経験が浅い先生
2019年06月14日
経験が浅い先生が知っておいたほうがいい思考と行動 学習者の理解確認編
私なんかもよくやっちゃうんですが、学習者が理解してるかどうか確認したくてしてしまう「分かりましたか?」っていう質問。
これ、確実に学習者は分かってなくても「はい、分かりました。」って言います。
学習者によっては、条件反射的にそう答える人も。
というわけで、今回のエントリは「分かりましたか?」ではない学習者がその日本語を理解できたかどうかについてです。
☆☆☆☆☆☆☆
端的に書くと、
いかに学習者に話させるか
に尽きます。
具体的に書いていきます。
1 質問する
これ、基本ですね。
ただ、「質問する」と一言で言っても色んなバリエーションがあります。
私がよくする質問としては、例えば理由の「〜から」と「〜ので」だったら
・「先生のご説明がよく分からないから、もう一度説明していただけませんか。」っていう文はいいですか?ダメですか?(クローズドクエスチョン)
・「〜から」ではできる使い方で、「〜ので」ではできない使い方は何?(オープンクエスチョン)
などです。
この時に、「はい/いいえ」や「モノや数字」などで答えられる「クローズドクエスチョン」から質問していったほうがいい。
で、上記の前者の例で書くと、私が提示した文ってダメなので、おそらく学習者は「ダメです。」って答えるはず。
そうなると、「じゃーどうしてダメなんですか?」と深堀していき、理解を促します。
後者はちょっと難しいかもしれなくて、この違いを教えていない日本語教師もいそうかなと思わなくもないです。
それから、
・自然なディスコース(談話)を導くためのQをふる
というのもアリです。
「〜から」を教えた時に「◯◯さん(学習者の名前)、今日は元気ですか?」って聞いてみるとか。
おそらく◯◯さんは「〜から、元気です/元気ではありません。」と、理由付きで答えてくれると思うから。
とにかく、「分かりましたか?」ではない質問をしましょう。
2 文を作らせる
私が今までに初級クラスで理由の「〜ので」や「〜から」を教えた時にした無茶ブリで、
・理由の「〜て(歯が痛くて眠れません。とか)」、「〜ので」、「〜から」を全部使って1つの文を作って
っていうのがあります。
当時私が教えていたクラスは優秀な学習者が多かったので、個人に当ててもなんとか文をひねり出していましたが、それが難しいクラスであればこういう無茶ブリをグループワークでさせてもいいかも。
まあいきなりここまで高度な文でなくても、
・本当は前日に飲みすぎて寝坊しただけなんだけなんだけど、遅刻の理由を課長に説明して謝る
といったように状況を設定するのが一般的ではないかと。
これが難しければもうちょっと答えやすい状況を設定すればいいと思うんですが、私の場合は「ちょっとハードルを高めに設定し、学習者にチャレンジしてもらう」のが好きなので、こういう状況設定にしたりします。
そのほうが、学習者の取り組みがよくなったりするので。
あと、今まで教える立場のみで考えてあまり好きではなかったんですが、最近スペイン語学習をしていく上で有効かもと思ってきたのが、
・その文法で何でもいいから自由に文を作らせる
です。
これ何がいいかというと、制限が全くないので学習者が0ベースで考えなければならず、思考量が増えること、です。
また、その時に「この単語が必要!」っていうシチュエーションになるため、語彙を思い出す頻度も多くなるというメリットも。
ちょっとクラスの一斉授業では時間がかかるから難しいかもしれませんが、少人数であればこういうふうに文を作らせることもできます。
☆☆☆☆☆☆☆
授業内で学習者の理解を確認するには、上記のようなことが有効です。
ただ、それと「その理解がずっと持続する」こととはまた別なので、そっちに関しては宿題やテスト、作文などで確認ということになります。
読者の方でこれらについて書いて欲しい的なリクエストがあれば、それをお伝えいただければ書こうと思ってます。
まあでも、そういうリクエストがなくても書くかもしれませんが。
ほな、さいなら!
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これ、確実に学習者は分かってなくても「はい、分かりました。」って言います。
学習者によっては、条件反射的にそう答える人も。
というわけで、今回のエントリは「分かりましたか?」ではない学習者がその日本語を理解できたかどうかについてです。
☆☆☆☆☆☆☆
端的に書くと、
いかに学習者に話させるか
に尽きます。
具体的に書いていきます。
1 質問する
これ、基本ですね。
ただ、「質問する」と一言で言っても色んなバリエーションがあります。
私がよくする質問としては、例えば理由の「〜から」と「〜ので」だったら
・「先生のご説明がよく分からないから、もう一度説明していただけませんか。」っていう文はいいですか?ダメですか?(クローズドクエスチョン)
・「〜から」ではできる使い方で、「〜ので」ではできない使い方は何?(オープンクエスチョン)
などです。
この時に、「はい/いいえ」や「モノや数字」などで答えられる「クローズドクエスチョン」から質問していったほうがいい。
で、上記の前者の例で書くと、私が提示した文ってダメなので、おそらく学習者は「ダメです。」って答えるはず。
そうなると、「じゃーどうしてダメなんですか?」と深堀していき、理解を促します。
後者はちょっと難しいかもしれなくて、この違いを教えていない日本語教師もいそうかなと思わなくもないです。
それから、
・自然なディスコース(談話)を導くためのQをふる
というのもアリです。
「〜から」を教えた時に「◯◯さん(学習者の名前)、今日は元気ですか?」って聞いてみるとか。
おそらく◯◯さんは「〜から、元気です/元気ではありません。」と、理由付きで答えてくれると思うから。
とにかく、「分かりましたか?」ではない質問をしましょう。
2 文を作らせる
私が今までに初級クラスで理由の「〜ので」や「〜から」を教えた時にした無茶ブリで、
・理由の「〜て(歯が痛くて眠れません。とか)」、「〜ので」、「〜から」を全部使って1つの文を作って
