2016年11月

2016年11月30日

今年最後の授業は校外学習!大阪難波駅~東大寺~寿司学校で握り体験

早いもので、ウチの進学コースは今日が今年最後の授業でした。

そして、その最後の授業は校外学習。

行先は、奈良の東大寺と寿司学校。


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今朝の集合時間までは「ウチは進学コースだから、こういうイベント系への学生の参加率は低くなるかも~」なんて思ってましたが、蓋を開けてみたら欠席者は3名。

一人は体調不良で連絡があったんですが、あとの二人の欠席の理由は不明。二人ともめっちゃ行きたがってたので、ただの寝坊かと。

9時半に近鉄電車の大阪難波駅に集合し、9時48分の快速急行に乗車。

待ち合わせがね・・・もう集合時間になっても来ない人続出。

案の定、道に迷ってたみたいです。

こんなことなら学校集合にしたらよかったと一瞬思いましたが、そうするとほとんどの学生が一旦学校に来てさらに難波に引き返すみたいになるし、その分交通費も増えてしまいます。

ウチの学生たちはあまり豊かではないので、ちょっとでも彼らの懐に負担をかけないように難波集合にしたんです。

でもギリギリに欠席者以外は揃ったので、乗ろうと思っていた電車に無事乗れました。

近鉄奈良駅に到着し、さっそく東大寺へ移動。


もうちょっと早い段階で来ていたら、紅葉も見ごろだっただろうと思いますが、まだ少し残ってました。


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途中、皆鹿に大喜び。鹿せんべい買いまくってました。

それにしても、皆歩くの遅すぎ。写メとかセルフィー撮るためにいちいち立ち止まって、全然進みません。

東大寺についてからも、門から大仏殿の入り口まで( ↓ の画像の場所)20分かかるって一体どういうこと?


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で、皆線香あげたりして、中へ。

いらっしゃいました、大仏様。


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ウチの学生は全員進学希望で、まだ合格通知をもらっていない学生ももちろんいます。

その中の何人かは、願掛けで穴くぐりに挑戦。

この穴は、大仏様の鼻の孔と同じ大きさと言われています。


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挑戦してる、ウチの文法クラスの女子。


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画像からも、必死さが伝わってきます。


こんなベトナム人女子も。


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ズルーって、あたかも貞子みたいになってます。



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力強い仁王像も見て、寿司学校へ。

復路も皆チンタラ歩いてたせいで、予定時間より遅れるのは確実だったので、学校へ連絡。

その学校は、奈良駅の一つ隣の新大宮っていう駅が最寄りです。

一駅だったら歩けるかもとか思ってたんですけど、下見の時にそれは無理だと判明し、素直に電車で行くことに。


新大宮から歩いて7,8分で到着。

うめもり寿司学校っていう学校です。

まず手を洗い、教室の中へ。

かなり衛生面では徹底していて、手を直接アルコール消毒し、ナイロンの手袋をつけ、さらにその手袋にもアルコール消毒をしました。


本当は、ここでも学生が握っている様子などを色々撮りたいと思ってたんですが、私も手袋をして同じタイミングで握らないといけなかったため、ほとんど撮れませんでした。


で、私が握った寿司がこちら。


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今回の校外学習の一人当たりの予算が5000円以内ということだったので、寿司8貫と赤だしのセットに+400円で天ぷらもつけてもらいました。

因みに、今回の校外学習の一人当たりのお金は、4895円でした。

超ギリギリ。

でも、あんまりお金が無くて普段はロクなモノを食べてない学生に、この日だけでも良いモノを食べてほしいという思いがあったので。


試食が終わり、認定書をもらって終了。(画像左は代表でもらってる学生)


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この寿司学校では、日本語について色々と思うことが出てきたので、気が向いたらまた記事にします。


最後に難波に戻り、解散。


いや~、皆結構楽しんでくれてたみたいだったので、良かったです。


明日から冬休みということになり、学生はそれぞれ帰国したり、バイトに勤しんだりするんでしょうが、とにかく健康にだけ気を付けてもらって、来年の冬休み明けにはまた元気に顔を合わせられればと思ってます。


ほな、さいなら!


