2019年11月

2019年11月27日

先日、最初の学校で私の直属の上司だった先輩ベテラン日本語教師の方と飲みに行ってきた

私が過去最も親しくさせていただいていた、最初の学校で私が上級に配属された時の上級レベル担当の専任をしていたベテランの先生と、飲みに行ってきました。

ただ、ここ最近はお互いのプライベートの影響もあり疎遠だったのですが、先日のREN



関係でどうしてもその先生に協力していただきたくて、久しぶりに連絡したところ、今回の飲みの運びとなったわけです。 


☆☆☆☆☆☆☆


で、待ち合わせ場所に行き、約4年ぶりの再会!

先生からの第一声は、「akky先生、変わらへんなぁ〜。」でした。

実は今年は体重の増減が激しく(増のピークは多分8月くらい)、今ちょうど先生に最後にお会いした頃に戻ってるだけなんですけど。

まあ、老けてはないってことかなって、ポジティブに受け止めておる次第です。


で、私が先生と働いていた学校を辞めてからというもの、その学校の情報はほぼ入ってきてなかったので、そのあたりのことをお聞きすると、結構意外な展開が・・・

お察しの通り、人事関係のことです。

その学校って、私から見ると採用、人事面がまあまあブラックなことがあったりしたので、まあ最初は驚きましたけどそう不思議がることもないのかな、と思い直したり。

それに絡んで、他の日本語学校などの人事関係、特に解雇や雇い止めなど切ることに関しての、いささかエグい情報を交換したりしました。


それから、お互いに知っている留学生のその後などに話が及び、予想通り何人かの学生は私なんかよりはるかに出世してるっていう。


その先生も私のこのブログを読んでくださっているそうで、具体的にどの記事をどのように授業に反映させたかという話をしてくださり、こちらも非常に勉強になりました。

こういう情報って、滅多に聞けないので。


先生がお嘆きだったのが、「すぐに正解をもらえるのが当然って思ってる日本語教師がまあまあいる」ってことでした。

私が日本語教師になりたての時に学生から「〜とは限らない」と「〜とも限らない」の違いを聞かれ、全く分かんなかったので相談したのが、今回一緒に飲んだこちらの先生。

その時ももちろんすぐ正解をくださるわけではなく、「それぞれの文型の例文をできるだけ多く考えられたらどうですか?」とアドバイスしてくださいました。

まあ結局それでも分かんなかったんですけど・・・

私も実感として、「自分のアタマで考える先生が減ってきている」と思います。

せめて聞く前に一度考えてから聞いてほしい、ってことですかね。その考えが正しいかどうかは別として。


私は実はお会いする前は、「多分お互いにあまりにも話したいことや聞きたいことが多すぎて、RENの話までたどり着かなかったらどうしよう?」と危惧していたんですが、ちゃんとつつがなく話をすることができました。

結果、先生も非常に興味を持たれて登録するおつもりとのこと。

私としても、こちらの先輩ベテラン教師にお手伝いいただけると、非常に心強いですし。

そして願わくば、先生って顔が広いので他のベテラン日本語教師にも先生をハブとしてシナプス結合のように関係を再構築し、RENのことを打診していければいいなと。


とは書いたものの、今の予定では私が先生方に研修を行うことになっているので、ベテランでない先生も大丈夫だとは思います。

その辺りは、樋口さんの意向に沿っていこうと考えています。


今回は先生の終電の関係で5時間しか喋れませんでしたが、またお会いしたらガンガン喋りまくるんだろうな、とも思います。

色々楽しみです。


ほな、さいなら!


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2019年11月26日

新人の日本語教師が最速で成長できるキャリアパス

昨今日本語学校に限らず様々なところで日本語教育の必要性、つまり日本語教師の需要が増しています。

その需要の増加に供給がバランスしているかどうかは分かりませんが、今後も年々新人の日本語教師の方が養成講座から排出されると予想されます。

そこで、日本語教師のキャリアの初期段階で、どういうキャリアパスを経れば最速で成長できるかを書いていきたいと思います。

ここでザックリ書くと、

どの段階でどのレベルを担当するか 

ってことが、日本語教師の成長に大きく関わってきます。 

結論から書くと、

1 上級 → 2 中級 → 3 初級

っていう順番が望ましいと私は考えています。

なぜなら、最初にゴール段階の現場で授業を運営すると、その下のレベルで最低限何ができていないといけないか把握できるから。

例えば、上級を最初に担当しておくと、上級修了段階がこのレベルだから、中級では最低限これくらいはできてないと学習者が上級に上がってもツラいだろうな、などということが分かります。