っていうのがあります。
当時私が教えていたクラスは優秀な学習者が多かったので、個人に当ててもなんとか文をひねり出していましたが、それが難しいクラスであればこういう無茶ブリをグループワークでさせてもいいかも。
まあいきなりここまで高度な文でなくても、
・本当は前日に飲みすぎて寝坊しただけなんだけなんだけど、遅刻の理由を課長に説明して謝る
といったように状況を設定するのが一般的ではないかと。
これが難しければもうちょっと答えやすい状況を設定すればいいと思うんですが、私の場合は「ちょっとハードルを高めに設定し、学習者にチャレンジしてもらう」のが好きなので、こういう状況設定にしたりします。
そのほうが、学習者の取り組みがよくなったりするので。
あと、今まで教える立場のみで考えてあまり好きではなかったんですが、最近スペイン語学習をしていく上で有効かもと思ってきたのが、
・その文法で何でもいいから自由に文を作らせる
です。
これ何がいいかというと、制限が全くないので学習者が0ベースで考えなければならず、思考量が増えること、です。
また、その時に「この単語が必要!」っていうシチュエーションになるため、語彙を思い出す頻度も多くなるというメリットも。
ちょっとクラスの一斉授業では時間がかかるから難しいかもしれませんが、少人数であればこういうふうに文を作らせることもできます。
☆☆☆☆☆☆☆
授業内で学習者の理解を確認するには、上記のようなことが有効です。
ただ、それと「その理解がずっと持続する」こととはまた別なので、そっちに関しては宿題やテスト、作文などで確認ということになります。
読者の方でこれらについて書いて欲しい的なリクエストがあれば、それをお伝えいただければ書こうと思ってます。
まあでも、そういうリクエストがなくても書くかもしれませんが。
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akky_san at 20:00|Permalink│Comments(0)
2019年06月11日
経験が浅い先生が知っておいたほうがいい思考と行動 授業直前の心構え編
前々回のエントリで「説明編」を書いたので今回は授業内の説明以外の部分を書こうと思ったんですが、それを書くにはその前段階として授業直前の心構えについて書く必要があると思ったので、前後しますが今日は「心構え編」です。
この一連のエントリを書くきっかけをくださった先生のメールにはこれについて特に言及はなかったのですが、私が今まで日本語学校や勉強会で模擬授業を見せてもらった時にしばしば感じていたことなので、書いてみたいと思います。
授業が上手くいかない要因は多種多様ですが、学習者でなく教師側に何らかの問題がある場合にその根底にあるのが、
教師に精神的な余裕が無い
ってこと。
このことが、様々な問題の根本にあることが多いと私は考えます。
というわけで、このことのコインの裏返しは、
教師に精神的な余裕がある
状態であれば、より良い授業が展開できるということなんです。
とはいうものの、コインの裏返しを考えても具体的な解決案は出てこないので、今まで色々な先生の授業を見てきた立場で考えてみます。
1 その授業は誰のためのものなのかを意識する
今さら何?って思いました?
もちろん「学習者のため」ですもんね?
でも、授業直前にこれを意識してる日本語教師ってどれくらいいるんだろう、とも思います。
私が拝見した経験が浅い先生の授業では、教師側が説明でいっぱいいっぱいになりすぎて学生が全く見えていない、というケースが多かった。
まあ確かに私も日本語教師になりたての時はそうだったし、経験が浅い先生に「明日から授業に余裕を持って臨みなさい」と言いたいわけではありません。
最初は仕方ないかもしれませんがそれを意図的に意識することによって、ある程度経験を積み重ねてくるとその効果が出てくるからです。
同じくらいのキャリアの2人の先生でも、授業中に余裕がある先生とそうじゃ無い先生がいるというのを今までたくさん見てきたので、そういう結論に至ったわけです。
例えば、こんなふうに考えてみたらどうでしょう?
・自分が準備してきた説明をすることにいっぱいいっぱい = 自分の説明を終わらせることが第一義 = 自分の都合を優先した授業
・学生の様子を見ながら臨機応変に説明の仕方や内容を変えられる = 学生の理解が第一義 = 学生の都合を優先した授業
手厳しい書き方かもしれませんが、結局そういうことだと思うんです。
私も最初は、初めての学校の採用試験の模擬授業に学生役で入ってくださった先生が、私の日本語教師としての人生初の授業のオブザーブに入られ、そのフィードバックの時に言われたことが今でも鮮明に思い出されます。
それは、「教室のどこどこに座ってた学生が、小さい声で疑問を口にしてたの聞こえました?」です。
私、全く聞こえておらず、そのフィードバックによって自分にどれほど余裕がなく学生が見えてなかったのかに気付かされ、それ以来学生の様子に氣を配るようになりました。
日本語教師として早い段階で非常に有益なフィードバックを得ることができ、本当に良かったと思います。
なので、その時に得たことをこのブログに書いているというわけ。
とりあえず、授業の直前に「その授業は誰のためのものなのか?」を考え、欲を言えば「じゃー何がどうなったらOKなのか?」も合わせて考えられるとなお良いです。
意識するだけなら明日からでもできますし。
2 目標を低く設定する
授業準備に時間がかかりすぎる先生や授業中にいっぱいいっぱいの先生は、おそらく授業の目標が高すぎるんだと思います。
自分の想定する授業の理想が高いんじゃないかと。
それで、準備段階で細部で考えすぎて時間がかかったり、授業中であれば全ての学生が完全に理解できたと思うまで説明を続けたりするんじゃないかと思うんです。
暴論かもしれませんが、私の経験上、100%と思うくらいまで考え抜いて準備した授業と、70%〜80%の完成度の準備で臨んだ授業と、クオリティ的にはほぼ同じです。
だったら、最初から100%っていう高い目標を目指さなくてもいいんじゃないですかね?