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2016年11月29日

ALLベトナム人の小論文クラスと多国籍の文法クラスの説明力の差

今週から、「物事を説明する」練習を始めています。

なぜこのような練習をさせているかというと、言うまでもなく「説明が下手だから」です。

彼らは言いたいことが多いらしく、イロイロ私に説明はしてくれているんですが、私は何の話をされているのか分からないことが多く、ひどいときは結局最後まで私が話の内容を分かってあげられないことになったりします。

というわけで、

1 学生が一人前に出る

2 私がその学生にだけ見えるように言葉が書かれたカードを見せる

3 前に出てる学生は、その言葉を説明する

4 聞いている人は分かっても答えを言ったりせずに、黙ってその答えだと思う言葉を配られた紙に書いていく

といった流れで練習しました。

いや~下手ですね!

ここまでとは思わなかったので録音はしませんでしたが、してれば分析できたのに・・・


一応、彼らの説明をいくつか紹介します。


両者を比較する前に、それぞれ別のモノの説明から書きます。


☆☆☆☆☆☆☆


まずはAllベトナム人学生の小論文クラス


Aさん(ベトナム人女子)

・お題「アニメ」

「ドラマみたいで人じゃなくて、人を作ったやつです。これはよく子供を見ている。映画じゃなくて。日本ではそれは世界で一番有名です。」

これ、この説明だけ聞いて分かる人いるんでしょうか?

もう話してる内容、文法、順番すべてがグチャグチャです。

特に気になるのが文法の自動詞と他動詞の混同。

「人を(正しくは、が)作った」とか「これはよく子供を(正しくは、が)見ている」など、字義通りに考えるとホラーです。

ずっと子供を監視し続けてるアニメ、みたいな。


Bさん(ベトナム人女子)

・お題「アフリカ」

「ヨーロッパの下。上あのところは下。大きい一番。今はよくやし(?)。食料があまりなくて、死んでいる人が多い場所です。緑地です。陸地。人口が多いけど食料があまりなくて。大きい陸地は肌が黒くて、どれ(?)。世界で一番大きな砂漠があるところ。あ、大陸!」

これもヒドイです。

下って、下は地下です。

とひとツッコミ入れてから、「上あのところは下」って・・・

これ、初級の学生でも言わんでしょ。

そして、「りょくち(緑地) → りくち(陸地)」ときて、最終的にやっと「大陸」に到達してて、これは私が日本語教師だからこういう流れをたどってるんだろうなって分かりますけど、一般の日本人が聞いたら同じものを指してるとは分からないでしょうね。

それと、「食料があまりない」って二回も繰り返してます。

こういう人多いです。


Cさん(ベトナム人男子)

・お題「豆腐」

「食べ物。中国すごく人気の食べ物。中国でくさい食べ物。発酵食品。ニュースにのっている。電車にもってくさすぎるから、皆逃げるかも。豆から作る。日本にもある。健康ため。大豆から発酵した商品。」

これ、皆「納豆」って書いてました。

この説明の一番の問題の原因は、「説明している人のモノの認知」です。

恐らく、「中国すごく人気の食べ物」の部分は麻婆豆腐のこと、「くさい」とか「発酵している」のあたりは中国の臭豆腐、「日本にもある」でやっと豆腐の説明になってるんだろうと推察されます。

そして、ほとんどが単語か単文レベル。

複文なんて、夢のまた夢です。


☆☆☆☆☆☆☆


そして、文法クラス


Aさん(ベトナム人女子)

彼女の場合は、どういうわけだかのっけから下ネタ方向に進んでしまいました。

・お題「ジーンズ」

「みんなもよく着るもの。特に男の人はよく着る服です。下のほう。ちょっとかたい・・・触ってみたらかたい感じ。女の人はスカートを着て、柔らかい感じ。」

この説明には、全員色めき立ちました。

下ネタ好きな男子たちは、目がランランとしてましたもん。

女子たちも遠慮なく爆笑してましたし。

ただ、やっぱり名詞と動詞の組み合わせがおかしいです。「ジーンズ」なのに、「着る」っていう動詞を選んでしまってます。


Bさん(ベトナム人男子)