中級も同様で、中級を担当した後で初級を担当すると、自ずと初級の到達点がどのレベルかってことが理解できます。


それと、当時素人に近かった私が上級クラスを受け持っていて不思議だったのが、私には簡単に思える初級レベルの間違い(例えば、「は」と「が」の混同など)を、当時非常にレベルの高かった学生がどうして間違えるのか、ってこと。

これ、ずーっと引っかかっていて理由が分からないままだったのですが、初級を担当してようやく理解できる、ってこともたくさんあり、そこをポイントに授業を組み立てることも可能に。


実は、私が偶然このパターンだったんです。

以前いた学校で日本語教師としてのキャリアのスタートが、当時その学校のトップレベルの上級1組でした。

そして、半年後に中級クラス(名古屋大学とか合格した人たちがいたクラス)、そしてそのまた半年後に初級という順番。


その学校は勤務希望アンケートというものがあり、勤務日だけでなく担当レベルも希望できるシステムでした。

私の場合は、中級クラスから専任になってそういう希望は出せなかったので、ホンマに偶然そうなったんですよね。


ただし、このキャリアパスには副作用もあります。

準備がめっちゃ大変

ってことです。
 
初めて担当したレベルと同じレベルを半年後も担当すれば、ある程度授業準備の使い回しができます。

ところが、半年ごとに担当レベルが変わると、準備がその都度0からのスタートになってしまいます。


私の場合、作文も担当することが多く添削もしないといけなかったので、泣きそうでした。


しかし逆に考えると、キャリアの最初の段階だとその苦労もなんとかできるんじゃないの?とも思います。

最初にそれをやっちゃえば、後が楽チンですしね。


それに、楽チンな授業準備ばっかり志向してしまうと、現状維持バイアスが働いて他のレベルを担当するのが怖くなり、担当レベルが固定化してしまう恐れもあります。



成長したいのであれば、これは避けたいところ。
 

全てのレベルで授業を行ってみて、最終的に私はこのレベルが好きかも、っていうんだったらいいと思うんですけどね。


まあ希望レベルを上に提示できる日本語教育機関がどれくらいあるか分かりませんが、もし自分がその環境にいるというのであれば、上級 → 中級 → 初級っていう順番でキャリアを進めてみてはいかがでしょう?


ほな、さいなら!


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2019年11月10日

「見える」と「見られる」の違いを教える時に、「見えない」から入るいつものやり方で教えてみた

まず、これ読んでる日本語の先生、「見える」とは何だと教えてらっしゃいますか?

あと、これ読んでる日本語の学習者さん、「見える」をどう教わりましたか?


よく一般的に言われてるであろう説明は、「見えるというのは、見る人の意志とは関係なく見る対象が視界の中に入っている状態」みたいなもんじゃないでしょうか?

私、こういう説明って初めて初級を担当して考えた時に、すごく違和感を感じたんです。

なぜなら、

「見える」がその人の意志とは関係ないのであれば、「見えない」も同様のはずなのに、「見ようと思っているけど見えない」とか「見たいけど見えない」って状況があると思うから

です。 

例えば、

・昔ながらの大学の合格発表で合格者の番号が張り出されていて、 掲示板の前に背が高い人がいて、自分の番号が見たいけど見えない。

・最近老眼が進んできて、紙の本を読んでいる時にある程度離さないと文字が見えない。

・大学の講義で、先生の板書の字が小さすぎて見えない。

などなど。


このような疑問が拭いきれなかったため、ずっと1人で考えていたんですが、ある日ベテランの先生とこのことについて話し合った結果、ある結論に到達!

それは、


  1. 「見えない」とはどういうことかを3パターンに分類して提示
  2. その3パターンが存在しない時に「見える」と説明する


です。


「見えない」時の3パターンとは、こちら。


1 見る人に問題がある

2 見る対象に問題がある

3 見る人と見る対象の間に問題がある


です。

説明しましょう。


1 見る人に問題がある

これは、生まれつきや何らかの事故で視力を失ったり、近眼や老眼などで視力が低下した人、っていう意味です。 

失明した人って「目が見えない」って言ったりしませんか?

また、ウチのバイトくんは極度の近眼なんですが、ちょっと離れると私の顔すら見えなくなるそうです。


2 見る対象に問題がある

これは、例えば板書などの字が小さすぎるなどです。

また、赤いボードに赤いペンで何かを書いても、保護色になって書いてあるものは見えませんよね?