私としては、全ての日本語教師が「授業は計画通りには進まない」ってことを受け入れたほうがいいんじゃないかと思ってます。
想定外のとんでもない質問も飛んでくるし、想定外のものすごく興味深い発想の例文を作ってくれたりもするし、そうなると授業の流れを変える必要が出てきたりもします。
特に最近のこちらのエントリ(→経験が浅い先生が知っておいたほうがいい思考と行動 準備編【その2】)の2のように、ゴールから逆算せず闇雲に授業準備を始めてしまうと、考えなくてもいいことやそこは考えても学生の日本語理解には無関係なところまで深掘りしてしまい、時間が無駄になってしまいます。
それと、私は日本語の授業は教師と学習者双方で作っていくものだと考えていて、そのことは日本語の授業は教師が100%準備するようなものではない、ってところに繋がっています。
そもそも私がこう思うようになったのは、日本語教師としてのキャリアの早い段階で、当時私がいたベテランばっかり(→「ベテラン教師」と「ただ長く教えてるだけの教師」の違い)の学校のしかもその中でも2トップの先生(→私にとって雲の上の存在の、その学校の2トップのベテラン教師の共通点)の存在が大きいです。
2トップのお一人は、当時ペーペーだった私たちの研修を担当してくださり、もうお一人は私が専任になり初級レベル全体を担当した時に初級に非常勤としていらっしゃり、コミュニケーションすればするほど「私がいくら日本語教師の経験を積んでも、このお二人の足元にも及ばないだろうな」と感じずにはいられなくなりました。
実際に私が担当する前にそのお一人の先生に教えてもらっていた学生に、私が担当している時に「akky先生は、まだまだ(その先生と比べて)レベルが低いですね。」って言われましたもん。
それが確か、5〜6年前。
自分では成長していたつもりでも、まあまあ最近学生からはそういう評価をされていたわけなので、かなり早い段階でその先生がたほどの高みを目指すのをやめてしまって正解だったのかなと。
そもそも私には、自分の理想の授業って無いんですよね。
今までは、目の前の学生の資質や素養、趣味嗜好と、私が提供できるもの、さらに授業時間やテキストなどの制限や条件を考え併せた上で考えていたのがその学生たちに最適化される授業は何か、ってこと。
それは決して、理想の授業ではありませんでした。
こう考えてくると、あまり高い目標を設定せずに身の丈に合った授業を模索すれば、そこまで精神的にギリギリにならずに済みます。
ただしこれは、怠けてくださいとかテキトーに授業をしましょうってことではありません。
自分が提供できるレベルがどれくらいのものなのかをできるだけ俯瞰して判断し、その範囲内でできることを模索していったほうがいいんじゃないですか?っていうご提案。
そして、できるようになったことが増えていけば、その時初めてさらに一歩上のレベルを目指していけばいいんじゃないの、ってことでもあります。
最初から高い目標だとしんどいので、それだったら目標を下げたほうが合理的だよねということが分かってもらえればいいな、と思います。
☆☆☆☆☆☆☆
そして、今日のエントリの内容が、授業運営編への布石になるんじゃないかと考えています。
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この一連のエントリを書くきっかけをくださった先生のメールにはこれについて特に言及はなかったのですが、私が今まで日本語学校や勉強会で模擬授業を見せてもらった時にしばしば感じていたことなので、書いてみたいと思います。
授業が上手くいかない要因は多種多様ですが、学習者でなく教師側に何らかの問題がある場合にその根底にあるのが、
教師に精神的な余裕が無い
ってこと。
このことが、様々な問題の根本にあることが多いと私は考えます。
というわけで、このことのコインの裏返しは、
教師に精神的な余裕がある
状態であれば、より良い授業が展開できるということなんです。
とはいうものの、コインの裏返しを考えても具体的な解決案は出てこないので、今まで色々な先生の授業を見てきた立場で考えてみます。
1 その授業は誰のためのものなのかを意識する
今さら何?って思いました?
もちろん「学習者のため」ですもんね?
でも、授業直前にこれを意識してる日本語教師ってどれくらいいるんだろう、とも思います。
私が拝見した経験が浅い先生の授業では、教師側が説明でいっぱいいっぱいになりすぎて学生が全く見えていない、というケースが多かった。
まあ確かに私も日本語教師になりたての時はそうだったし、経験が浅い先生に「明日から授業に余裕を持って臨みなさい」と言いたいわけではありません。
最初は仕方ないかもしれませんがそれを意図的に意識することによって、ある程度経験を積み重ねてくるとその効果が出てくるからです。
同じくらいのキャリアの2人の先生でも、授業中に余裕がある先生とそうじゃ無い先生がいるというのを今までたくさん見てきたので、そういう結論に至ったわけです。
例えば、こんなふうに考えてみたらどうでしょう?
・自分が準備してきた説明をすることにいっぱいいっぱい = 自分の説明を終わらせることが第一義 = 自分の都合を優先した授業
・学生の様子を見ながら臨機応変に説明の仕方や内容を変えられる = 学生の理解が第一義 = 学生の都合を優先した授業
手厳しい書き方かもしれませんが、結局そういうことだと思うんです。
私も最初は、初めての学校の採用試験の模擬授業に学生役で入ってくださった先生が、私の日本語教師としての人生初の授業のオブザーブに入られ、そのフィードバックの時に言われたことが今でも鮮明に思い出されます。
それは、「教室のどこどこに座ってた学生が、小さい声で疑問を口にしてたの聞こえました?」です。
私、全く聞こえておらず、そのフィードバックによって自分にどれほど余裕がなく学生が見えてなかったのかに気付かされ、それ以来学生の様子に氣を配るようになりました。
日本語教師として早い段階で非常に有益なフィードバックを得ることができ、本当に良かったと思います。
なので、その時に得たことをこのブログに書いているというわけ。
とりあえず、授業の直前に「その授業は誰のためのものなのか?」を考え、欲を言えば「じゃー何がどうなったらOKなのか?」も合わせて考えられるとなお良いです。
意識するだけなら明日からでもできますし。
2 目標を低く設定する
授業準備に時間がかかりすぎる先生や授業中にいっぱいいっぱいの先生は、おそらく授業の目標が高すぎるんだと思います。
自分の想定する授業の理想が高いんじゃないかと。
それで、準備段階で細部で考えすぎて時間がかかったり、授業中であれば全ての学生が完全に理解できたと思うまで説明を続けたりするんじゃないかと思うんです。
暴論かもしれませんが、私の経験上、100%と思うくらいまで考え抜いて準備した授業と、70%〜80%の完成度の準備で臨んだ授業と、クオリティ的にはほぼ同じです。
だったら、最初から100%っていう高い目標を目指さなくてもいいんじゃないですかね?