・お題「ボールペン」

「学校で皆よく使います。あの、ノートにメモ書くときとか、作文書くときとかに使います。固い。細い。長い。黒い。授業で大切なものです。」

彼が、 ↑ の説明で一番大喜びしてた人で、その流れから逸れてないカンジの説明。

でも、形容詞をそのまま並べるって・・・せめて「固くて細くて長くて黒いです。」といったように、活用くらいさせてほしかった・・・


Cさん(ベトナム人女子)

・お題「ビール」

「これは飲み物で、男性が大好きです。暑いの時よく飲んで、飲んだら女性は肌がきれいになります。アルコールで、麦から作ります。」

肌のくだりは「?」ってなりますが、まあ比較的まとまってるし、「暑いとき」、「アルコール」、「麦」っていうキーワードがきちんとあるのでビールのことだと分かります。


Dさん(中国人男子)

・お題「熊」

「アフリカの動物でめちゃ大きい。すごい!」(ここで「分かった!」という声が他の学生から出たのを受けて)「違う!多分それじゃない。それよりもっと強くて大きい。自分だけで生活していて、アフリカだけじゃなくてどこでもいる。絶対皆知ってる。大きい動物は一番下はどこ?一番寒いところ、でも色違うよ」

なんか、会話みたいな説明です。

そして、なぜに最初アフリカに限定したんやろ?

聞いてる皆は「大きい動物は一番下はどこ?」の部分で、下ネタセンサーが反応したようで、クスクス笑ってました。


☆☆☆☆☆☆☆


そして、同じモノの説明を比較してみましょう。


・お題「鏡」

小論文クラス

「そのものは、女の人は大好きです。朝起きてから、そのものの前に立って、髪がツヤツヤして。」


文法クラス

「この物を置いて、自分の姿を見られます。」


小論文クラスの学生の説明は、冒頭部分で範囲が全く狭められてません。女の人が大好きなモノって、範囲が広すぎますから。そして後半は、「そのものの前に立ったら、髪がツヤツヤするって意味にとれなくもないです。ってか髪がツヤツヤしてるって、鏡の説明でそもそも必要?

文法クラスのほうは、「置いて」を「置いたら」に、もっと書くと「これの前に立って見ると」とかにしてほしいところではありますが、答えが「鏡」であるっていうことは分かります。

さらに、後者のほうが情報量が少ない、にもかかわらずです。


・お題「天ぷら」

小論文クラス

「日本の食べ物。油っぽいかんじ。えびとかかぼちゃとかから。日本人よく作っている。うどんとか作るとき、あれをのせて、油っぽいかんじ。作り方は油であげる。野菜と粉。むぎこな。」

この説明を私の日本人の友人にしたところ、「かき揚げ」って答えてました。


文法クラス

「揚げて作る食べ物。例えば、エビを小麦粉に入れて、後、そして油に入れて揚げます。」

これは、ところどころ「ん?」って思う部分もありますが、まあ「天ぷら」って分かりそう。


そして、これらの小論文クラスと文法クラスの説明は、やはり前者が分かりにくくて後者が分かりやすいっていうパターンが多かったです。


私がその理由を分析した結果、2つのことが浮かび上がってきました。


1 小論文クラスの学生は、文を完結できてない

2 小論文クラスの学生の説明は、余計な情報が多い


です。

1に関しては、例えば動詞であれば「テ形」で終わったり、天ぷらの例でいえば「えびとかかぼちゃとかから」で終わったりしていて、聞いているほうとしては、まさかそんなところで文が終わるって思ってない箇所で文が終わり、次の文が始まるからついていけないんです。

2は、情報の取捨選択ができていないってこと。

とりあえず思いつくことを思いつくまま、整理しないままに表出してしまうため、重複も多いし「その言葉」とは受け手が無関係と思っているような内容まで言ってしまい、かえって聞き手が混乱します。


