全く異なることです。

そういうご意見は、「思考停止してる教師は」ってことでしか無いなと。


今回のフォーラムで、国際バカロレアの授業を受けたことがない先生も、その授業を提供できることを強調されてました。

思考停止しておらず、色々な情報を収集しその情報を元にPDCAを回していける教師であれば、そういう風にはなりませんよね。


2 日本の教育ダメ論は、欧米の教育への憧憬とそのギャップから来る劣等感とセットになってる


これも、私はよく感じます。

日本語教育でも、欧米でこれが流行ってるとなると、無批判にそのアプローチを採用するというイメージがあります。

(厳密にはヨーロッパとアメリカでは教育事情が異なりますが、便宜上「欧米」とします。)

ピアラーニングが流行ってるとなれば日本語教育でもピアラーニングを。

反転授業が良いらしいと聞くと反転授業を、って感じで。


ところが、第3部の太田さんの講演の中で、ヨーロッパの人の中には日本の教育を高く評価してる人もいるってことが話されていました。

そう聞くと、日本の教育ダメ論者はどんな反応するんだろう?

確かに日本の教育には改善すべき点が多々ありますが、それだけでダメって決めつけるのも早計なのでは?


3 国際バカロレアを採用する世界と日本の学校が増えれば、マーケットが拡大する


坪谷先生のパートの、2枚目の画像に各国の国際バカロレアを採用している学校数が出ています。

今後、世界規模で採用している学校が増えると、それを採用している日本の学校はそのマーケットに参入することを意味します。

かなりおいしくないですか?

それまでは、「ただの日本の学校」というだけで世界の教育マーケットとは無縁だった学校も、国際バカロレアを採用すればそのマーケットに入ることができるんですよね。

世界の子どもたちに、選ばれる可能性が高くなります。


日本で少子化がガンガン進んでも、生き残れる可能性が出て来ています。


そして、最後のグラフィックレコーディングがこちら。

国際バカロレアフォーラム グラフィックレコーディング2

国際バカロレアフォーラム グラフィックレコーディング3


今日は色々勉強になりました。

このフォーラムでは、「国際バカロレアとは何か?」といった基本的な部分さえ理解できてない私のような参加者も想定されていて、その結果「国際バカロレアの定義」、「国際バカロレアで重視しているポイント」などの基本的であり抽象度がやや高い部分の説明が多くなったため、「なるほど!そういうものなのか!」っていう感じではなくなんとなくフワッと理解するに私はとどまりました。


まあでも、これからゆるゆる理解していけたらいいな、と考えています。


ほな、さいなら!


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akky_san at 19:02|PermalinkComments(0)