私としては、全ての日本語教師が「授業は計画通りには進まない」ってことを受け入れたほうがいいんじゃないかと思ってます。
想定外のとんでもない質問も飛んでくるし、想定外のものすごく興味深い発想の例文を作ってくれたりもするし、そうなると授業の流れを変える必要が出てきたりもします。
特に最近のこちらのエントリ(→経験が浅い先生が知っておいたほうがいい思考と行動 準備編【その2】)の2のように、ゴールから逆算せず闇雲に授業準備を始めてしまうと、考えなくてもいいことやそこは考えても学生の日本語理解には無関係なところまで深掘りしてしまい、時間が無駄になってしまいます。
それと、私は日本語の授業は教師と学習者双方で作っていくものだと考えていて、そのことは日本語の授業は教師が100%準備するようなものではない、ってところに繋がっています。
そもそも私がこう思うようになったのは、日本語教師としてのキャリアの早い段階で、当時私がいたベテランばっかり(→「ベテラン教師」と「ただ長く教えてるだけの教師」の違い)の学校のしかもその中でも2トップの先生(→私にとって雲の上の存在の、その学校の2トップのベテラン教師の共通点)の存在が大きいです。
2トップのお一人は、当時ペーペーだった私たちの研修を担当してくださり、もうお一人は私が専任になり初級レベル全体を担当した時に初級に非常勤としていらっしゃり、コミュニケーションすればするほど「私がいくら日本語教師の経験を積んでも、このお二人の足元にも及ばないだろうな」と感じずにはいられなくなりました。
実際に私が担当する前にそのお一人の先生に教えてもらっていた学生に、私が担当している時に「akky先生は、まだまだ(その先生と比べて)レベルが低いですね。」って言われましたもん。
それが確か、5〜6年前。
自分では成長していたつもりでも、まあまあ最近学生からはそういう評価をされていたわけなので、かなり早い段階でその先生がたほどの高みを目指すのをやめてしまって正解だったのかなと。
そもそも私には、自分の理想の授業って無いんですよね。
今までは、目の前の学生の資質や素養、趣味嗜好と、私が提供できるもの、さらに授業時間やテキストなどの制限や条件を考え併せた上で考えていたのがその学生たちに最適化される授業は何か、ってこと。
それは決して、理想の授業ではありませんでした。
こう考えてくると、あまり高い目標を設定せずに身の丈に合った授業を模索すれば、そこまで精神的にギリギリにならずに済みます。
ただしこれは、怠けてくださいとかテキトーに授業をしましょうってことではありません。
自分が提供できるレベルがどれくらいのものなのかをできるだけ俯瞰して判断し、その範囲内でできることを模索していったほうがいいんじゃないですか?っていうご提案。
そして、できるようになったことが増えていけば、その時初めてさらに一歩上のレベルを目指していけばいいんじゃないの、ってことでもあります。
最初から高い目標だとしんどいので、それだったら目標を下げたほうが合理的だよねということが分かってもらえればいいな、と思います。
☆☆☆☆☆☆☆
そして、今日のエントリの内容が、授業運営編への布石になるんじゃないかと考えています。
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akky_san at 22:01|Permalink│Comments(0)
2019年06月07日
経験が浅い先生が知っておいたほうがいい思考と行動 説明編
当初は「説明編」ではなく「準備編」にしようと思っていたのですが、それだとあれもこれも盛り込まなくてはならなくなりそうなので、分けて考えた結果「説明編」ということにしました。
☆☆☆☆☆☆☆
私が日本語教師になって1ヶ月か2ヶ月後くらいのタイミングで、当時の1級文型の教え方が全く分からず上級のレベル担当専任講師に聞きに行ったところ、「そんな大層なことじゃない、ってことですよね?」って言われました。
当時の私はそれを聞き、「それをどう伝えるかを教えてくれればいいのに・・・」などと思っちゃってました。
今ならそういう甘いことは考えないのですが、現在経験が浅い先生でそう思う方もいてもしょうがないとも思います。
最近だと、そういうふうに答えてくれる専任講師もいそうにないし。
ここ最近の一連のエントリを書くことになったきっかけを与えてくれたメールの主さんも、先日のこちらのエントリ(→日本語教師になりたての方や経験が浅い先生がやっておいたほうがいいコトとポイント まずは準備編)の中の「3 練習は3パターンくらい考えておく」の例で挙げた「法律」や「規範」という言葉をまんま授業で使うというような理解をしているように思います。
経験が浅い先生は、こういう部分も難しく考えるってことを私が失念して記事を書いちゃったんですよね。
なので、どうするかという私なりのアイデアをご提供。
1 噛み砕いて説明する
日本人などのアジア人は、「言葉を噛み砕いて説明するスキル」が少し足りないと感じることが多いです。
それは、私たちが外国語を学んでいる時も顕著で、ある単語が思い出せない時は他のわかる言葉で言い換えようとせず、固まっちゃうことがよくありますがそれも噛み砕くって発想がないから。
例えば、この記事を読んでいる経験が浅い先生も長い先生も「規範」をどう初級の学生に分かるように噛み砕けるか、考えてみたらどうでしょうか?
多分「法律」や「ルール」との違いから考えると、見えてくるものがあるように思います。
それと気をつけないといけないのが、日本語教師の中には「言葉を噛み砕く」を「辞書の意味通りに説明する」と思ってるケースがあるってこと。
私も日本語教師になりたての時に語彙の授業を担当していて、辞書に書いてあったことをそのまんま語彙の授業の準備としていたことがあります。
でもある時気付いたんです。
辞書の意味を言うだけなら私が説明する必要はなく、学習者が家で辞書を引けばいいだけだ、ということに。
なので私の提案としては、普段から特に経験が浅い先生は言葉を噛み砕く練習しておくのはどうか?ってこと。
で、ポイントとしては噛み砕きやすい「具体的な語彙」からスタートして、徐々に「抽象的な語彙」に移行していくんです。
この思考であれば、ちょっとした隙間時間にもできそうじゃないですかね?
もしこの方法を試して、「こんな成果があった」っていう方がいれば、それを教えていただければ幸いです。
2 例を色々挙げる
本当は「言葉を噛み砕く」よりも、こちらの「例を挙げる」ほうが王道だと思うのですが、2番目にしたのには理由があります。
例を挙げて相手に理解をしてもらうには、相手に「帰納的思考」が必要とされます。
例えば、理由の「〜から」を理解してもらおうと思って、
といった例を挙げたとします。
普通は、これらの文の「〜から」の前と後ろの関係を考え、すべての文に共通の意味を類推するという帰納的思考が働いて「〜から」の意味を理解してもらえます。
まあ、通常であれば普通に理解できそうに思うのですが、ここ数年は例文を挙げただけでは意味が理解できない学習者が増えたように個人的には思います。
私が一番最後に教えた(今から6、7年前)初級クラス(全員が漢字圏の学習者)でもその傾向があり、
挙げ句の果てに「先生、文法の意味(おそらく「理由」ってことだと)を書いてください。」といってくる始末。
ただ、教えているクラスの学習者の理解レベルに差があると、なかなかこれも難しいのかなと思わないでもないです。
最近の日本語学校さんって、学習者のレベル差をガン無視したようなクラス編成を行うところが多いように聞いているので。
☆☆☆☆☆☆☆
他にも説明の仕方には思うところがあるのですが、経験が浅い先生にあれもこれもと提案しすぎると混乱しそうなので、とりあえずこの2つの提案をしたわけです。
先ほども書きましたが、実際にこういう提案を実際の授業に取り入れて、「こんな効果があった!」とかあれば教えていただけると嬉しいし、それ以上にそれをまた私が考えてブログ記事にできれば、もっと助かる方も出てくるかもしれませんしね。
ほな、さいなら!