Allベトナム人学生クラスのほうが下手だったのは、おそらく「そのクラスに同国人しかおらず、普段はベトナム語ばっかり喋っているから」という理由に尽きそうです。


それにひきかえ、文法クラスは一応国籍が4つあり、お互いコミュニケーションするときは必然的に日本語を話さざるを得ないので、日本語を喋る機会が多いと思われます。


ただ、どっちのクラスともこのレベルでは進学してから困りそうなので、この練習は引き続きやっていく予定です。

そして、説明するモノは、だんだん抽象的なモノにしていこうと思ってます。


ほな、さいなら!


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akky_san at 22:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)授業内容 | 会話

2016年11月28日

McKinsey&Company の「空・雨・傘」のフレームワークとインセンティブを小論文で使ってみた

相変わらず小論文の授業で悪戦苦闘してる、akky です。

留学試験(EJU)も終わり、浮足立ってた学生もようやく留学試験から頭を切り替えられてきたので、今回もガッツリ小論文で考えてもらうことに。


今回私が使ったのは、McKinsey&Company(通称 マッキンゼー)の社員さんも使っていると言われてる、「空・雨・傘」のフレームワーク。

マッキンゼーって知ってます?会社の名前なんですけど。

この会社は、卒業生に勝間和代さん、南場智子さんなどの卒業生がいることでも知られていて、また、シニアコンサルタントの時給が80000円とか、プレゼンが6800万円とか様々な都市伝説にも近いくらいのエピソードがふんだんにある、経営コンサルティング会社です。

詳しくはこちら。 → 【ナゾの組織?】最強組織マッキンゼーの正体〜6800万円のプレゼンをする会社〜

そして、そのマッキンゼーで使われているフレームワーク(思考の方法)が、問題解決のための「空・雨・傘」のフレームワークです。

これは、


を見ると、雨雲が出てきた(事実) → が降りそうだ(推測、仮説、解釈) → を持って行こう(判断、行動、意見表明、提案)


というものです。

このフレームワークは、どれか一つ欠けても論理に説得力が無くなってしまいます。

例えば、

1【「空」しかない】 日本は人口が減っている。(←だから何なん?ってか、そんなことあなたに言われなくても知ってますけど)

2【「空」と「雨」しかない】 日本は人口が減っているから、労働力不足になるだろう。(←だから何なん?解決策は?)

3【「雨」と「傘」しかない】 日本は労働力不足になるから、海外に工場を作るべきだ。(←労働力不足になるのはホンマなん?根拠は何?)

ってカンジで。


そして、私がこのフレームワークを導入した理由は、


1 まさに ↑ のようにどれかが欠けてる事が多いから

2 それぞれがゴッチャになって混乱してるから


の2つ。

で、このフレームワークを使ってみて、「あ、これができないんだ!」って思ったこと2つを中心に、授業の流れを書いてみます。


☆☆☆☆☆☆☆


で、今回は2つのテーマについて、考えさせました。

最初に私が「空」にあたる部分を提示して、その「雨」と「傘」を自由に考えるっていうもの。

その際「空」(事実)があり、「雨A」(理由や将来どうなるかの推測)の解決策を「傘A」として書いて、以下BとCも同様に考えるっていうタスク。

一つ目は、「店に客が全く来ない」。

ここで、早くも躓いてました。


それは、


1 「傘」が「雨」の解決策ではなく、ただ反対のことを述べてるだけ

ってパターン。

どういうことかというと、

・雨 → 店員のサービスが悪い

 傘 → 店員のサービスを良くする

っていう発想。


いやいや、だから~それをするために誰が何をどうするの?っていう5W1Hにも繋がってくるはなし。

他にも、

・雨 → 値段が高い

 傘 → 値段を安くする

とか。


なので、こういうことも5W1Hで考えるように指示。

結果、かなり改善されました。


二つ目のタスクは、「大学生の就職率が低い」です。

ここで、出てきた問題が、


2 インセンティブが全く働かなそうな解決策しか提示できない

ってこと。

例えば、

・雨 → 失業率が上がる


って答えた人が多くて、その解決策として彼らが提案したのが、


・経営者が、会社に入る条件を易しくする

・海外に移転した会社に、国に戻るように呼び掛ける

・国の景気に応じて労働力を作る

・60歳までに引退させる


といったアイデア。

こんなことするのに、それを行う人(組織)にインセンティブ全くなくないですか?