3 見る人と見る対象の間に問題がある

これは、見る人とその対象の間に障害物がある、その間の距離が遠すぎる、その間が真っ暗闇である、などです。


このような問題がある時に、「見えない」と表現するってことをまず押さえます。


☆☆☆☆☆☆☆


そして、このような問題が全て取っ払われた時に「見える」んですよね、と説明。

そのあと、「聞こえる」も同様であり、「聞こえる」の場合の3のパターンは「聞く人と聞く対象の間に雑音や騒音があったり、距離が遠かったり」って説明を加えました。


で、この時は10分くらいでこの説明をしたもので、残り時間があとわずかって状況。

なので、理解の確認のため、


・今日は会議が早く終わり早めに帰宅できたので、見たい番組が(見えた/見られた)。

・この最新のワイヤレスイヤホンを使うと、いい音で音楽が(聞こえる/聞ける)。

・このあたりは高い建物がないので、ここから遠くまで(見える/見られる)。


みたいな質問をしたんですが、全てみんな正解してました。
 

まあ、文作りの宿題を見て見ないと、これだけで理解できたかどうかは判断できないんですけど。


あ、そうそう!外国人留学生に限って言えば、「見かける」っていう意味で「見える」を使ったりすることも。


それから今回は、「彼は若く見える。」や「彼女は日本人には見えない。」の「見える」には言及しませんでした。


あなたは、「見える」をどう説明してますか?


ほな、さいなら!


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akky_san at 20:51|PermalinkComments(0)授業内容 | 文法

2019年11月09日

今日の漢字の授業はこんな感じ

今日は漢字テストから、興味深い発見が2つほどありました。

漢字テストは「漢字を書く問題」を5問、「漢字の読みを書く問題」を5問やっているのですが、「券」って漢字の読みを答える問題に差し掛かった1人の学習者が、「この漢字は音読み一つだけですよね?」って聞いて来たんです!

私は漢字の導入の際には、音読みと訓読みのコーラスから入るのですが、時々その前に「次の漢字は音読み一つだけです。」って言ったりするんですが、彼の質問はそれを覚えていたことを意味するんですよね。

すごいな〜!

もう1つの発見は、同じく「券」の読みを答える問題で、何人かの学習者が「きっぷ」って答えてたこと。

これって多分、漢字の形と朧げな意味までは結びついてるんだけど、正確な読みを定着させるまであと一歩の段階なんじゃないかと思います。


で、答え合わせをするときの彼らの「あぁ〜それそれ!それだったんだ!」ってリアクションが派手で、見てて飽きないです。

 
漢字テストが終わり、導入へ。


まず、「空」って漢字で学習者から出て来たのは「大空」。

まず間違いなく「キャプテン翼」からでしょう。

ここで打ち止めになっちゃったので、「伊丹って知ってますよね?何がありますか?」って聞いたところ「空港!」ってちゃんと返って来ました。

あとは、「空気」、「空間」、「空手」などを追加。


次に「角」って漢字では「角度」が出て来て、「方角」を追加してサラッと終了。


次の「市」って漢字でちょっと意外だったのが、「都市」って概念がなかなか理解できなかったこと。

私は其処で引っかかるとは思ってなかったので、「〜市って場所は全部都市です。cityですね。」って軽く説明して流そうと思ってたら、時間をかけて説明する必要がありました。

あと、「市」が使われてる他の語彙を3つ4つ説明して終了。


最も時間がかかったのが、次の「長」。

まず、訓読みの「長い」の対義語を聞いてみたところ、すぐさま「短い」って返事が!

私「この会社の一番上のポストの人は誰?」

学習者「名前ですか?」

私「いや、名前じゃなくてそのポストのこと。」

学習者「社長!」

私「そうです!」

学習者「じゃー、部長や課長や係長もこの漢字ですか?」

私「そうそう!」

って流れの会話になり、彼らの中で日本語の音と漢字がシナプス結合して来ているのが窺えました。

 
それから、「帰国する日程が伸びて、日本にいる期間が長くなることを何て言いますか?」と聞いた途端、「延長」って返って来ました。


私「(ジェスチャーで示しながら)heightのことを日本語で何というか知ってますか?」

学習者「背。」

私「それは次に出てくる漢字で、確かにそうなんだけど、他の言い方聞いたことありませんか?」

学習者「・・・・・。」

私「身長って聞いたことない?」

学習者「あぁ!あります!」


他に2つ3つ語彙を紹介している時に、「先生、長崎ってこの漢字ですか?」と聞かれたので、「そうそう、よく知ってますね。」って答えると、「長野もですか?」って重ねて聞いて来ました。

地名に興味持つと、いろいろ広がるなぁ〜って思いました。


説明が難しかったのが「表」。

これ、「ヒョウ」って読みと「あらわす」って読み、「おもて」って読みまであって意味がバラバラだから。

特に「おもて」がムズかった!