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☆☆☆☆☆☆☆
私が日本語教師になって1ヶ月か2ヶ月後くらいのタイミングで、当時の1級文型の教え方が全く分からず上級のレベル担当専任講師に聞きに行ったところ、「そんな大層なことじゃない、ってことですよね?」って言われました。
当時の私はそれを聞き、「それをどう伝えるかを教えてくれればいいのに・・・」などと思っちゃってました。
今ならそういう甘いことは考えないのですが、現在経験が浅い先生でそう思う方もいてもしょうがないとも思います。
最近だと、そういうふうに答えてくれる専任講師もいそうにないし。
ここ最近の一連のエントリを書くことになったきっかけを与えてくれたメールの主さんも、先日のこちらのエントリ(→日本語教師になりたての方や経験が浅い先生がやっておいたほうがいいコトとポイント まずは準備編)の中の「3 練習は3パターンくらい考えておく」の例で挙げた「法律」や「規範」という言葉をまんま授業で使うというような理解をしているように思います。
経験が浅い先生は、こういう部分も難しく考えるってことを私が失念して記事を書いちゃったんですよね。
なので、どうするかという私なりのアイデアをご提供。
1 噛み砕いて説明する
日本人などのアジア人は、「言葉を噛み砕いて説明するスキル」が少し足りないと感じることが多いです。
それは、私たちが外国語を学んでいる時も顕著で、ある単語が思い出せない時は他のわかる言葉で言い換えようとせず、固まっちゃうことがよくありますがそれも噛み砕くって発想がないから。
例えば、この記事を読んでいる経験が浅い先生も長い先生も「規範」をどう初級の学生に分かるように噛み砕けるか、考えてみたらどうでしょうか?
多分「法律」や「ルール」との違いから考えると、見えてくるものがあるように思います。
それと気をつけないといけないのが、日本語教師の中には「言葉を噛み砕く」を「辞書の意味通りに説明する」と思ってるケースがあるってこと。
私も日本語教師になりたての時に語彙の授業を担当していて、辞書に書いてあったことをそのまんま語彙の授業の準備としていたことがあります。
でもある時気付いたんです。
辞書の意味を言うだけなら私が説明する必要はなく、学習者が家で辞書を引けばいいだけだ、ということに。
なので私の提案としては、普段から特に経験が浅い先生は言葉を噛み砕く練習しておくのはどうか?ってこと。
で、ポイントとしては噛み砕きやすい「具体的な語彙」からスタートして、徐々に「抽象的な語彙」に移行していくんです。
この思考であれば、ちょっとした隙間時間にもできそうじゃないですかね?
もしこの方法を試して、「こんな成果があった」っていう方がいれば、それを教えていただければ幸いです。
2 例を色々挙げる
本当は「言葉を噛み砕く」よりも、こちらの「例を挙げる」ほうが王道だと思うのですが、2番目にしたのには理由があります。
例を挙げて相手に理解をしてもらうには、相手に「帰納的思考」が必要とされます。
例えば、理由の「〜から」を理解してもらおうと思って、
- 風邪をひいて熱があるから、薬を飲みます。
- 疲れたから、少し休みたいです。
- 仕事が忙しいから、旅行に行けません。
- 明日大事なテストがあるから、今日家で勉強します。
といった例を挙げたとします。
普通は、これらの文の「〜から」の前と後ろの関係を考え、すべての文に共通の意味を類推するという帰納的思考が働いて「〜から」の意味を理解してもらえます。
まあ、通常であれば普通に理解できそうに思うのですが、ここ数年は例文を挙げただけでは意味が理解できない学習者が増えたように個人的には思います。
私が一番最後に教えた(今から6、7年前)初級クラス(全員が漢字圏の学習者)でもその傾向があり、
挙げ句の果てに「先生、文法の意味(おそらく「理由」ってことだと)を書いてください。」といってくる始末。
ただ、教えているクラスの学習者の理解レベルに差があると、なかなかこれも難しいのかなと思わないでもないです。
最近の日本語学校さんって、学習者のレベル差をガン無視したようなクラス編成を行うところが多いように聞いているので。
☆☆☆☆☆☆☆
他にも説明の仕方には思うところがあるのですが、経験が浅い先生にあれもこれもと提案しすぎると混乱しそうなので、とりあえずこの2つの提案をしたわけです。
先ほども書きましたが、実際にこういう提案を実際の授業に取り入れて、「こんな効果があった!」とかあれば教えていただけると嬉しいし、それ以上にそれをまた私が考えてブログ記事にできれば、もっと助かる方も出てくるかもしれませんしね。
ほな、さいなら!
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akky_san at 21:42|Permalink│Comments(0)
2019年06月06日
経験が浅い先生が知っておいたほうがいい思考と行動 準備編【その2】
昨日のエントリ(→日本語教師になりたての方や経験が浅い先生がやっておいたほうがいいコトとポイント まずは準備編)のメールくださった方に返事をし、さらにその返事をもらい、また書きたいことが増えたんですが、今回はその前に準備編【その2】のエントリ。
私は以前からこのブログにも書き続けてますが、ちょっと皆さん授業準備に時間かけすぎ!
過去のエントリで教案作りだと、
その教案作りは、本当にそれで大丈夫?
教師自身の知識が蓄積する教案の作り方
教師自身の知識が蓄積する教案の作り方の続きと知識が蓄積しない教案作り
などがあります。
教案作りも含めた作業の効率化やタイムマネジメントについては、
木こりのジレンマに陥ってませんか?