どう考えてもメリット無いでしょ?


例えば、経営者が会社に入る条件を易しくするっていっても、普通経営者は自分の会社の利益を追求するものなのに、国全体で失業率が高いからといって、自社の入社のハードルを下げるなんて普通は考えられませんよね?

海外の会社に国に戻るようによびかけるっていうのもそう。

私「じゃーそもそも、海外に工場を作った会社の目的は何?」

学生「人件費が安いから。」

私「そうだよね。じゃー逆に聞くけど、呼びかけるのは誰?」

学生「国。」

私「じゃー、国に呼びかけられて、仮に企業が工場を国内に戻すとしたら、どういう条件が無いといけないの?」

学生「安い労働力・・・あっ!」

私「そうですよね~例えば、ベトナムに工場を作った日本企業が日本国内にまた戻ってくるとしたら、そこで働く日本人の給料をベトナム人レベルに下げないといけないってことだよね?そんなん可能だと思う?」

学生「う~ん・・・」


ホンマに考えが安直っていうか、こういうアイデアって冷静に考えたらめっちゃ強権的じゃないですか?


こういうことを延々と話し合っていたので、ホンマは今日も一つ文章を書かせたかったんですけど、時間がなくなったのでここで終了。


学生が「難しい・・・」

って言ってたので、

私「インセンティブって聞くと難しいかもしれないけど、人間って無理やりさせようと思っても動かないこと多いでしょ?例えば、皆さんが子供の時に親から『勉強しなさい!』って言われて素直にすぐ『勉強しよう!』って思った?あと、結婚して旦那さんが全然家事を手伝ってくれなかったとき、『手伝ってよ!私も仕事してて大変なんだから!』って言っても多分やってくれないでしょ?そういうときにインセンティブが働くような言い方ってのが必要になってくるんですよね~」

って言うと、何となくイメージできてきたようで、笑い声とか発話が出てきて、

Aさん「Bさんが『手伝ってくれないと私死ぬよ!』って言うそうです。」

Cさん(Bさんの彼氏)「あ、そしたら『どうぞどうぞ』って言います。」

一同爆笑。


☆☆☆☆☆☆☆


今回の反省点は、

1 こういうインセンティブの話をタスクの前にやるべきだった

2 もうちょっとテーマを狭く、かつ学生の身近なものにしておくべきだった

ってこと。


こういうことをしていたら、学生ももっと具体的にイメージして取り組むことができたのではないか、と今は思っています。


こういうことを考慮して、年明けからの授業(ウチのコースは早くも今秋から冬休みなので)に反映させていきたいと考えてます。


ほな、さいなら!


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2016年11月26日

ワークショップのペアワークの相手が保育園の園長先生で、超盛り上がった件

本日akky は、とあるワークショップに参加してきました。

そして、私が偶然座った席の隣に座ってた方が、偶然保育園の園長先生っていう、普段私が決して関わらないであろう業界&業種のかたでした。

で、とりあえずアイスブレイクとして、お互いの業界、所属してる組織、日常的に行っている業務内容やその流れなどを説明したら、超盛り上がりました。

やっぱり自分が全く知らなかった世界の話を知るのは、私にとってももちろんですが、その園長先生にとっても超刺激的だったんでしょうね。

なんか、園長先生っていう響きも何十年ぶりに聞いたみたいなカンジですから。


☆☆☆☆☆☆☆


私&園長先生「よろしくお願いします。」

私「じゃーまず私から。・・・」

ここで、まず日本語学校や私が所属してる進学コースの説明をし、現在の国内の日本語学校の様子やそこで留学している留学生の説明をしました。

私「留学ビザは最長2年で、進学目的の学生の場合、最初はひらがなから始めて、通常は1年半か2年の在籍期間内で(1年っていう場合もありますが)、その学生の進学希望先によっては国公立大学の人文学系の小論文が書けるところまで持って行きます。」