最初に「表と裏」と板書した上で、コインを取り出して「こっちが表でこっちが裏」って説明し、さらに「家とそれを囲む塀の絵」を描き、こっちが表で反対側が裏って説明も加えました。


他の漢字もあったんですが、最後の「駅」の時に「駅で働いている人を何というか知っていますか?」って聞いたら、「駅人」って答えが。

うん、気持ちは分かる!

彼らが偉いなって思うのは、こういう「間違ってそうだけど、とりあえず発言してみる」って姿勢です。

アジア人って全般的に「発言しても間違っていたら恥ずかしいから、何も言わない」って人が多い傾向があるんですが、彼らはそういう人たちとは全く対極です。

 
やっぱり積極性がある人は語学がそうじゃない人より速く上達するので、多分彼らもそうなるだろうと考えてます。

そういう学習者に教える教師は楽チンっちゃあ楽チンなので、気をつけないといけないことは「どんな事情があっても、その伸びを阻害することに繋がることは避ける」ってことくらいですかね〜


あと2回、頑張ります。


ほな、さいなら!


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akky_san at 20:30|PermalinkComments(0)授業内容 | 漢字

2019年11月08日

今日の漢字導入で、いつもはしないことをしてみた

8月スタートのクラスは、私の場合、残すところ明日と来週の金土となったせいか、いつもの漢字導入ではしないことを1つしました。

それは後述するとして、まず今日の漢字導入の流れはこちら。


まずは、「組」の漢字から。

この感じが使われてる言葉を知っているか聞いたところ、「組み合わせ」がまず出て来て、続いて「組み立てる」が出て来ました。

やっぱ訓読み語彙は強いですね。

続いて、「union」って言葉が出て来たので「組合」と板書。

で、「組む」とはどういうことか分かっているかどうか知りたかったので、「足を組んでください」と行ったらやっぱ分かってなかったので、みんなの前でその動作をしてみました。

それから、こちらから「番組」や「組織」を提示。

「組織」に関しては、留学生に教えていた時に多くの学生が「そうしき」って発音したりしてたので、「そうしき」がどういう意味か説明した上で、注意喚起。

彼らは、聴解はよくできるけど、拍感覚は弱いので。


次の漢字は「阻」だったのですが、「阻止」の提示と「組」とつくり部分が同じだから同じ「ソ」って音読みになることだけ説明。


続いて「校」は、学校、小学校から高校までを板書。


次の「効」では、語彙は効果と有効を紹介。

その際、「効果」はある/ないと一緒に使い、有効はな形容詞と説明。

そしてこの漢字でも、左右の位置は違うけど同じ「交」ってパーツがあるから、音読みはどちらも「コウ」になる旨を押さえました。

これ関係は、言い過ぎってことはないくらい、何度も新鮮な反応を返してくれます。


で、初の試みをしたのが、次の「住」って感じの時です。

最初は普通に、「住所」、「住宅」、「住民」、「移住」くらいの語彙を提示。

ところが、はたと「済む」って動詞も「住む」と漢字は違っても全く同じ活用で全く同じ発音だから、ここで一緒に提示しないと混乱するんじゃないか、って思ったんです。

つまり、私がいつもはしないけどこの時に行ったのは、

その漢字と全く同じ変化をし、発音も同じ他の漢字を提示した

ってことなんです。

「それ(仕事や作業)、もう済んだ?」とか、大阪人も結構言うんじゃないか、とも思ったし。

その上で、「終わる」と「済む」の違いも説明。

この違いって、私は中上級とか上級以上で説明することが多かったので初級レベルの人には難しいかなとも思ったんですが、意外とすんなり理解してくれたようでした。

これ読んでる日本語の先生は分かりますかね?


私のレッスンがあと1週間でなければ、おそらく触れてないでしょうね。


あとは、「駐」、「怪」、「軽」だったので、そこまで深くは説明せず、語彙を紹介するくらいでサラッと扱いました。

ただ、「軽」のところで「手軽」を紹介して「手軽な料理って例えば何?」って聞いたところ、彼らは「目玉焼き」のことを「玉子焼き」って思ってたことが分かったので、そこは訂正しときましたけど。


で、今回のことで分かったこと2つ。

  1. タイムリミットが間近に迫ると、私は行動パターンを変える
  2. 一般的には上級者向けとされている説明も、学習者に類推力があれば意外と理解できる

ですかね。


ほな、さいなら!


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akky_san at 21:58|PermalinkComments(0)授業内容 | 漢字