生産性をあげるにはどうしたらいいか ちきりん著「自分の時間を取り戻そう」
教案作りに時間がかかりすぎる教師の特徴
「非漢字圏の留学ビザは3年にするべき」論と、教案作成スピードアップの関係
自分が最も欲しい成果を特定し、逆算して考えよう
などなど。
結構色々書いてたんですね。
教案作りや授業準備で悩まれてる先生にはそれぞれのエントリに飛んで読んでいただければと思うんですが、改めて先日いただいたメールを読み返していて思うところがあるので、それを今回は提案してみます。
で、今までの過去エントリとも重複する部分もあります。
☆☆☆☆☆☆☆
1 自分の授業の成果を特定しよう
私は常々、日本人って「分けて考える」のって苦手だし、さらにあの成果も欲しいしこの成果も欲しいという傾向があるように思っています。
あの成果とこの成果がトレードオフ(あちらを立てればこちらが立たず)関係であっても、です。
日本語の授業の文脈で考えると、成果というのは例えば
などのこと。
あ、私がこれらの項目の全てを成果だと個人的に思ってるわけではないので。念のため。
授業の目的、つまりここで書いている成果が何かによって、打ち手が全く変わってきます。
理解できればいいというレベルと、発話意図通りにアウトプットできるようになるレベルとでは、説明から練習方法から何から何まで変わってきます。
ところが経験の浅い先生だと、ここが曖昧になりがち。
そしてここが曖昧になると、「あれもやんなきゃ、これもやんなきゃ」などという事態に陥り、準備時間が際限なく長くなってしまうっていう・・・
なんか、日本語学校の運営とか、地方自治体の地方再生とか見てると、成果を念頭に置かないため闇雲に且つがむしゃらに踠いてるように見えますが、それは日本語教師も同じ。
自分の欲しい成果をまず明確にしてください。
2 ゴール(成果)から逆算してすべきことを洗い出す
成果が何かが明確になったら、あとは逆算していき段階ごとに必要な作業を洗い出します。
1の成果を明確にする、ってことができない人はもちろんこの「ゴールから逆算する」ってこともできません。
なぜなら、ゴールが何か分かってないから。
実は私も授業準備でこのようなことはやったことがありません。
日本語教師になってからある時期を境に、自分が今までに扱ったことがない文法や文型でも「多分こういうモノだろう」と推測できるようになってしまったから。
なので、今私がそこまで経験がない日本語教師だったら、この方法を試してみたいと思うはず。
逆説的に思えるかもしれませんが、だからこそこの逆算して考えるっていう方法は、経験が浅い先生向きとも言えます。
難しそうに思えるかもしれませんが、この方法だとゴールが明確に決まってさえいれば芋づる式にやるべきことが出てきそうにも思います。
3 普段から色々ストックしておく
授業準備に段階になって、初めて担当する日本語について考える先生って意外と多そう。
私もそういうことをやっていた時期もあるんですが、大体不十分なものしかできなかったりして良いことはありませんでした。
私は、普段から授業関連のアイデアが浮かんだら、スマホにメモしておきます。
大体、歩いている時やチャリンコに乗っている時が多いので、誰かと話している時やお風呂に入っている時などと比べて、メモしやすい状況なので即メモります。
そのメモの中で、例えば上位概念で「初級」「中級」にしておき、その下位概念で「語彙」「文法」などとフォルダ分けしておけば、すぐに欲しいアイデアが取り出せます。
私の場合それがどういうアイデアかというと、文法/文型分析であったり、「これはいい!」っていう例文であったり、今までとは全く違う切り口の説明の仕方だったり、学生がその日本語を使いたくなるようなQであったり、その時に担当している学生が盛り上がりそうな練習であったり、多岐に渡ります。
☆☆☆☆☆☆☆
で、次のエントリはおそらくやっと「授業運営編」になりそうです。
そちらでも、今の段階で私が伝えたい内容とは若干変わってくる可能性もありますが、それはそれで面白いとも感じています。
ほな、さいなら!
日本語ランキング
私は以前からこのブログにも書き続けてますが、ちょっと皆さん授業準備に時間かけすぎ!
過去のエントリで教案作りだと、
その教案作りは、本当にそれで大丈夫?
教師自身の知識が蓄積する教案の作り方
教師自身の知識が蓄積する教案の作り方の続きと知識が蓄積しない教案作り
などがあります。
教案作りも含めた作業の効率化やタイムマネジメントについては、
木こりのジレンマに陥ってませんか?
生産性をあげるにはどうしたらいいか ちきりん著「自分の時間を取り戻そう」
教案作りに時間がかかりすぎる教師の特徴
「非漢字圏の留学ビザは3年にするべき」論と、教案作成スピードアップの関係
自分が最も欲しい成果を特定し、逆算して考えよう
などなど。
結構色々書いてたんですね。
教案作りや授業準備で悩まれてる先生にはそれぞれのエントリに飛んで読んでいただければと思うんですが、改めて先日いただいたメールを読み返していて思うところがあるので、それを今回は提案してみます。
で、今までの過去エントリとも重複する部分もあります。
☆☆☆☆☆☆☆
1 自分の授業の成果を特定しよう
私は常々、日本人って「分けて考える」のって苦手だし、さらにあの成果も欲しいしこの成果も欲しいという傾向があるように思っています。
あの成果とこの成果がトレードオフ(あちらを立てればこちらが立たず)関係であっても、です。
日本語の授業の文脈で考えると、成果というのは例えば
- わかりやすい説明をする
- 盛り上がる授業をする
- 学習者が正確に理解できるようになる
- 学習者が使えるようになる
- 学習者の発話意図にぴったりの日本語が表出できるようになる
- 学習者がその日本語を正確に適切に使えるようになるレベルで定着させられる
などのこと。
あ、私がこれらの項目の全てを成果だと個人的に思ってるわけではないので。念のため。
授業の目的、つまりここで書いている成果が何かによって、打ち手が全く変わってきます。
理解できればいいというレベルと、発話意図通りにアウトプットできるようになるレベルとでは、説明から練習方法から何から何まで変わってきます。
ところが経験の浅い先生だと、ここが曖昧になりがち。
そしてここが曖昧になると、「あれもやんなきゃ、これもやんなきゃ」などという事態に陥り、準備時間が際限なく長くなってしまうっていう・・・
なんか、日本語学校の運営とか、地方自治体の地方再生とか見てると、成果を念頭に置かないため闇雲に且つがむしゃらに踠いてるように見えますが、それは日本語教師も同じ。
自分の欲しい成果をまず明確にしてください。
2 ゴール(成果)から逆算してすべきことを洗い出す
成果が何かが明確になったら、あとは逆算していき段階ごとに必要な作業を洗い出します。
1の成果を明確にする、ってことができない人はもちろんこの「ゴールから逆算する」ってこともできません。
なぜなら、ゴールが何か分かってないから。
実は私も授業準備でこのようなことはやったことがありません。