って説明をすると、この段階でのけ反ってはりました。

さらに、

私「ただ、私がいるコースは他の日本語学校で進学できなかった留学生が来るコースで、日本語だけじゃなく英語や数学も勉強したりします。そして、関関同立は10月に受験が始まるんですが、ウチのコースは4月入学しかないのでその大学への入学を希望する学生は、半年で結果を出さないといけないから、結構忙しいです。」

って言うと、もっとビックリしてはりました。

「シビアですね~」っておっしゃってましたし。

私「進学コースは、進学に特化した科目しか教えていないんですが、私が前にいた学校では、

①漢字  ②語彙  ③文法  ④読解  ⑤聴解  ⑥作文/小論文   ⑦会話 

の科目を総合的にだったり、別だてにしたりして授業をしてました。」と説明しました。

このあたりは、学校によって違いますが。

ここで、「日本の高校みたいに、一人の先生が同じ科目を違うクラスで担当するんですか?」って聞かれました。

やっぱり、業界が違う人だと、そういう発想をするんですかね~

なので、「ウチの進学コースに限って言うとそういうんではなくて、科目が1週間の中で曜日ごとに分かれていて、基本的には1人の教師がその曜日の科目を担当します。つまり、A先生は月曜日は1クラスで語彙と文法をやって、水曜日には2クラスで読解と小論文をやるってカンジです。」って答えました。

言うまでもなく、このあたりのシステムも学校によって全然違います。


私「今まさに受験真っ盛りなので、ここ最近は面接指導でノックの仕方、部屋への入り方、着席の仕方、座っているときの姿勢、受け答えの注意点、面接終了時の退席の仕方、などの練習をしてます。」

これにも、「そこまで指導されるんですねえ~」って驚いてはりました。


そして、

園長先生「ちょっと話は変わるんですけど、関西弁に対して、どう思ってはるんですか?」

私「どうとは?」

園長先生「どんなことでもイイので、日本語教師の方のご意見が聞きたいな、と。」

私「ん~関西弁って、共通語より文法が難しいんですよね!」

園長先生「!!! それってどういうことですか?」

私「例えば、共通語だと『来ない』っていうのはその『来ない』っていう形だけなんですけど、関西弁だったら地域によって『けーへん』、『こーへん』、『きーひん』ってありますよね?つまり、同じ内容を表してるんだけど、形が多い=文法が難しいっていうことなんです。」

園長先生「そういえばそうですね!おもしろい!」

私「さらに言うと、共通語は『行く』の否定は『行かない』で、行くことができないっていうのを表すのは『行けない』です。一方関西弁では、『行かない』を表す動詞は『行かへん』と『行けへん』と2つあって、行くことができないって言おうと思ったら『行かれへん』っていう、通常日本語教育では受身形って言われている形が来るんです。」

園長先生「うわ~!おもしろい!」


って流れ。


☆☆☆☆☆☆☆


そして、今度は私が聞く番。


園長先生「私の保育園では、『待つ保育』っていうのをやってます。保育士が子供に何かを無理やりさせるんじゃなくて、子供の心が動くまで待ちます。つまり、先生の仕事として『子供がそれをやろう!』っていう気持ちになるまで、待つっていうこともあります。」

今ってそうなんですね!

私の時は、色々やらされてました。

まあ「やらされてる」とは言えないまでも、「今やらなきゃダメでしょ!」って言われてた記憶があるような無いような・・・


私「じゃー子供によっては、はやくチャチャッとやっちゃう子もいれば、ずっとヤル気にならない子供いますよね?そういう時はどうするんですか?」

園長先生「そういう時は、どっちの子供も放置されないように、他の保育士が色々やったりしてます。私のところは、0歳児から6歳児までの子供がいて、特に手がかかる0歳児を受け持ってる先生は、最大でその受け持ちが3人までになるようにしてます。」

私「そうなると、保育士さんのある一定以上の人数が必要になりますよね?」

園長先生「そうなんです!そこが結構難しくて、ウチは幸い働いてくれる人が比較的多いんですけど、他の保育園さんは人材の確保が難しいみたいで・・・」

園長先生「私たちの方針としては、遊びを通して学ぶ力を育てたいと思っていて・・・(中略)・・・なので、私たちの保育園では電子音の出るおもちゃは使ってなくて、その代わり手作りのおもちゃで遊ばせてます。」

ちょっと忘れてしまったんですが、電子音のおもちゃはあんまり良くないっておっしゃってたと思います。


こういう会話の中で私が一番印象的だったのは、

「研究によると、年齢が低いときに『待たされた』経験が無い子供ほど、成長した時に『待つ』ことができるそうなんです。」


っていう園長先生の言葉。

私からみると逆説的に思えたんですが、今私が教えている学生とその幼少の時の教育環境を想像すると、めっちゃ当てはまってそうです。


この知見は、今日のワークショップに参加しない限り、得られなかっただろうなって思います。


これ以外にも色々話して、休憩に。


私が休憩時間に「ワーキングメモリー」に関する本を読んでいると、

「留学生にも、学習障害の学生がいるんでしょうか?」と、園長先生に聞かれました。

私がその本を読もうと思ったきっかけや理由は別にあるんですが(このことについては、また別エントリで書きます)、

「確かにそういう留学生もいます。」

と私が答えたので、学習障害についても休憩時間に話しました。


園長先生「そういうのって、早く気づいて対応しないと大きくなってからでは遅いことがあるんですよね~」

それを聞いて、私も学習障害とは関係ないんですが、

私「あ、早期の対応って大切ですよね。ちょっと話が違うんですが、留学生もその出身国によって日本語の発音にめっちゃクセが出ることがあって、初級のうちに対応してないと上級になって化石化した状態から発音矯正するのは、超大変なんです。」

などと言って、例として韓国人学生の日本語の「つ」の発音が「ちゅ」になるケースを想定して、私だったらこうやりますってことを提示すると、

園長先生「へえ~!そういうふうにするんですね!面白い!」

って言ってくださいました。


☆☆☆☆☆☆☆


ワークショップが終わったときに、園長先生は名刺をくださいました。

私もまたお会いして、色々な話をしたり聞いたりしたいなって思えるくらい、その園長先生との会話は刺激的でした。

なので、また近いうちにお会いするかも。


日本語教師同士で話すのも楽しいのですが、どうも同業者同士だと話題が細部へ細部へと入り込んで、新しい知見は得られないことが多いですが、全く違う職業の方と話すのはホンマに色んな発見があるモンです。


これを読んでる方も、そういう集まりがあったら是非積極的に参加してみることをオススメします


ほな、さいなら!


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2016年11月25日

大学の入試担当部門はホンマに日本語能力試験(JLPT)とか留学試験(EJU)を理解してる?

私は進学コースを担当しているため、色々な大学の入試要項に目を通す機会が多いです。

その度に思うのが、「受験資格や受験条件が、大学によってバラつき過ぎてる」ってこと。

もうそれはすごいです。

大体そういうのって、留学試験(EJU)〇〇〇点以上とか、日本語能力試験(JLPT)のN〇(←この〇には1~5までの数字が入り、1が最も難しい)合格っていうのが多いんですが、その値がバラバラすぎます。

これ、入試担当部門は、それらのテストの研究とかしてへんやろ!っていうレベルのバラバラさです。

特に中堅より下に位置するとされる私立大学に、その傾向が顕著です。(なので、今回挙げた大学は全て私立大学です)

あ、今から書くのは、留学試験と日本語能力試験は全く別のタイプの問題である、っていうことは前提として書いていきます。


☆☆☆☆☆☆☆


例えば、


A大学 → 留学試験(おそらく日本語のみ)で、200点以上 あるいは 日本語能力試験N1受験

B大学 → 留学試験(おそらく日本語のみ)で、200点以上 あるいは 日本語能力試験N2合格


因みに上記のB大学の点数のバランスのパターンを、私は一番よく見かけます。

A大学の、N1受験っていうのは、受験しさえしてれば合格してなくてもイイっていう意味です。

そんなんエエの?