日本語教師になってからある時期を境に、自分が今までに扱ったことがない文法や文型でも「多分こういうモノだろう」と推測できるようになってしまったから。
なので、今私がそこまで経験がない日本語教師だったら、この方法を試してみたいと思うはず。
逆説的に思えるかもしれませんが、だからこそこの逆算して考えるっていう方法は、経験が浅い先生向きとも言えます。
難しそうに思えるかもしれませんが、この方法だとゴールが明確に決まってさえいれば芋づる式にやるべきことが出てきそうにも思います。
3 普段から色々ストックしておく
授業準備に段階になって、初めて担当する日本語について考える先生って意外と多そう。
私もそういうことをやっていた時期もあるんですが、大体不十分なものしかできなかったりして良いことはありませんでした。
私は、普段から授業関連のアイデアが浮かんだら、スマホにメモしておきます。
大体、歩いている時やチャリンコに乗っている時が多いので、誰かと話している時やお風呂に入っている時などと比べて、メモしやすい状況なので即メモります。
そのメモの中で、例えば上位概念で「初級」「中級」にしておき、その下位概念で「語彙」「文法」などとフォルダ分けしておけば、すぐに欲しいアイデアが取り出せます。
私の場合それがどういうアイデアかというと、文法/文型分析であったり、「これはいい!」っていう例文であったり、今までとは全く違う切り口の説明の仕方だったり、学生がその日本語を使いたくなるようなQであったり、その時に担当している学生が盛り上がりそうな練習であったり、多岐に渡ります。
☆☆☆☆☆☆☆
で、次のエントリはおそらくやっと「授業運営編」になりそうです。
そちらでも、今の段階で私が伝えたい内容とは若干変わってくる可能性もありますが、それはそれで面白いとも感じています。
ほな、さいなら!
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akky_san at 19:26|Permalink│Comments(0)
2019年06月05日
日本語教師になりたての方や経験が浅い先生がやっておいたほうがいいコトとポイント まずは準備編
日本語教師の方のSNSでの発信や、リアルで知っている先生で経験がまだあんまりない方や日本語教師になりたての方のレベルが、同じ時期の私よりはるかに高いと感じることが多いです。
もうね、私は分からんまま闇雲に進んでた感ありますもん。
これ何回も書いてますけど、初日の授業の読解の時間に開くページを指示するや、「先生、そこ終わってます。」と言われ、その後自分がどんな授業をしたか覚えてないし、相当ひどかったはず・・・
当時はその学校ではかなり丁寧な研修もあり、専任講師にも色々と相談に乗ってもらいながらも「そういう観念的なことを言われても、それを授業にどう反映させたらいいかを教えて欲しいんだけど」などと、今思えば甘えたことを思ってました。
でも現在進行形で、同じようなことを思っている経験の浅い先生は多そうに感じます。
最近の日本語学校は、教師を育てる事よりも目先の利益を優先し、「経験なくてもとにかく授業には入れ」的な態度を新人教師にとる学校も少なくないと聞いています。
で、振り返ってみると、私のブログでは「こういう授業はしないほうがいい」的な内容が多く、「こうしたらどうですか?」的な内容のエントリもあるにはありますが、それはどちらかというとある程度経験がおありの先生が対象になっているものが多いです。
なので今回は、日本語教師になりたての方や経験が浅い先生で、「まず何をどうしたらいいの?」って思っている先生向けの記事を書きます。
今日こういう記事を書こうと思ったのは、ある先生からいただいた悩み相談メールです。
その先生も初級の授業でお困りになられていて、止むに止まれず私にメールをくださったようです。
個人的に返事をしてもいいとは思ったんですが、項目が多かったのと同じような事で悩まれている他の先生も多いと思ったので記事にすることにしたわけです。
☆☆☆☆☆☆☆
今回は、まず準備編。
とりあえず今回の内容は、初級レベルのクラスを前提とします。
やっておいたほうがいいコトから。
1 例文をできるだけたくさん自分の頭で考える
私が口を酸っぱくして言っているのは、とっかかりがわからないからと言って安易にすぐ文法書を見ないってコト。
なぜなら、私の経験上、そういう知識は自分の頭の中の引き出しに蓄積されていかないから。
やっぱり自分の頭で考えたほうがしっかり残るので、他のレベルを担当している時に初級の質問をされても、自分で考えていれば即座に答えられます。
1つの文法/文型で、10〜15個くらい考えればいいじゃないですかね?
そうすると、次のような事態が起きるかもしれないので、その次の段階でやったほうがいいコト。
2 分けて考える
10〜15個くらいの例文をアウトプットしたら、当初思っていた文法/文型の意味からはみ出すものが出てきたりします。
その意味だけでは説明がつかない例文です。
私、日本語教師になって5年目くらいでこれに気づけるようになり、そうなると準備が精神的にものすごく楽チンに!
その意味説明だけでは若干合わないものは私を落ち着かなくさせるだけでなく、そういう例文を授業で触れるのを避けようとしたりして、非常に厄介でした。
ところが、「これは基本的にはこういう意味だけど、似てはいるけど異なる意味がもう1つあるんだ」という思考方法が可能になり、目の前がパアッとひらけたように感じました。
例えば、「〜なければならない」という文型で、「法律やルールによって義務的(外的要因)に行うコト」的な理解しかしてなかった場合、
のような文は説明がつかなくなります。
確かにテストがあるのは外的要因ですが、勉強するのは義務ではなく自由意志(内的要因)で行うコトです。
また、「可能形」の授業で「能力的に可能」という説明しか念頭になければ、
・このレストランでは、タバコが吸えません。(←これについても自分の頭で考えて欲しいんですが、どうしても早く知りたいって方はこちらのエントリを→「動詞の可能形はなぜ無意志になるのか?」に対する大ベテランの先生の説明が分かりやすすぎる)
という文は説明できないし、 ましてや
・私の国では、水道の水は飲めません。
という文は理解不可能になってしまいます。
したがって、同じ可能形でも意味は3つに分かれるんだな、と認識できれば授業にそれを反映させられ、学習者の理解の負担も軽減できます。
やっぱり、全部を一緒くたに考えると良いコト無いです。
3 練習は3パターンくらい考えておく
これも、「〜なければならない」で考えてみます。
私だったら、
の5つくらいを準備すると思います。(3パターンとか書いておきながら)
もちろん全てを授業で行う必要はなく、時間や学生のレベルとの兼ね合いで、どういう練習をするかはその場で判断すればいいと思います。
これをできるだけバリエーション豊かにすることができれば、その場に応じて練習を取捨選択することができるようになり、目の前の学習者にマッチした練習ができる可能性が高まります。
☆☆☆☆☆☆☆
とりあえず、授業の準備に関してはこんな感じですかね?