C大学(国外受験) → 留学試験(日本語のみ)で、165点以上 あるいは 日本語能力試験N1合格 あるいは日本語NAT-TEST1級合格


私は、この大学が一番ヒドいと思います。

B大学と比べても留学試験と能力試験の間の格差が開いています。

留学試験165点と日本語能力試験N1合格って、別次元でしょ

もしかしたら、問題が全く分からなくても、このテストは4択だから、運が良ければ400点満点中165点くらいは取れるんちゃうん?とさえ思うレベル。

この留学試験の日本語の平均点は、220点~240点くらいと考えていただければ。

皆さんは、自然だと思われますか?

ほんで、私この日本語NAT-TESTなるものの存在を、これを見るまで知りませんでした・・・


また、女子大関係もこういう受験の条件が多いです。


D大学 → 留学試験(日本語のみ)で、220点以上 あるいは 日本語能力試験N2合格


私は、このあたりのバランスならまだ分かる気がします。もっと書くと、B大学の200点よりも220点くらいのほうがN2合格レベルに近いかなと思います。


E大学 → 留学試験を受験 あるいは 日本語能力試験N2かN1合格


これはちょっと説明を要するんですが、留学試験を受験っていうのは、ただ受験してるだけでOKというより、受験さえしてればその点数を考慮して合否を考えますという意味だと思われます。


F大学 → 留学試験を受験 あるいは 日本語能力試験N1受験


これも留学試験に関しては上記のE大学と同じだと思うんですが、A大学と同様、能力試験は受験さえしてたらイイってこと。


☆☆☆☆☆☆☆


そして、ここからは受験資格や受験の条件ではなく、学費減免の対象になる条件。


G大学 → 留学試験(日本語のみ)で、270点以上 あるいは 日本語能力試験N1合格


このあたりもまだ分かるかな、と。

因みにこの大学は、減免額がかなりスゴいので、このハードルさえ超えれば一般的な国立大学くらいの学費で済みます。


H大学 → 留学試験(日本語+記述)で、280点以上 あるいは 日本語能力試験N1合格


この大学は、日本語と記述を足した点数を、評価基準としています。

因みに、記述っていうのは作文みたいなもので、満点は50点の、5点刻みの成績になります。

ウチの進学コースの3クラスの記述の平均点は、恐らく35点程度です。


☆☆☆☆☆☆☆


ん~、私立大学の基準がこんだけバラバラになるのには、私は理由が2つあると考えていて、


1 入試担当者がテストを研究しておらず、何を測るためのどのようなテストなのか、ってことを把握してない

2 日本人学生が減ってるから、とりあえず留学生を入学させたい(学費を確保したい)


からではないかと。


大学によっては、これらの理由のどちらかだけってこともあるだろうし、どっちもって可能性もあります。

あるいはこれ以外の理由から、ってことも考えられます。

例えば、日本に留学する非漢字圏の留学生が増え、さらに日本語学校も十分な日本語教育を行えていない結果、日本語学校を卒業しても学力の低い学生が多く存在するため、選ぶ余地が無く仕方なくハードルを下げてるとか。


私は個人的には、大学も節操が無いなぁ~と思っていますけど、その前段階で日本語を教えている日本語学校関係者もやはり反省すべき点はあるのではないかと。

まあ、学生本人の問題も無視はできませんが。


一体いつまでこんな状況が続くんでしょうか?


あと、大学の入試担当部門の人で留学試験と日本語能力試験の違いさえ分かっていない人は、是非両方の問題を実際にやってみていただきたい。

問題を細々分析したり、そのテストを扱っている機関のHPを読んだりするより、問題を自分で解いてみたほうが、どういうテストなのかを理解しやすいから。


ほな、さいなら!


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akky_san at 20:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)進学 | 学部