経験の浅い先生で私のブログの読者の方がいたら、役に立ったかどうかや「こういう授業ではどうしたらいいのか?」的な質問も気軽にしてくださるともっと私も色々貢献できるのかな、って思ってます。
おそらく次は、授業運営編になると思います。
ほな、さいなら!
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もうね、私は分からんまま闇雲に進んでた感ありますもん。
これ何回も書いてますけど、初日の授業の読解の時間に開くページを指示するや、「先生、そこ終わってます。」と言われ、その後自分がどんな授業をしたか覚えてないし、相当ひどかったはず・・・
当時はその学校ではかなり丁寧な研修もあり、専任講師にも色々と相談に乗ってもらいながらも「そういう観念的なことを言われても、それを授業にどう反映させたらいいかを教えて欲しいんだけど」などと、今思えば甘えたことを思ってました。
でも現在進行形で、同じようなことを思っている経験の浅い先生は多そうに感じます。
最近の日本語学校は、教師を育てる事よりも目先の利益を優先し、「経験なくてもとにかく授業には入れ」的な態度を新人教師にとる学校も少なくないと聞いています。
で、振り返ってみると、私のブログでは「こういう授業はしないほうがいい」的な内容が多く、「こうしたらどうですか?」的な内容のエントリもあるにはありますが、それはどちらかというとある程度経験がおありの先生が対象になっているものが多いです。
なので今回は、日本語教師になりたての方や経験が浅い先生で、「まず何をどうしたらいいの?」って思っている先生向けの記事を書きます。
今日こういう記事を書こうと思ったのは、ある先生からいただいた悩み相談メールです。
その先生も初級の授業でお困りになられていて、止むに止まれず私にメールをくださったようです。
個人的に返事をしてもいいとは思ったんですが、項目が多かったのと同じような事で悩まれている他の先生も多いと思ったので記事にすることにしたわけです。
☆☆☆☆☆☆☆
今回は、まず準備編。
とりあえず今回の内容は、初級レベルのクラスを前提とします。
やっておいたほうがいいコトから。
1 例文をできるだけたくさん自分の頭で考える
私が口を酸っぱくして言っているのは、とっかかりがわからないからと言って安易にすぐ文法書を見ないってコト。
なぜなら、私の経験上、そういう知識は自分の頭の中の引き出しに蓄積されていかないから。
やっぱり自分の頭で考えたほうがしっかり残るので、他のレベルを担当している時に初級の質問をされても、自分で考えていれば即座に答えられます。
1つの文法/文型で、10〜15個くらい考えればいいじゃないですかね?
そうすると、次のような事態が起きるかもしれないので、その次の段階でやったほうがいいコト。
2 分けて考える
10〜15個くらいの例文をアウトプットしたら、当初思っていた文法/文型の意味からはみ出すものが出てきたりします。
その意味だけでは説明がつかない例文です。
私、日本語教師になって5年目くらいでこれに気づけるようになり、そうなると準備が精神的にものすごく楽チンに!
その意味説明だけでは若干合わないものは私を落ち着かなくさせるだけでなく、そういう例文を授業で触れるのを避けようとしたりして、非常に厄介でした。
ところが、「これは基本的にはこういう意味だけど、似てはいるけど異なる意味がもう1つあるんだ」という思考方法が可能になり、目の前がパアッとひらけたように感じました。
例えば、「〜なければならない」という文型で、「法律やルールによって義務的(外的要因)に行うコト」的な理解しかしてなかった場合、
- 明日大事なテストがあるから、復習しなければならない。
のような文は説明がつかなくなります。
確かにテストがあるのは外的要因ですが、勉強するのは義務ではなく自由意志(内的要因)で行うコトです。
また、「可能形」の授業で「能力的に可能」という説明しか念頭になければ、
・このレストランでは、タバコが吸えません。(←これについても自分の頭で考えて欲しいんですが、どうしても早く知りたいって方はこちらのエントリを→「動詞の可能形はなぜ無意志になるのか?」に対する大ベテランの先生の説明が分かりやすすぎる)
という文は説明できないし、 ましてや
・私の国では、水道の水は飲めません。
という文は理解不可能になってしまいます。
したがって、同じ可能形でも意味は3つに分かれるんだな、と認識できれば授業にそれを反映させられ、学習者の理解の負担も軽減できます。
やっぱり、全部を一緒くたに考えると良いコト無いです。
3 練習は3パターンくらい考えておく
これも、「〜なければならない」で考えてみます。
私だったら、
- 知っている日本の法律を言わせる
- 知っている日本人の規範を言わせる(5分前行動とか)
- 自国と日本の法律や規範の対比を言わせる(自国では〜なければなりませんが、日本では・・・なければなりません。)
- 標識の意味を言わせる(※この段階で、「〜てはいけません」が入っているのであれば、ミックスで標識を提示してもいいかも)
- 自国の昔の法律や規範を言わせる(「〜なければなりませんでした」の理解が難しい部分は置いといて、とりあえず昔のルールを言わせることに特化)
の5つくらいを準備すると思います。(3パターンとか書いておきながら)
もちろん全てを授業で行う必要はなく、時間や学生のレベルとの兼ね合いで、どういう練習をするかはその場で判断すればいいと思います。
これをできるだけバリエーション豊かにすることができれば、その場に応じて練習を取捨選択することができるようになり、目の前の学習者にマッチした練習ができる可能性が高まります。
☆☆☆☆☆☆☆
とりあえず、授業の準備に関してはこんな感じですかね?
経験の浅い先生で私のブログの読者の方がいたら、役に立ったかどうかや「こういう授業ではどうしたらいいのか?」的な質問も気軽にしてくださるともっと私も色々貢献できるのかな、って思ってます。
おそらく次は、授業運営編になると思います。
ほな、さいなら!
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akky_san at 21:45|Permalink│Comments(0)